マイナンバーカードの活用で高齢者等の外出を支援/静岡県長泉町|case study ~わがまちのマイナンバーカード活用事例~

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2025.12.08

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この資料は、地方公共団体情報システム機構発行「月刊 J-LIS」2025年9月号に掲載された記事を使用しております。
なお、使用に当たっては、地方公共団体情報システム機構の承諾のもと使用しております。

case study ~わがまちのマイナンバーカード活用事例~
マイナンバーカードの活用で高齢者等の外出を支援

「静岡県長泉町」職員写真

静岡県長泉町
人口 4万3,498人(2025年7月1日現在)

マイナンバーカード取得支援

 長泉町のマイナンバーカード交付率は、国によるマイナポイント配布や2021年度にマイナンバーカード活用タクシー利用助成事業(後述)の実証運行開始の時期が重なったことがきっかけとなり、2021年度から2024年度にかけて約70%増加し、2025年6月末時点で84.2%となりました。町においても独自のマイナンバーカード取得支援として、来庁が困難な方への普及促進を目的とした公共施設や複合施設、介護施設等でのマイナンバーカード出張申請受付を実施することで、全国的にみても高いマイナンバーカードの普及率となりました。

出張申請の様子
複合施設で実施したマイナンバーカード出張申請受付

タクシー利用助成事業の実施

このように普及が進んだマイナンバーカードを活用したデジタル施策として、2021年度に「マイナンバーカード活用タクシー利用助成事業」の実証運行を開始し、2022年度から本格運行に移行しました。

 これまで町ではバスが運行されていない地域の町民や、年齢や身体的な理由でバス停までの移動が困難な町民(高齢者、障害者等)といったいわゆる交通弱者への支援として、1枚100円50枚つづりのバス・タクシーに利用できる紙利用券を75歳以上の希望者や65歳以上の自動車運転免許返納者に配布していましたが、紙利用券は町、事業者ともに支払事務等における作業の負担が大きいことに加え、使用時に十分な本人確認ができないことや使用期限前に大量に使用されるなど、本来の目的が十分達成できていないという課題がありました。

 こうした課題を解決するとともにマイナンバーカード所持のインセンティブの意味も込めて、先駆的にマイナンバーカードを活用したタクシー助成事業を実施している群馬県前橋市の事例を参考に、これまで紙利用券で行っていた移動支援をマイナンバーカードとデジタルを活用した持続可能な移動支援策として「マイナンバーカード活用タクシー利用助成事業」を開始しました。

 本事業は、登録証・利用券をマイナンバーカードのICチップの空き領域に書き込み電子化したことで実現したものです。75歳以上の方、運転免許証を返納した65歳以上の方を対象として、役場で利用登録を済ませたマイナンバーカードを、乗・降車のどちらかが町内である場合のタクシー乗車時に車両に搭載された読み取り端末にかざすだけで、簡単にタクシー運賃の半額(最大600円)の割引助成を受けることができるものです。

端末での読み取りの様子
タクシーに搭載された専用端末でデータを読み取る

 これによりデータでの利用実態の把握や料金の自動計算、運行情報の自動アップロードによる運行事業者の事務処理の簡略化を実現するとともに、従来の紙利用券での助成事業では、年間5千円分の支援であったものから、タクシー運賃の半額助成(割引額最大600円)を年50回(最大600円×50回=3万円)としたことで支援額も増加しました。

 本事業導入当初は、端末が搭載されたタクシーの台数が限られていたことや、利用時に電話での予約が必須であるなどの利用条件があったため、利用したいときに利用できないなどの声があり、ニーズに対応しきれていませんでした。そこで、福祉タクシーを含む18の事業者に対してタクシー事業者に必要台数をヒアリングし、予約がなくても対応できる台数として270台の端末を整備したことで、予約不要の運用が実現し、利便性が向上しました。また、2023年度には、妊産婦の方もタクシー初乗り運賃20回分を補助上限として補助対象に追加しました。

 2021年度の開始以降、2025年6月末時点で対象者の5割にあたる約3,000人の方が利用登録をしており、高齢化が進む社会において、高齢者の移動の自由と経済的な自立を支援する有効な手段のみならず町の公共交通を支える事業のひとつとなりつつあります。町の公共交通計画においては、日常的な生活のために必要な外出支援や外出機会の増大を図ることを目的と位置付けていることから、今後は、車を持たない町民や様々な移動困難者を対象とする利用要件拡大の検討や、端末維持管理のランニングコストなどの圧縮を図り、利便性とコストを両立できる仕組みを検討し、町民の移動の足としてさらなる利用拡大に努めていきます。

お問合せ先
長泉町企画財政課
TEL:055-989-5504

 

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