「悪い子のところにサンタさんは来ないからね!」
「女の子なのにお行儀悪いよ!」
―できていますか? “子どもの人権”をふまえた関わり
子どもはひとりの人間として権利をもつ主体であり、保育者・教諭・親など子どもに関わる全ての人に、子ども一人ひとりの人格を尊重し、個性を大切にする保育が求められます。
本書は「子どもの権利」の基本的な知識やなりたち・意義から、子ども一人ひとりを尊重する保育(具体的な事例を通した関わり・声掛けのあり方)まで、イラストを多用してわかりやすくまとめるものです。
この本は、子どもは独自の権利をもっているという認識がいかに生まれ社会で広がってきたか、そしてそれを自覚することがどれほど保育や育児という営みを、温かく、手応えのあるものにしていくのか等を、三名がそれぞれに論じ合ったものです。
この本を読んで、保育の営みの大事さや意味を、これまでとやや異なる角度から見つけ保育に活かしていただきたいと著者三名は切に願っています。(「はじめに」より抜粋)
執筆者を代表して
汐見稔幸
2021年 春刊行スタート!保育の楽しさ・尊さを再発見できる ぎょうせいの保育ライブラリ
『イラストBOOK たのしい保育』シリーズの詳細やご注文はこちら
目 次
はじめに
STEP1 人権を大切にするということ―なぜ子どもの権利を学ぶのか/汐見稔幸
1 「人権」の基本を知ろう
1 人権とは何か
2 子どもの権利を考える
3 子どもの権利の本当の意味
2 保育者に伝えたい子どもの権利条約
1 子どもの権利条約の基本原理
2 保育者が大切にしたい条項
3 保育実践に活かす子どもの権利
1 子どもの権利を学び、考え続ける
2 全国私立保育連盟の報告文に見る子どもの叫び
●Work1 私たちの園の「子どもの権利」を考えよう
●Work2 私たちの園の「子どもの権利条約」をつくろう
STEP2 子どもの権利条約の原点を探る―コルチャック先生と子どもたち/新保庄三
1 子どもの権利条約が誕生した日
1 国連総会での出来事
2 ウオパトカ教授の言葉
2 なぜポーランドが「子どもの権利条約」を提案したか
1 ポーランドの歴史
2 ポーランドの子どものための法制度
3 ポーランドの宝 コルチャック先生
3 戦争とコルチャック先生をめぐる旅
1 コルチャック先生との出会い
2 ポーランド・アウシュビッツへの訪問
3 ワイダ監督との出会い
4 映画『コルチャック先生』が描いたもの
4 コルチャック先生とはどんな人か
1 コルチャック先生の軌跡
2 コルチャック先生の遺産
●Work3 「子ども時代」とはどんな時代か考えよう
●Work4 「子どもではない│そこにいるのは人間である」について考えよう
STEP3 事例を通して子どもの権利を考える/野澤祥子
1 言 葉
1 子どもの権利を自分事として捉えるために
2 事例 子どもの尊厳を傷つける言葉かけ
3 事例 厳しい注意
4 事例 「女の子なのに」
5 事例 無言のはたらきかけ
2 生 活
1 事例 無理に食べさせる
2 事例 排泄時のプライバシーへの配慮
3 遊びや行事
1 事例 濡れ衣
2 事例 見ているだけでも
3 事例 意見を出し合う
4 事例 参加できる工夫
4 家庭との関係
1 事例 お弁当の準備
2 事例 噛みつきについての相談
3 身近な事例から子どもの権利の考えよう
資料 子どもの権利条約 日本ユニセフ協会抄訳
著者プロフィール
汐見稔幸(しおみ・としゆき)/東京大学名誉教授・白梅学園大学名誉学長
東京大学名誉教授・白梅学園大学名誉学長・全国保育者養成協議会会長・一般社団法人家族・保育デザイン研究所代表理事。東京大学大学院教育学研究科教授を経て、2007年10月から白梅学園大学教授・学長、2018年3月退職。専門は教育学、教育人間学、保育学、育児学。著書『汐見稔幸 こども・保育・人間』(Gakken保育Books)(新田新一郎編、汐見稔幸著、学研、2018年)ほか。
新保庄三(しんぼ・しょうぞう)/一般社団法人日本保育者支援協会共同代表
子ども総合研究所代表・一般社団法人日本保育者支援協会共同代表・社会福祉法人土の根会理事長。武蔵野市他、各地自治体で保育アドバイザーとして研修・相談活動に従事。1970年保育・福祉の専門出版社を設立。1987年子ども総合研究所の設立に参加。上越市の世代間交流保育システム構築研究会顧問、財団法人東京都助産師会館理事・評議員、東村山市花さき保育園園長等を経て現職。
●『保育者のためのコミュニケーション・トレーニングBOOK』(汐見稔幸 新保庄三/編著)ぎょうせい、2019年
( https://shop-mng.gyosei.jp/products/detail/9989)
野澤祥子(のざわ・さちこ)/東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター准教授
東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)准教授。東京家政学院大学准教授を経て2016年より現職。内閣府「子ども・子育て会議」委員、厚生労働省「保育所等における保育の質の確保・向上に関する検討会」委員等を歴任。専攻は発達心理学・保育学。Cedepでは乳幼児の発達、保育の実践と政策に関わる研究を行っている。著書『園づくりのことば:保育をつなぐミドルリーダーの秘訣』(分担執筆、丸善出版、2019年)ほか。