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山口 利恵

第23回 カフェ発 なぞの請求 宅配便の連絡と迷惑メール(後編)

ICT

2019.06.26

スパムメールから逃れる方法とは?

「途中で宅配の会社が変わったんですか。そんなことがあるんですね。」

 絵美は言った。

「そうなのよ。変だと思ったけど、迷惑メールに気をとられてしまっていて忘れていたわ。」

 里見はそう言いながら、コーヒーに口をつけると、竹見のゆっくりと開いた口に気がついた。

「里見さん、おそらくパンダ便を装った迷惑メールにだまされたんですね。」

「パンダ便を装ったメール?」

 里中が驚きながら言った。

「最近増えているんです。場合によっては、ウィルスに感染するような事例(*)もあるんですよ。」

「ええ? でも、パンダ便ってちゃんと書いてあったわ。」

「そうなんです、実際の名前を騙っているので、だまされた人がたくさんいます。」

「私だまされていたの?」

 里中は少ししゅんとなっているようだった。

「今回は、特にちょうどネットショッピングを利用したタイミングでメールが来ているので、違和感がなかったんでしょうね。」

 竹見はゆったりと諭すように続けた。

「偽パンダ便のサイトには、どういった情報を入れましたか?」

「名前とメールアドレスだったかしら。」

「クレジットカードの番号は?」

「二回も入れてないわよ。」

 里中は、はっきり言った。

「このあとどうしたらいいですか?」

 絵美が竹見に尋ねた。

「ケースバイケースなんだけれども、メールアドレスが漏洩しただけのようだから、スパムフィルターをある程度かければ、ちゃんと弾けるんじゃないかな。場合によってはメールアドレスを変えた方が良いかもしれないけど、今回はいいんじゃないかな。」

 竹見はコーヒーに再び口をつけた。

「ショックだわ。やっぱりネットショッピングなんてやるんじゃなかった。」

 里中は言った。

「いや、僕は、仕方ないと思いますよ。タイミングというか、運が悪かったんですよ。こういう風に思う人がいない世の中にしたかったんだけど、まだまだ難しいな。」

 竹見は言った。

 

*迷惑メールの手口
最近、実在する法人の名前を騙った迷惑メールが多発しています。特に、宅配便を行っている有名な業者を騙ったものが横行しています。このようなメールは、添付ファイルを開いたとたんに、PCがウィルスに感染するようなものも存在しています。メールに、不自然に空白や変な記号が含まれるなどの異変に気づいたら、特に添付ファイルを開かないように十分にご注意下さい。

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山口 利恵

山口 利恵

東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センター特任准教授

2003年津田塾大学理学研究科数学専攻修士課程修了。2006年東京大学大学院情報理工学系研究科博士後期課程修了 博士(情報理工学)、独立行政法人 産業技術総合研究所 研究員。内閣官房情報セキリュティセンター員兼務を経て2013年から現職。主な研究テーマである「ライフスタイル認証・解析」に関する各種講演やセミナーの登壇者として、また、「Society5.0を見据えた個人認証基盤のあり方懇談会」構成員を務めるなど、多方面で活躍中。

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