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霞が関情報「地方財務」2024年9月号(ぎょうせい)

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2024.10.01

※2024年9月時点の内容です。
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『月刊 地方財務』2024年9月号

インバウンドを地方部に(観光庁)

 政府は、2024年版の「観光白書」を閣議決定した。観光立国推進基本計画で掲げている訪日外国人旅行者の地方誘客の促進に焦点を当てた。外国人の延べ宿泊者数の約7割が三大都市圏に集中しているといった調査結果を踏まえ、インバウンド需要は地域によって偏在傾向があると指摘。好調なインバウンド需要を地方部へ波及させて消費を拡大できるかが、持続可能な観光を実現する上で喫緊の課題だと訴えている。

 白書は、訪日外国人旅行者の宿泊先は、新型コロナウイルス感染拡大前より三大都市圏への偏在傾向が強まっていると説明した。観光客が集中する一部の地域や時間帯によっては、公共交通機関の混雑や私有地への立入りといったことが原因で地域住民の生活などへ影響が及ぶオーバーツーリズム(観光公害)が生じていると強調。「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」に基づき、外国人旅行者の地方誘客を一層促進するよう訴えた。

 地方誘客と消費拡大に向けた地域の取り組みの事例も掲げた。2023年に選定した「高付加価値なインバウンド観光地づくりモデル観光地」から、県別のインバウンド観光指標の回復が堅調なエリアを紹介した。具体的には
▽豊かな自然資源を活用した広域周遊や滞在の促進(岩手県・東北エリア)
▽地域の伝統文化を生かした特別な体験の提供や多様な主体との積極的な連携(石川県)
▽地域の自然・社会との共生を実現するサステナブルな滞在拠点(熊本県)
──の3か所を例示している。

学校での生成AI活用で検討会議(文部科学省)

 文部科学省は、初等中等教育段階における生成AI(人工知能)の利活用に関する検討会議(座長・石川正俊東京理科大学長)を設け、議論を始めた。活用に関する具体的な方向性について意見交換している。2023年7月に暫定的なガイドラインが策定されてから1年間経過したのを受け、追加的に学校現場や学校設置者が留意すべき点などを検討。秋から冬にかけて改訂版の取りまとめに入る見込みだ。

 検討会議は、学識経験者や現場の教諭、教育委員会の関係者らで構成している。学校現場などでの利活用の在り方のほか
▽児童生徒が学びに生成AIを活用する際(教育利用)の考え方や留意点
▽教職員が校務で生成AIを活用する際(校務利用)の留意点や方策
──といった事項を検討する。

 暫定的なガイドラインは、生成AIの導入に伴うメリットや懸念があるため、活用の適否を判断する際の参考資料として取りまとめられた。情報活用能力が十分育成されていない段階で自由に使わせるといった適切でないと考えられる例と、生徒が一定の議論やまとめをした上で、足りない視点を見つけて議論を深める目的で使うなど活用が考えられるケースの両方を示している。

 ガイドライン公表後も、科学的知見の蓄積や学校現場での優れた取り組み、関係者からのフィードバックなどを踏まえ、機動的に改訂することになっている。

 実際、音声や画像、映像など異なる種類のデータを組み合わせて同時に処理する「マルチモーダル」といった技術革新が起き、サービス開発・社会実装が飛躍的なスピードで進んできた。一部の学校で、パイロット的取り組みも実施している。同省は、こうした社会的な背景・技術的な進展を踏まえ、さらに検討することにした。

洋上風力発電でガイドライン(環境省・経済産業省)

 環境省と経済産業省は、有識者による「洋上風力発電におけるモニタリング等に関する検討会」(座長・田中充法政大名誉教授)を設けた。洋上風力発電の環境面に関する知見が不足しているとして、工事中や稼働中の環境影響を把握するためのモニタリングの考え方や枠組みを明確にする。今年度内に業者向けのモニタリングのガイドラインをまとめる見込みだ。

 検討会は、海外の動向や最新の科学的知見を基に
▽国と事業者の役割分担を含めたモニタリングの内容
▽環境配慮の確保に向けたモニタリング結果の活用方法
──などについて整理し、ガイドラインの具体的な内容を考える。モニタリングの対象として、野鳥が風車に衝突する「バードストライク」の状況や、工事に伴う海生生物への影響などが想定される。

 中央環境審議会(環境相の諮問機関)は3月の答申で、事業での予見可能性の確保と科学的知見に立脚した環境配慮を両立するため、具体的な内容を盛り込んだガイドラインを公表するよう求めている。

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