クレーム対応術

関根健夫

クレーム対応術 10 記録を取ることの有効性と注意点

キャリア

2019.04.04

【コラム】マニュアルは実行を伴ってこそ意味がある

実行

 クレームに強い組織づくりのために、クレーム対応マニュアルを整備している役所も多い。

 マニュアルはあった方がよいが、問題は運用である。例えば、「不当要求と思われる行為があった場合は、調書を作成し危機管理部署へ提出する」などとマニュアルに書いてあるとしよう。それはどの程度のトラブルについて提出しなければならないのか、提出した書類がどのように使われて、結果として担当部署にどんなメリットがあるのかが曖昧なことが多い。業務が忙しい中で、現場の職員がそれに意味を感じるには、相当な意識の高さが必要だ。

 また、「不当要求には、一人で対応しないこと」などと書いてあっても、不当要求かどうかを、誰がどんな手順で判断するのか、いざとなったら、実際の職場の誰を、どのように呼び、もしその人がいなかったらどうするのかが大切なのだ。ここまで来ると、マニュアルを理解した上で、もう一段の阿吽の呼吸、職場の上司、部下のイメージを合わせる必要がある。

 多くの組織は、マニュアルを作るとそれで満足してしまう傾向がある。それだけでは、クレーム対応のためのコミュニケーション能力を開発する面では、かえってマイナスにもなりかねない。マニュアルに「上司を出さない」と書いてあると、何が何でも「自分は出ない」という上司もいると聞く。

 クレーム対応を職員全員で実行するために、より具体化した普段からの訓練、イメージトレーニングが必要だ。

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関根健夫

関根健夫

人材教育コンサルタント

1955年生まれ。武蔵工業大学(現、東京都市大学)卒業後、民間企業を経て、88年、アイベック・ビジネス教育研究所を設立。現在、同社代表取締役。コミュニケーションをビジネスの基本能力ととらえ、クレーム対応、営業力強化などをテーマに、官公庁、自治体、企業等の研修・講演、コンサルティングで活躍中。著書に、『こんなときどうする 公務員のためのクレーム対応マニュアル』『事例でわかる公務員のためのクレーム対応マニュアル 実践編』(ぎょうせい刊)。

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