クレーム対応術

関根健夫

カスハラ防止条例施行|上司が出るタイミング、出た方がよいケースについて【クレーム対応術8】

キャリア

2025.04.10

【コラム】組織の方針を徹底する

 クレームに強い組織をつくって対応する基本は、組織の方針を組織全員が共有し、理解することである。

 法や条例に基づいた基準や規定を守る意味では、まずは専門知識の共有が大事である。その都度、口頭やマニュアルで伝達することも大切だが、日程を決めて定期的に勉強会を開くことが有効だ。職員全員が、時と場を同じくすることも組織力強化につながる。

 また、特殊な状況下にあるケースについては、どのような場合に、どのような条件で対応するか。個別のケース想定もしておく。例外を認めるなら、どのタイミングでどこまで認めるかが重要だ。

 次に、お客さま応対の基本的な考え方である。ただ何となく、決まりごとを説明、説得するのではなく、どのような心構えで接客するのか、お客さまに応対することの本質的な意味、さらには公務員として社会に奉仕することの意味を、上司の言葉で伝え、話し合う。

 以上のような方針を理解したら、部下、担当者はそのことを意識しながら応対する。お客さまと意見が違っても、原則にしたがって厳格に説明する。このことがお客さま応対において徹底されてこそ、各種案件を上司に相談し、時には指示を仰ぐことにも意味がある。

 担当者本人が、すぐに「わかりません。聞いてきます」では組織としての信頼は揺らぐ。現実的な問題として、この応対には時間もかかるだろう。担当者の応対実績が、上司を出すことの下地にならなければならない。

 

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関根健夫

関根健夫

人材教育コンサルタント

1955年生まれ。武蔵工業大学(現、東京都市大学)卒業後、民間企業を経て、88年、アイベック・ビジネス教育研究所を設立。現在、同社代表取締役。コミュニケーションをビジネスの基本能力ととらえ、クレーム対応、営業力強化などをテーマに、官公庁、自治体、企業等の研修・講演、コンサルティングで活躍中。著書に、『こんなときどうする 公務員のためのクレーム対応マニュアル』『事例でわかる公務員のためのクレーム対応マニュアル 実践編』(ぎょうせい刊)。

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