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ローカル・マニフェスト推進連盟研修会【地方政策と議会改革を学ぶ】/イベントレポート

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2025.07.15

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【ガバナンス・トピックス】
先進的な地方政策と議会改革を学ぶ
──ローカル・マニフェスト推進連盟研修会

ローカル・マニフェスト(LM)推進連盟は5月9日に、都内で「地方政策と議会改革を学ぶ研修会『官民連携の最前線と、議選監査の役割と活用法』」を開催した。官民連携、DX、議会改革と多彩なテーマが用意され、会場とオンラインを併せて約120人が参加した。

官民連携、DXの先進事例を学ぶ

 地方議員や自治体職員、市民から構成されるローカル・マニフェスト(LM)推進連盟主催による今回の研修会は、「官民連携の最前線と、議選監査の役割と活用法」と題し、多彩な顔ぶれの登壇者で開催された。

第1部・官民連携①

 「無印良品との連携協定~『可児市立カニミライブ図書館』の可能性~」と題し、㈱良品計画の木村大輔・無印良品銀座総店長が発表した。

ローカル・マニフェスト推進連盟研修会、第1部の様子
(株)良品計画の木村大輔氏は、民間企業として地域とどう向き合うかを話した。


 木村さんは、営業本部岐阜事業部長時代の2023年11月に、岐阜県可児市の無印良品ヨシヅヤ可児の店舗内に可児市立図書館の分館である「カニミライブ図書館」の設置を牽引。買い物と学びが併存する新たな「地域の居場所」として注目を集めている。店舗と図書館が融合した全国初の事例について構想段階から開業に至るまでのようすを紹介した。

 フィールド・リサーチをしながら空間のコンセプトの検討を進めたことを振り返り、「カニミライブは、商品と本(図書館)が融合した『暮らし』と『暮らし方』に寄り添った空間だ。地域活性化の拠点でもあり、地域でまちづくりを進めていく活動体でもある」と話した。図書館を拠点に地域活性や子育て支援、健康促進に関する取り組みを行政とタッグを組み進めている。木村さんは、「地域を何とかしたいと思う人の気持ちは民間企業にも伝わる。行政と連携できたのは、熱意があり、組織に横串を通せる可児市職員がいたから。そのようなキーパーソンと一緒になれたからこそ難しい事業も実現できた」と語り、「地域なくして事業なし 事業なくして地域なし “人”なくして地域なし」という言葉で発表を締めくくった。

第2部・官民連携②

 東京都町田市政策経営部デジタル戦略室長の高橋晃さんと基盤系システム担当係長の和田進吾さんが登壇。「そのDX、役人だけで出来ますか?~オープンイノベーションによるDXの推進~」と題し、「デジタル化総合戦略」「デジタル化推進委員会」「生成AI施策の推進」などついて発表した。

 「デジタル化総合戦略」として、同市のスマートシティの実現に向けての取り組みを取り上げ、「クラウドサービスへのシフト」「200の基幹事務システムの標準化」「バーチャル市役所に向けたDXの推進」という3つの具体的な戦略を紹介。2024年4月に公開されたバーチャル市役所ポータル「まちドア」についても実際に操作してみせた。

 今回の事例紹介でもデジタル技術を活用。解説には動画やアバターを駆使し、登壇した2人は、補足と会場からの質問に答えた。高橋さんは「DXのトレンドに関心を持ち、積極的に取り入れていくことが重要。オープンイノベーションのマインドでチャレンジしていきたい」と先を見据えた。

議選監査の役割についても議論

第3部

 「議選監査の役割と活用法~時代に対応する自治体監査の進展~」として、議会と監査について取り上げた。これまでもLM勉強会では、議選監査委員の役割については定期的に議論を重ねてきた。

 まず、コーディネーター役の江藤俊昭・大正大学教授が「議選監査に関する課題―議選監査委員の活動は自治体監査、そして地域経営に連動する」として問題提起。議選監査を形骸化させずに機能させ、議員力・議会力アップ、そして住民自治の強化につなげることの重要性を強調した。

 続いて、ともに現役議選監査委員の川上文浩・可児市議会議員、子籠(こごもり)敏人・東京都あきる野市議会議員(両人とも元議長、LM推進連盟共同代表)が、それぞれの監査事例を紹介した。

 2021年8月から議選監査委員を務める川上さんは「監査委員と議会の連携は、住民福祉の向上を目的とした議会機能の充実だ」とし、「監査委員は“かかりつけ医”であり、身近にいて頼りになる存在だ」と述べた。「監査によって市役所(市民)と職員を守る立場でもある」と私見を付け加えた。

 子籠さんは、あきる野市で行っている監査の取り組みを紹介。「人間は間違えるし、忘れもする。だからこそ、監査はリスクを取り除くことが任務だ」と話した。そして、「監査のやり方は自治体によって千差万別。全国の様々な取り組みを共有し合えば、自治体監査や議選監査はもっと機能する」と述べた。今後は、他の監査委員事務局の視察研修や意見交換もしていく予定だとし、監査の質の向上について展望した。

 川上、子籠両氏の発表のあとには、会場参加の議選監査経験者が壇上に呼ばれ、それぞれの自治体の監査の現状について、意見交換。質問や感想に応えながら議論を深めた。

ローカル・マニフェスト推進連盟研修会、議論の様子
議選監査の議論では、参加者も交えてクロストーク。

 江藤教授は「こうした議論ができる勉強の場は、LM推進連盟ならではの取り組みで画期的だ」と話し、締めくくった。

 LM推進連盟は2025年4月1日より新体制となり、新たなスタートを切った。今後も様々な研修会などを通して、善政競争の輪を広げていく予定だ。

(本誌/浦谷 收)

 

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