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【地方公務員が選ぶ!】「すごい」公務員の表彰式/イベントレポート
NEW地方自治
2025.02.04
(『月刊ガバナンス』2025年1月号)
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地方公務員が推薦!すごいと思う公務員らを表彰
──「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2024」表彰式
「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2024」(株式会社ホルグ(加藤年紀・代表取締役社長)主催)の表彰式が2024年10月13日に都内で行われた。8回目の今年は、各地の地方公務員から推薦された11人がアワードを受賞。さらに今年から新設された「ネクストホープ賞」には2人が選ばれた。
会場には受賞者の家族も。喜びを分かち合った。
公務員が公務員を推薦
同アワードは17年からスタートし、今年で8回目。「地味、派手問わず成果をあげた公務員やすごい公務員を労い、そのすごさを公務員の世界の外にも届け、個々の公務員が組織の中で力を発揮しやすい環境を創ること」がアワードの目的です。
今年も他薦方式で全国各地の地方公務員の推薦者からすごい!と思われた地方公務員11人が選ばれ、表彰された。また、今回から新たに30歳以下が対象となる「ネクストホープ賞」も新設。2人が選ばれた。
開催に先立ち、酒井直人・東京都中野区長が祝辞。自身も元地方公務員の酒井区長は「役所同士、役所と民間の垣根を超える時代になっている。受賞者やそれを生んだ組織風土を学んでほしい」と挨拶した。
多彩な取り組みの実践者が受賞
アワードを受賞した11人の顔ぶれは以下のとおり(所属、肩書は表彰時のもの)。
①辻村真輝さん(大阪府羽曳野市都市魅力部魅力づくり推進課課長)
1日2000人が接種できる体制を400人の高齢者とシミュレーションし、コロナワクチン集団接種モデルを確立。「羽曳野モデル」としてその手法をオンラインで全国に共有した。また、予算ゼロで特殊詐欺防止啓発の実写マンガと動画に出演し、発信。そのほかに、猟師資格を持ち猟友会との交流など、多彩な資格を活かした事業企画や運営をしてきた。
②伊藤貴規さん(静岡県磐田市健康福祉部健康増進課主任保健師)
13年に「静岡県男性保健師の会」を発足し、全国にも拡大。男性保健師として悩みを持つ人たちの相談、情報交換ネットワークを確立。400人規模のLINEグループや交流会を実施し、地域にとどまらない健康増進に貢献している。また、09年に地域活性化に若者の力を、と「若者いわたネットワーク(WIN)」を設立。毎年「いわたゆきまつり」を開催し、6000人を集客するまでになっている。さらには、市SNSを立ち上げ、情報発信を強化している。
③郷田秀章さん(堺市上下水道局事業サービス課主幹)
20年に水道料金システム事業者と共同で、スマホアプリ「すいりん」を開発。電話対応、データ入力、書類作成等を効率化し、業務フローの見直しにつながった。全国初となる公金の電子納入通知書化を成功したことにより、年間1000万円以上のコスト削減に寄与。水道DXの進歩に貢献し、日本水道協会水道イノベーション賞大賞を受賞。また、マンホール蓋を愛するマンホ―ラーの一面も持ち、マンホールサミットでは1000人以上を前に講演もしている。
④武田亜可理さん(元愛媛県農林水産研究所水産研究センター環境資源室研究員)
仕事と両立しながら大学院に通い、漁業者の所得向上のために資源学と経済学の視点から研究。土日も惜しまず全国の漁業現場に足を運ぶ。
また、過酷な市場調査や地域の漁業に関する実情などを積極的にSNSでも発信。イベントなども開催し、地域と漁業の活性化に貢献。水産業を変える希望の光だ。
⑤近藤裕さん(愛知県豊田市生涯活躍部市民活躍支援課担当長)
豊田市は、「ラリーによるまちづくり」で自治体で初めてラリー世界大会を主催。市民団体233団体と協働して様々なPR活動を実施し、認知度を75%から94%まで向上させた。
また、子ども会補助金申請の電子化を実現し、申請の97%を電子化。残業時間の削減にもなり、全庁的の電子化の促進にも寄与した。業務と自主活動を紹介する新感覚の職員交流会も実施している。
⑥安高昌輝さん(埼玉県草加市市長付みらい戦略担当主査兼市長室広報課主査)
異動初年度に予算ゼロ・経験ゼロから「読まれない」広報紙フルリニューアルし、発行回数の見直しなども実行。24年全国広報コンクール県2位に入賞した。また、市民税課時代には、新たな税調査を実施し、年間5000万円の税収増を達成した。さらには、既存の概念にとらわれない子ども会組織の立ち上げと組織運営を通して、地域の子どもたちを育み、新たな地域コミュニティにつながる取り組みを実施。子ども会存続の危機を救い、「子どもに誇れるまちにしたい」と意気込む。
⑦橋本一磨さん(豊田市市長公室東京事務所所長)
自治体業務の債権管理に真正面から向き合い、バラバラに徴収していた26部署60種類の未収債権の「徴収一元化」と、その効率的な徴収のために弁護士との「官民連携」を全国で初めて実施。28億円の回収につながった。生活困窮者の早期発見と生活再建につなげるスキームも作り上げた。この取り組みは第10回プラチナ大賞「行政イノベーション賞」を受賞し、全国から注目、視察も増加した。
また、内閣府の提案募集制度を活用し、すべての歳入のコンビニ納付も提案。この提案は23年の地方自治法につながり、地方分権改革アワードも受賞した。
⑧池田次郎さん(兵庫県川西市市長公室市制70周年記念事業事務局事務局長補佐)
広報室時代には、広報紙のリニューアルに携わり、全国広報コンクールで入選すること4度。異動後も、川西市オリジナル楽曲のMVのプロット作成・撮影なども行う。これらのノウハウは、講演や様々な媒体で惜しみなくシェアしている。
また、コロナ禍初年度には、成人式「川西エキマエOnline」を企画。各地で成人式の中止が決まる中、開放空間での開催とライブ配信により、参加方法を選択できるハイブリッドイベントを実現した。ほかにも、待機児童解消のため、小規模園の複数参入や、市立学校の門のオートロック化などにも取り組んだ。
⑨勝谷聡一さん(京都府宇治田原町企画財政課課長補佐)
肉や魚介の少ない京都南部地域の人口8800人のまちで、ふるさと納税2億円超を実現した。子ども達への投資こそがまちの未来を切り拓くという信念で、夢を応援する「未来挑戦隊チャレンジャー育成PROJECT(ミラチャレ)」をプロデュース。寄附金の使い道は未来を担う子どもたちのための事業に限定し、50以上の事業を発案した。「ふるさとチョイスAWARD 2023」大賞を受賞。
また、広報担当時代には、日本広報コンクール総理大臣賞、史上初の京都広報賞3冠受賞などの実績も残している。
⑩伊藤允一さん(岐阜県瑞浪市みずなみ未来部シティプロモーション課魅力発信係長)
「化石のまち」をPRするシティプロモーション動画「奇跡の化石」を制作。映文連アワード優秀企画賞、日本国際観光映像祭優秀賞、そしてフランス映画祭でも入選した。
さらに、高校生と一緒に住民を巻き込んで地域課題の解決を図る「ミライ創ろまい課」の立ち上げや、ビームスジャパンとともに新たな地場産品を開発し、ふるさと納税返礼品数は着任前の300品から5倍の1500品になっている。
⑪深谷大一朗さん(福島県郡山市文化スポーツ部国際政策課課長補佐兼国際交流係長)
クラウドファンディング実施支援制度「こおりやま産業クラウドファンディング」や社会起業家支援プログラム「地域イノベーションラボこおりやま」など多くの事業・制度を、東北地方で先駆けて立ち上げる。クラウドファンディングでは4年で39件、9000万円以上を調達し、社会起業家支援は周辺17市町村を巻き込み、伴走支援をした。
また、保育所基準の最適化を行い兄弟姉妹が同じ保育所に入りやすいように基準を改定。地域活性化を目指す「地域クラウド交流会(ちいクラ)」や「東北まちづくりオフサイトミーティング(東北OM)」など地域を飛び出した活動も積極的に行っている。
若手職員も表彰
今回から新設されたネクストホープ賞には2人が選ばれた。
①茅野裕也さん(兵庫県高砂市福祉部生活福祉室生活福祉課事務吏員)
金融機関で働いていた茅野さんは、点としての企業支援から、面としての地域活性化に取り組みたいという思いで公務員へ転職。生活保護担当ながら、自身のネットワークを活かして、商工担当と金融機関、そして地域の商店街つなげ、活性化を図っている。また、大学と市をつなぎ、朝市マルシェなども展開。
②林和輝さん(富山県滑川市総務部公民連携課主事)
利用者の少ない都市公園でのビアマルシェを開催し、終了時間を早めて設定するなど、地元の周辺店舗にも来場者が流れるように工夫。他とは差別化した手法で地域経済活性化を図る。
また、地域ニーズから公民連携部署の創設を提案。24年に公民連携課が誕生し、スタートメンバーとして、新規事業創出、地域課題解決につなげている。
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表彰式では、審査員などを交えてトークイベントも実施。受賞者らは取り組みの裏側などを話した。会場には、推薦者や同僚、家族、さらには所属自治体の首長も参加。喜びを分かち合った。
受賞者は取り組みの裏側も話した。
首長も駆けつけ、受賞者を称えた。
最後に受賞者らが勢ぞろいした。
【審査員】長井伸晃(神戸市)、同前嘉浩(岡山県備前市)、岩﨑弘宜(茨城県取手市)、荒井菜彩季(LOCUS BRiDGE CMO、元埼玉県北本市)、寺井優介(福井県)、廣濱学(豊田市)
(本誌/浦谷 收)
*受賞者の詳細や推薦文などの詳細はこちらに掲載されている。
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(本誌/浦谷 收)