特別企画 趣旨から再確認する自治体債権の減免の実務 第2回 減免事由総論

地方自治

2024.01.29



※本記事は、月刊『税』2023年10月号に掲載されたものです。

 

季刊連載 趣旨から再確認する自治体債権の減免の実務
第2回 減免事由総論

自治体支援弁護士プロジェクトチーム代表 弁護士 瀧 康暢

第2章 一般的な減免事由と適用要件

1 減免規定の表現

 地方税法の各税目の減免規定は次のように画一的な表記で統一されています。

① 天災その他特別の事情がある場合において○○税の減免を必要とすると認める者 ② 貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者 ③ その他特別の事情がある者

 そして、②の生活窮迫減免については、性質上自然人のみを対象とし、法人に適用される余地はありません。また、納税者に資力があることが前提となっている税目(法人事業税(地税法72の49の4)、個人事業税(72の62)、不動産取得税(73の31)、軽油取引税(144の42)、自動車税の環境性能割(167)、自動車税の種別割(177の17)、鉱区税(194)、軽自動車税の環境性能割(461)、鉱産税(532)、特別土地保有税(605の2)、事業所税(701の57))については、「②貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者」は、減免理由とされません。

2 条例で定めるところ

 減免の対象となる者は、前記①、②、③の表現から理解されるように、幅広い解釈が可能で、自治体の独自の判断により条例で基準を定めて減免することが可能です。

 減免は、納税者の個別具体的な特殊事情に応じて行うものです。また、世界的な経済恐慌、特定地域の大規模企業の倒産、特定業種の衰退など時々の社会経済情勢、突発的に発生する自然災害、ウィルス・病原菌等による感染症の広範な流布、化学汚染物質の漏泄、政策実現のための公益実現などに、柔軟に対応するため、地方税法では、敢えて減免基準を明確に定めていないといえます。

 もっとも、社会情勢・公益目的に応じて条例の定めにより、柔軟に対応できるとはいえ、減免を公正、平等に行うために条例・規則には、減免できる場合及び減免の割合等の基準について、具体的、明確に規定しなければなりません(租税法律主義)。

 本章では、地方税法のすべての税目に通則的に共通する減免理由について、述べていきます。

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