連載 vol.81「つながる」力 仲間に教えてもらった「活きる」大切さ 【山口明大(徳島・美馬〈みま〉市職員)】
地方自治
2023.09.13
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2020年12月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
4月から美来創生局にぎわい交流課で移住促進やふるさと納税などを担当する一方で、市の債権収納推進PTにも専門員として携わっている。
徴収業務に関わることになったのは、2006年設立の徳島滞納整理機構に出向したことがきっかけだ。出向から戻った頃の美馬市は、差押をしておらず、滞納処分を執行することで暴言や脅迫、時には暴力を受けることもあった。
多くの滞納者と接する中で、税金や保険料だけでなく、ローンや多重債務に苦しんでいる人が多いことに気づき、その後、ファイナンシャルプランナーの資格を取得したことで、より深く話を聞き、生活再建へつながる話をすることができるようになった。
収支バランスの把握、ローン借り換えの案内、弁護士の紹介などを行った。しっかり話を聞きアドバイスすることで、より深い話ができ、良好な関係を築くことができた。また、全国の徴収職員と困難事案や悩み、知識を共有することで、新しい仲間に出会うことができた。
私は25歳の時、突然白血病を発症し、死の淵を彷徨った。幸運なことに翌年、骨髄バンクを通じて骨髄提供を受け、新しい人生をスタートさせることができた。現在の制度では、ドナーに直接お礼を言うことができない。そこで恩返しのため始めたのが、もう一つの肩書き「プロ麻雀士」としてチャリティ麻雀大会を主催することだ。2005年、東京で開催して以降、多くの企業や関係者からサポートを受け、毎年大勢の方に参加していただいている。大会を通じてドナー登録をした人は20人を越え、募金総額は約700万円となった。大会で会う仲間達の笑顔も私にとって宝物だ。あの時病気で死んでいたら、こんなにたくさんの人に出会えることも、貴重な経験をすることもなかった。
仲間に「活きる」という言葉を教えてもらった。人生には楽しいことも辛いこともあるが、生きていなければ経験できない。今を生きる私はこれからも、仕事やプライベートで多くの人に出会うため、精一杯「活きて」いきたい。
(徳島・美馬〈みま〉市職員/山口明大)