連載 vol.60「つながる」力 はじめの一歩 【仲田太樹(愛媛・今治市職員)】
地方自治
2023.03.13
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2019年3月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
〇「何もない」からのスタート
私は四国出身だが、今治市とは縁もゆかりもないJターン者である。現在は今治市を含め四国が好きだが、昔は他の地域に比べて「何もない」四国のことが嫌いだった。にもかかわらず、今治市に住み始めた一番の理由は、〝0〟から自分の故郷を作りたいと思ったからである。その思いは大学院時代を過ごした東北で醸成された。
東日本大震災によって被災地は「何もない」状態になり、震災から数年経っても復興を感じられない地域もあった。ただ、もう一度自分たちの故郷を作ろうと励む行政職員や住民と話す度に故郷への思いが強くなり、〝0〟から自分の故郷を作りたいという思いを抱き、今治市役所を受験した。
〇「つながり」の力が「何もない」を変える
東北OMを知っていたこともあり、四国OMに参加したところ、関西・関東など四国以外の参加者がいて驚いた。話を聞くと、四国OMの発起人である福田倫丈さんとの「つながり」で来たことが分かった。個々人の高い意識もあるが、人を巻き込む福田さんの「つながり」の力に関心を抱いた。
その「つながり」の力を大きく感じたのが、今治でOMを開催した時だった。FC今治の岡田武史さんに講演を依頼しようとしていたが、その時の私は全国的にも有名な方に何のつてもない自分が依頼しても無駄だろうと、半ば諦めていた。しかし、福田さんと岡田さんの共通の知人の方が尽力してくれたおかげで、最終的に講演いただくことができ、当日は全国各地から多数の方々に参加いただいた。
この件で私は、①人は立場によってではなく、人と人との「つながり」によって動くということ、②問題なのは、四国に「何もない」ことではなく、〝単なる市役所の一職員でしかない〟という思いから行動しなかった自分自身だということ、に気づけた。職場内外にかかわらず、人と人との「つながり」は自分自身と向き合うきっかけとなり、「何もない」自分を成長させてくれた。今後は、この「つながり」をより大きくしていけるよう、さらなる一歩を踏み出していきたい。
(愛媛・今治市職員/仲田太樹)