こちら「滋賀県」情報化本部

地方自治

2021.09.10

この資料は、地方公共団体情報システム機構発行「月刊J-LIS」2021年7月号に掲載された記事を使用しております。
なお、使用に当たっては、地方公共団体情報システム機構の承諾のもと使用しております。

県と市町共同の「スマート自治体滋賀モデル研究会」でICT活用を推進

日本のほぼ真ん中に位置し、その中央に県土の約6分の1を占める日本最大の湖・琵琶湖を抱える滋賀県。ICTの活用推進のため、県と市町が一体となった取り組みが成果を上げている。

(月刊「J-LIS」2021年7月号)

滋賀県総合企画部情報政策課の紹介

 滋賀県は琵琶湖や緑豊かな自然が広がり、古くから交通の要衝の地として栄え、古刹・名刹の歴史ある寺社や戦国武将たちの足跡、歴史情緒が残る県です。また、全国に先駆けSDGsを県政に取り込むことを宣言し、2019年、SDGs未来都市に選定されています。

 情報政策課は、県域の行政共用ネットワークを兼ねるびわ湖情報ハイウェイをはじめとする庁内情報通信基盤やグループウェアなどの運用管理を担当する情報基盤係、情報システムの全体最適化や関連予算の事前調整、情報セキュリティポリシーの統括などを担当する県庁デジタル化推進係、地域情報化における市町支援や関係団体との連絡調整、マイナンバー制度の推進などを担当する地域デジタル化連携推進室で構成され、計26名の職員が在籍しています。

県と市町が一体となったスマート自治体の推進

 滋賀県では、行政サービスの改革による住民の利便性向上と自治体組織の働き方改革に資する行政事務の効率化を推進するため、2019年度に県内の3市と共同で「スマート自治体滋賀モデル研究会」を設置し、ICTを活用した施策についての情報収集、意見交換、調査、取り組みの実証等に取り組んでいます。

 2020年度には、県内全19市町のうち研究会の方針に賛同した9市2町を加えた計15団体で共同調査研究を実施。県民等がスマートフォンやパソコンで必要な手続きを把握しワンストップで完結できるデジタル環境の試験運用と、調達・導入事務の負担軽減やスケールメリットをいかした財政負担の軽減を図る共同調達・共同利用の検討に取り組みました。2021年度は研究事業の成果を踏まえて、県と複数の市町で「行政手続きガイドシステム」、「汎用電子申請システム」、「ビジネスチャットシステム」を共同で調達し、利用を開始しました。また、研究会では、AI・SNS等を活用した行政サービスの向上・充実や、県域でのオープンデータ推進等の検討を進めており、今後も、県・市町の枠組みにとらわれず、住民・企業等の利便性の向上を職員負担の軽減も図りながら、滋賀県独自の「スマート自治体滋賀モデル」を県内全ての自治体で共有できるよう取り組んでいきます。

庁内デジタル化に向けた取り組み等

 滋賀県では1989年に財務会計のオンライン処理を開始するとともに、1996年度以降、県庁LANの構築やグループウェアの導入などの庁内情報化を進めてきました。2002年にはびわ湖情報ハイウェイの整備と一人1台の事務用端末の配備を完了し、庁内事務の電子化をサポートする共通情報基盤を整備しました。一方で、それまで大型汎用機で処理していた基幹系事務システムのオープン化を順次進め、2005年には文書管理、2008年には給与・服務、2013年には予算編成などのシステムを運用開始してきました。また、これらの基幹系を含む複数システムの稼働環境を仮想サーバ上に集約するサーバ統合基盤を構築するなど、情報システムの全体最適化にも取り組んできました。

 また、大規模災害時の県庁BCPへの対応などを想定した、庁外遠隔地から庁内の情報資産を利用できるリモート接続環境を、2019年に再構築・増強するとともに、事務用端末をモバイル化することで、コロナ禍における「新たな日常」に対応した県庁テレワーク実践のための基盤としても活用しています。

これからのデジタル社会に向けた展望

 少子高齢化をはじめとした社会の変化を踏まえ、滋賀県ではICTの積極的な活用による「スマートでしなやかな県庁」「生産性の高い働き方の実現」を目指しており、Web会議による業務効率の向上や、RPA、AIの音声認識・文字認識の機能等を活用した事務処理の自動化・省力化、また、2020年度からは職員間の情報伝達にビジネスチャットを利用し、コミュニケーションのスマート化も進めています。

 地域においては、2020年度に政府のマイナポイント事業に県独自のポイントインセンティブを与える「滋賀県キャッシュレス決済推進事業」を実施し、9月1日の事業開始時点では全国10位であったマイナンバーカードの交付枚数率を全国4位の35.8%(2021年6月1日現在)に引き上げ、大幅な普及拡大を図りました。今後はマイナンバーカードの様々な活用方策を、官民共同で検討していければと考えています。

 新型コロナ禍を通じて、個人・産業・社会のあらゆるレベルで、デジタル化やデータ活用によるデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進が求められていますが、滋賀県では今年度、行政のデジタル化を計画的に進めるとともに、産業・社会基盤としてのデジタルインフラを浸透させることで、県民の暮らしを豊かで快適にする社会全体のDXを目指す「(仮称)滋賀県DX推進戦略」を策定します。

 戦略では、【暮らし】【産業】【行政】の各分野におけるDXによる新たな価値創造に向けたビジョンと、その実現のための取り組みテーマを掲げることとしています。

 また、今年度5月には、新たに「滋賀県DX官民協創サロン」を開設し、県内の自治体や事業者の取り組みと、これを技術面で支援する専門企業等をマッチングすることで、DX推進を加速化させていきたいと考えています。

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特集:自治体DXに向けたJ-LISの取り組み

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