医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律
地方自治
2020.12.01
2 「告知要求制限」制度の創設に伴う例規整備
「告知要求制限」制度の創設によって、本人確認のために被保険者証を提示させる行為が禁止されたわけではないため、このことに関して例規整備が必要になるということは基本的には考えられません(本人確認書類を列挙した規定から被保険者証を削るといった改正は不要です。また、本人確認が目的であれば、被保険者証等の記号・番号等を提出書面に記載させるような規定にもなっていないはずです。)。
なお、例規中の様式の定めのうちには、被保険者証等の記号・番号等の記載を求めるもの(例えば、次の自立支援医療費支給認定申請書や介護保険要介護認定等申請書などの様式)もありますが、これらは被保険者証等の記号・番号等の記載要求の根拠が法定されているもの(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則第35条第1項第4号、介護保険法施行規則第35条第2項など)や前掲の告知要求が可能なケースに該当するものと思われます。
■自立支援医療費(育成医療・更生医療)支給認定申請書の様式
※黄色マーカー部分が被保険者証等の記号 ・ 番号等の記載を求めている箇所
■介護保険要介護認定等申請書の様式
※黄色マーカー部分が被保険者証等の記号 ・ 番号等の記載を求めている箇所
■参考法令
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則
(支給認定の申請等)
第三十五条 法第五十三条第一項の規定に基づき支給認定(法第五十二条第一項に規定する支給認定をいう。以下同じ。)の申請をしようとする障害者又は障害児の保護者は、次の各号に掲げる事項を記載した申請書を、市町村(精神通院医療(令第一条の二第三号に規定する精神通院医療をいう。以下同じ。)に係る自立支援医療費の支給に関しては、都道府県とする。以下「市町村等」という。)に提出しなければならない。
一~三(略)
四 当該申請に係る障害者等の医療保険各法(健康保険法(大正十一年法律第七十号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)及び高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号。以下「高齢者医療確保法」という。)をいう。以下同じ。)による被保険者証(日雇特例被保険者手帳(健康保険印紙をはり付けるべき余白があるものに限る。)及び被扶養者証を含む。附則第八条において同じ。)、組合員証又は加入者証に記載されている記号、番号及び保険者名称
五~十 (略)
2~4 (略)
介護保険法施行規則
(要介護認定の申請等)
第三十五条 法第二十七条第一項の規定により要介護認定(法第十九条第一項に規定する要介護認定をいう。以下同じ。)を受けようとする被保険者は、次に掲げる事項を記載した申請書に被保険者証を添付して、市町村に申請をしなければならない。ただし、当該被保険者が、第二十六条第一項の規定により被保険者証の交付を受けた第二号被保険者以外の第二号被保険者(以下「被保険者証未交付第二号被保険者」という。)であるときは、当該申請書に被保険者証を添付することを要しない。
一~四 (略)
2 前項の申請に係る被保険者が第二号被保険者であるときは、当該被保険者は、当該申請を医療保険被保険者証等を提示して行うものとする。ただし、市町村が当該第二号被保険者が医療保険加入者であることを公簿等によって確認することができるときは、この限りでない。
3~6 (略)
■高齢者の医療の確保に関する法律(オンライン資格確認の導入関係)
赤字:改正前の字句 青字:改正後の字句
高齢者の医療の確保に関する法律
(療養の給付)
第六十四条 後期高齢者医療広域連合は、被保険者の疾病又は負傷に関しては、次に掲げる療養の給付を行う。ただし、当該被保険者が被保険者資格証明書の交付を受けている間は、この限りでない。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
2 略
3 被保険者が第一項の給付を受けようとするときは、自己の選定する保険医療機関等に被保険者証を提出してから、電子資格確認(保険医療機関等から療養を受けようとする者又は指定訪問看護事業者から第七十八条第一項に規定する指定訪問看護を受けようとする者が、後期高齢者医療広域連合に対し、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。)に記録された利用者証明用電子証明書(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第二十二条第一項に規定する利用者証明用電子証明書をいう。)を送信する方法により、被保険者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、後期高齢者医療広域連合から回答を受けて当該情報を当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者に提供し、当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者から被保険者であることの確認を受けることをいう。以下同じ。)その他厚生労働省令で定める方法(以下「電子資格確認等」という。)により、被保険者であることの確認を受け、第一項の給付を受けるものとする。ただし、厚生労働省令で定める場合に該当するときは、被保険者証を提出すること当該確認を受けることを要しない。
4~7 略
(療養費)
第七十七条 略
2 後期高齢者医療広域連合は、被保険者が被保険者証を提出しない電子資格確認等により被保険者であることの確認を受けないで保険医療機関等について診療又は薬剤の支給を受けた場合において、被保険者証を提出しなかつた当該確認を受けなかつたことが、緊急その他やむを得ない理由によるものと認めるときは、療養の給付等に代えて、療養費を支給するものとする。ただし、当該被保険者が被保険者資格証明書の交付を受けている間は、この限りでない。
3・4 略
(訪問看護療養費)
第七十八条 略
2 略
3 被保険者が指定訪問看護を受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、自己の選定する指定訪問看護事業者に被保険者証を提出してから、電子資格確認等により、被保険者であることの確認を受け、当該指定訪問看護を受けるものとする。
4~11 略
第八十二条 略
2・3 略
4 第一項に規定する場合において、被保険者が被保険者資格証明書を提出しない電子資格確認等により被保険者であることの確認を受けないで保険医療機関等について診療又は薬剤の支給を受け、被保険者資格証明書を提出しなかつた当該確認を受けなかつたことが、緊急その他やむを得ない理由によるものと認めるときは、後期高齢者医療広域連合は、療養費を支給するものとする。
5 略
(被保険者番号等の利用制限等)
第百六十一条の二 厚生労働大臣、後期高齢者医療広域連合、保険医療機関等、指定訪問看護事業者その他の後期高齢者医療の事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため被保険者番号等(保険者番号(厚生労働大臣が後期高齢者医療の事業において後期高齢者医療広域連合を識別するための番号として、後期高齢者医療広域連合ごとに定めるものをいう。)及び被保険者番号(後期高齢者医療広域連合が被保険者の資格を管理するための番号として、被保険者ごとに定めるものをいう。)をいう。以下この条において同じ。)を利用する者として厚生労働省令で定める者(以下この条において「厚生労働大臣等」という。)は、当該事業又は事務の遂行のため必要がある場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者番号等を告知することを求めてはならない。
2 厚生労働大臣等以外の者は、後期高齢者医療の事業又は当該事業に関連する事務の遂行のため被保険者番号等の利用が特に必要な場合として厚生労働省令で定める場合を除き、何人に対しても、その者又はその者以外の者に係る被保険者番号等を告知することを求めてはならない。
3 何人も、次に掲げる場合を除き、その者が業として行う行為に関し、その者に対し売買、貸借、雇用その他の契約(以下この項において「契約」という。)の申込みをしようとする者若しくは申込みをする者又はその者と契約の締結をした者に対し、当該者又は当該者以外の者に係る被保険者番号等を告知することを求めてはならない。
一 厚生労働大臣等が、第一項に規定する場合に、被保険者番号等を告知することを求めるとき。
二 厚生労働大臣等以外の者が、前項に規定する厚生労働省令で定める場合に、被保険者番号等を告知することを求めるとき。
4 何人も、次に掲げる場合を除き、業として、被保険者番号等の記録されたデータベース(その者以外の者に係る被保険者番号等を含む情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)であつて、当該データベースに記録された情報が他に提供されることが予定されているもの(以下この項において「提供データベース」という。)を構成してはならない。
一 厚生労働大臣等が、第一項に規定する場合に、提供データベースを構成するとき。
二 厚生労働大臣等以外の者が、第二項に規定する厚生労働省令で定める場合に、提供データベースを構成するとき。
5 厚生労働大臣は、前二項の規定に違反する行為が行われた場合において、当該行為をした者が更に反復してこれらの規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、当該行為を中止することを勧告し、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な措置を講ずることを勧告することができる。
6 厚生労働大臣は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、当該勧告に従うべきことを命ずることができる。
(報告及び検査)
第百六十一条の三 厚生労働大臣は、前条第五項及び第六項の規定による措置に関し必要があると認めるときは、その必要と認められる範囲内において、同条第三項若しくは第四項の規定に違反していると認めるに足りる相当の理由がある者に対し、必要な事項に関し報告を求め、又は当該職員に当該者の事務所若しくは事業所に立ち入つて質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 第十六条の七第二項の規定は前項の規定による質問又は検査について、同条第三項の規定は前項の規定による権限について、それぞれ準用する。
(支払基金等への事務の委託)
第百六十五条の二 後期高齢者医療広域連合は、第七十条第四項(第七十四条第十項、第七十五条第七項、第七十六条第六項及び第七十八条第八項において準用する場合を含む。)に規定する事務のほか、次に掲げる事務を支払基金又は国保連合会に委託することができる。
一 略
二 第五十六条に規定する後期高齢者医療給付の実施、第百四条第一項の規定による保険料の徴収、第百二十五条第一項の規定による高齢者保健事業の実施その他の厚生労働省令で定める事務に係る情報の利用又は提供に関する事務
2 略
(関係者の連携及び協力)
第百六十五条の三 国、後期高齢者医療広域連合及び保険医療機関等その他の関係者は、電子資格確認の仕組みの導入その他手続における情報通信の技術の利用の推進により、医療保険各法及びこの法律の規定により行われる事務が円滑に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するものとする。
第百六十七条の三 第百六十一条の二第六項の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第百六十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
一・二 略
三 正当な理由がなく第百六十一条の三第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して、正当な理由がなく答弁せず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは正当な理由がなく同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
第百六十九条の三 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。)を含む。以下この項において同じ。)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第百六十七条の二又は第百六十八条第三項、第百六十七条の三、第百六十八条第三項又は第百六十九条第三号の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
2 略