仕事もココロも楽になる!公務員の超整理術
【仕事もココロも楽になる!公務員の超整理術】結論から考える要約力
地方自治
2020.09.25
仕事もココロも楽になる!公務員の超整理術
出版社(株)ぎょうせいは2020年8月、『仕事もココロも楽になる!公務員の超整理術』(本山毅/著)を刊行する運びとなりました。本書は、公務員の職場における書類やファイル、パソコン上のフォルダの整理術だけではなく、人間関係、出世、お金や結婚といった公務員のプライベートまで幅広い課題を包括し、「仕事もココロも楽になる!」ための整理術の本です。
ここでは、基礎自治体において幅広い分野の業務を経験した著者ならではの知見の詰まった『仕事もココロも楽になる!公務員の超整理術』(本山毅/著)のうち、第2章 仕事が驚くほどはかどる「業務の整理術」 4 結論から考える要約力をご紹介し、本書の特色やポイントについて紹介したいと思います。(編集部)
まず結論を述べる
ある職場で、係長が課長の机の前に立ちました。「先日、監査がありまして、昨年度の児童手当の支給人数と支給額が違うとの指摘がありました。このため、担当者にもう一度確認させました。そうしたところ、6月支給分は間違っていなかったのですが、10月支給分から間違っていました。2月支給分については......」と話し始めたのですが、これを聞いて皆さんはどのように感じるでしょうか。
多くの方は、「話が長い」、「結局、この係長は何が言いたいのか」と思うのではないでしょうか。正にそのとおりです。これまでの経過ばかり説明していて、結局、何を課長に言いたいのかが明確ではありません。先に結論を言わないために、聞いている課長はいつまで経っても話の主旨がわからないのです。これでは、課長もいらだってしまいます。
この係長が最初に課長に言うべきことは、「昨年度の児童手当の支給に間違いがあり、追給もしくは返還を求める住民がいる」です。報告を行う場合、まず結論を先に言い、経緯などの詳しい説明はその後です。
このように文章で説明すると、皆さんは「そんなの当然じゃないか」と思うかもしれません。しかし、本当にできているでしょうか。例えば、住民から手当の金額に関する問い合わせの電話があった場合、「この手当を受給できるのは......」と手当が受給できる条件の説明から始めるようなことはないでしょうか。
ところで、なぜ先の係長は結論から述べずに、経緯から話し始めたのでしょうか。それは、「係長が課長に何を伝えるべきか」を認識していなかったからに他なりません。課長に話しに行く前に、係長が報告のポイントをきちんと考えていれば、経緯から説明することはなかったはずです。話のポイントを簡単に一言でまとめる要約力が欠如していたのです。
要約力とは
要約力とは、まとめる力です。内容を一言でまとめる力、もしくは大事なポイントを簡潔にまとめる力です。
簡単に言えば、「○○は╳╳だ」と一言で主旨をまとめたり、「昨日の担当者からの説明で重要な点は、次の点に集約できます」のようにポイントをまとめたりすることです。これは、仕事をする上で非常に重要です。
例えば、予算要求を行うにあたり、財政課がその注意点を説明する会議を開催したとします。会議次第には、①最近の市を取り巻く状況、②近年の予算・決算の推移、③来年度予算要求を行う上での注意点、④今後のスケジュール、⑤担当者紹介、と記されており、それに従い説明があったとします。
この中で、最も重要なのは、③来年度予算要求を行う上での注意点であり、①・②は前置き、④・⑤は自分に関係する部分だけをチェックしておけば十分です。このように、大事なポイントを見抜く力が要約力なのです。
この力がないと、熱心に①・②を聞くあまり、大事な③のポイントが抜けたり、⑤の自分の担当者がわからなくなったりしては、この会議に出席した意味がありません。例えば、後でこの会議に出席できなかった職員に、「つまり、この会議で重要なことは、○○だ」と簡潔に伝えられることが大事なのです。
インプット・アウトプットの両面がある
要約力は、インプットでもアウトプットでも活用されます。
インプットでは、与えられる大量の情報を整理し、大事なポイントだけを選び抜くことです。これは、様々な業務を経験しながら、意識して「つまり、○○は╳╳だ」のように整理していく経験を重ねれば身に付いていきます。
アウトプットでは、要約した結論や主旨を先に伝えることです。冒頭のケースで言えば、「昨年度の児童手当の支給に間違いがあり、追給もしくは返還を求める住民がいる」と言えば、課長は「何人で額はいくらか」、「なぜ間違いが発生したのか」、「プレス発表はどうするか」など、次から次へと疑問が頭に浮かび、係長の説明に耳を傾けます。
要約力がある人は、物事の本質をつかんでいる人です。反対に物事の本質をつかめていない人には、要約はできないのです。そうした人は、「何のために、この業務を行うのか」、「この会議でのポイントは何か」が明確ではありません。これでは、効率的に業務を進めることはできませんから、結局は、時間を無駄にしてしまうのです。