公務員のためのハラスメント“ゼロ”の教科書

高嶋直人

【新刊】公務員に特化した『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』(高嶋直人/著)―パワハラ都市伝説①「怒るとパワハラ、叱るのはOK」は嘘

NEW地方自治

2020.07.24

パワハラ都市伝説①「怒るとパワハラ、叱るのはOK」は嘘
公務員のためのハラスメント“ゼロ”の教科書

(株)ぎょうせいは令和2年7月、公務員に特化したパワーハラスメントの専門実務書『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』(高嶋直人/著)を刊行しました。パワーハラスメントの防止を企業に義務付けるパワハラ防止法(労働施策総合推進法)が令和2年6月、施行されたことを受けたものです。ここでは、『公務員のためのハラスメント“ ゼロ” の教科書』から内容の一部を抜粋してご紹介します。(編集部)

●「怒り」とパワハラは別で考える

 世間ではパワハラに関するまことしやかな嘘が蔓延しています。その典型例が、「怒り」が含まれる言動だけがパワハラに当たるという嘘です。パワハラという言葉がまだ世間で一般的でない時期においては、多くの人にイメージしてもらうために詳しい説明をあえて省き、パワハラに当たる言動の一部を典型例として語る必要があったかもしれません。しかし、今や「怒るとパワハラ」という言葉はあまりにも雑過ぎて、多くの人に誤解を与え、パワハラに対する正しい理解をむしろ困難にさせています。

 法令で定められたパワハラの定義には「怒り」という要素は含まれていません。「怒ったらパワハラ、叱ったらパワハラではない」というのはズバリ言えば、「都市伝説」です。例えば、冷静に長時間叱り続けてもパワハラになり得ます。「怒り」がパワハラの定義と無関係なことを示す典型例は、「無視することもパワハラ」になり得ることです。

●怒っている、怒っていないは関係ない

 確かにパワハラに当たる言動のうち、「精神的な攻撃」の多くが、「上司が部下に自分の怒りをぶつける」というパターンであることは事実です。しかし、パワハラの定義はそんなに狭くありません。パワハラと訴えられた時、自分は一切「怒っていない」と言っても弁明にはなりません。「怒りを抑えて叱った」としても叱り方を間違うとパワハラになります。

 怒っている人に「怒っていますか?」と尋ねれば、多くの人は「怒っていない」と答えるでしょう。人それぞれ怒りを測る物差しは違います。マネジメントスタイル自体を変えない限り、自分の中である程度怒りをコントロールできたとしても、パワハラを繰り返してしまいます。

 確かに怒りをコントロールすることは重要です。しかし、怒りをコントロールすることとパワハラをしないということの距離は遠く、直接的な関係性にはないと理解すべきです。

 今でもあえて怒りを中心にパワハラを説く「専門家」がいて、人気を博しています。しかし、法令で定められたパワハラの定義を客観的に正しく理解さえすれば、怒りが中心的な要素でないことは明白です。

 パワハラは「間違ったマネジメント」を広く含んだもので、怒りが原因である言動はその一部にすぎません。

Point
・「怒り」が含まれる言動だけがパワハラというのは嘘である。
・怒りをコントロールするだけでは、またパワハラを起こすことになる。
・パワハラに当たる言動は、「間違ったマネジメント」全般にわたる。
・マネジメントスタイルを見直そう。

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高嶋直人

高嶋直人

人事院 公務員研修所客員教授

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。人事院公務員研修所主任教授、財務省財務総合政策研究所研修部長などを経て現職。人事院、財務省、国土交通省、自治大学校、市町村アカデミー、マッセOSAKA、東北自治研修所、全国の自治体などにおいて「マネジメント」「リーダーシップ」「働き方改革」「ハラスメント防止」等の研修講師を務める。月刊『ガバナンス』に「人財を育てる“働きがい”改革」連載中。

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