月刊「ガバナンス」特集記事

ガバナンス編集部

月刊「ガバナンス」2020年4月号 特集 地方分権一括法施行20年──その成果と展望(首長・職員編)

NEW地方自治

2020.04.01

●特集 地方分権一括法施行20年──その成果と展望(首長・職員編)

2000年4月の地方分権一括法の施行から4月で20年。施行後に入庁した職員もいまや自治体の中堅層だ。機関委任事務を全廃し、国と地方を上下主従から対等協力の関係に位置付けた同法によって地方自治はどこまで進展したのか。同法施行20年を機に、その成果と課題を検証し、今後の自治のあり方を展望したい。

月刊「ガバナンス」2020年4月号

■地方分権一括法と自治体の長/片山善博

地方分権改革は20年前に決まった制度的成果の上に安住していてはいけない。地方分権改革とは常に終わりのない運動、日々の絶えざる活動だとあらためて認識しておく必要がある。その運動や活動の中心的役割を担う首長の責任は重い。

片山善博(早稲田大学 政治経済学術院 教授)

■政策法務の進展・課題/山口道昭

政策法務とは、政策実現のためのツールのひとつである。したがって、まずは、政策課題の発見が重要である。政策課題の解決こそが目的であって、政策法務は、その手段だ。法務は、国法によって大枠が仕切られていて、政策法務は、仕切りの範囲を工夫(理論)によって拡大しようとするが、自ずから限界がある。しかし、自治体では、国法の仕組みだけでは不十分であって、政策法務の王道としては、さらなる法整備を国に求め、そのための具体的アイデアを提供すること、自治体における実験的実践の積み重ねが求められよう。

■政策開発と情報分権/宮脇 淳

21世紀の地方分権の最終的な目的は、地域ごとに異なるジレンマへ対応する政策を自ら生み出す積極的自由の実現にある。制度的制約の見直しを行い、地方自治体の消極的自由を拡充することが国の地方分権改革の中核的テーマとなる。その上で、最終的目的である積極的自由は、地方自治体自らが生み出す力を積み重ねなければ実現できない。消極的自由と積極的自由は、地方分権の車の両輪であり、後者の中核となるのが政策開発力である。

■地方分権一括法から20年、自治体の法運用は変わったのか?
 ──自治体職員のあり方・働き方を問い直す/嶋田暁文

自治体職員にとって最も大事なことは、現場に足を運び、地域の人々の声に耳を傾け、問題を発見し、「どうにかしたい」という熱い思いを持つことだろう。職員一人当たり業務量の増大等により、そうした現場実践が容易でない状況にあることは承知している。だが、現場は自治体職員にとっての生命線であることを忘れてはならない。分権一括法施行から20年を迎えた今、改めて、自治体職員の奮起を期待したい。

■地域自治・コミュニティ政策の進展と課題/中川幾郎

地域社会への分権化を志向している自治体は、全国1700程度の自治体のうち、まだ260程でしかなく、地域への分権化はなお途上段階である。とはいえ、人口減少と高齢化・少子化の進行、局地的災害の多発という危機を、ほとんどすべての自治体が課題として共有している今日、住民自治、特に地域コミュニティ活性化改革への取り組みは、もはや不可避のものとなったと考えるべきである。

■行革・地方財政の成果・課題と展望/稲沢克祐

地方財政全体の課題に対する展望について、地方税標準税率の単独引き上げ、地方財政計画の歳出規模の引き上げ、税源交換の3点を挙げたい。この3点を検討することは、地方財政全体の負担と受益を決定するための制度構築を意味する。国民負担率に関わる決定だから、十分な政策論議が求められる。その政策論議は、自治体の総意によって進められるべきであることは言うまでもない。

■平成の市町村合併が自治にもたらしたもの
 ──合併した周辺部の衰退と地方分権一括法の理念の軽視/幸田雅治

地方分権一括法から平成の合併を見ると、第一に、同法の成果である「国と地方の役割分担」や「都道府県と市町村の対等協力の関係」などが蔑ろにされ、第二に、「住民自治」、「団体自治」への目線が欠けていた。また、合併による影響として、周辺部となった地域の人口減少の加速等が起きているが、合併後に議員ゼロになった地域の変化、地域自治や自治体内分権の実効性、地域の伝統歴史が維持できているかなどもしっかりと検証する必要がある。自治にとって重要なのは、住民と自治体の関係性、そして、自治体の「自律」である。今一度、地方分権一括法の理念を思い起こす必要があるだろう。

■三層構造と補完性原理/関谷 昇

地方分権を基礎づけている「補完性原理」。問題は、この補完性原理をめぐる理解の偏りと誤用が、地方分権を歪めてしまっているという点である。第一に、権力抑制の名の下に、「より広域の共同体」の限界が指摘され、「より狭域の共同体」に負担が押しつけられる。第二に、狭域の共同体の限界を補完するという名の下に、広域の共同体の積極的な介入がなされる。この押しつけと介入が上位機関によって判断されるのであれば、地方分権は骨抜きにされてしまいかねない。

■成長優先の陰で進む集権への回帰/松本克夫

1993年の衆参両院の地方分権推進決議から20年の状況については、本誌2013年8月号に書いた(「分権改革20年の到達点と今後の展望」参照)ので、ここではそれ以降の状況を整理してみたい。

【キャリアサポート面】

●キャリサポ特集
いきなり課長のスタートアップ

4月の人事によって自治体では新課長などのリーダーが誕生しました。最近、耳にするのは、採用が絞られ中堅層がうすくなってしまった組織の中で、いきなり管理職になってしまい、ほとんど準備もできないまま仕事を任されてしまうようなケースです。これでは、ただでさえ上司と部下の間に挟まれがちな、いわゆる「中間管理職」の難しいポジションに不安を覚えてしまいます。そんなとき新課長は、どう一歩を踏み出せばいいのでしょうか。先輩職員からの応援メッセージも含めて紹介します。

■いきなり課長になったら/本山 毅

課長に昇任して、不安を抱えている職員も多いのではないだろうか。特に40代の職員は少なくなっており、課長に昇任した者にとって、不安は少なくない。しかし、皆さんはこれから自治体の中枢となる重要な職員である。そんな皆さんにエールを送りつつ、気付いた点をお伝えしたい。

■これからのリーダーの条件/三浦 将

マネージャーに求められるのはチームのマネジメントであり、チーム力を高めていくことが最終的な目標だ。そのために重要な仕事は▷行き先を決めること▷メンバーの能力の発揮と成長を促すこと▷チームをまとめること――の三つ。このそれぞれでメンバーとの「関係性を築く」ことが重要になる。

〈新任課長、事始め〉
■どうせ見破られる。自分らしく行こう!/林 誠
■課長になって初めて見える世界があった/小関一史
■課員各々が働きやすい環境を作るのが課長の仕事/中畑義巳

●キャリサポ連載

■管理職って面白い! 明けない夜はない/定野 司
■「後藤式」知域に飛び出す公務員ライフ 
 2019年度、心に残った3つの言葉/後藤好邦

■誌上版!「お笑い行政講座」/江上 昇
■AI時代の自治体人事戦略/稲継裕昭
■働き方改革その先へ!人財を育てる“働きがい”改革/高嶋直人
■未来志向で考える自治体職員のキャリアデザイン/堤 直規
■そこが知りたい!クレーム対応悩み相談室/関根健夫
■独立機動遊軍 円城寺の「先憂後楽」でいこう!/円城寺雄介
■ファシリテーションdeコミュニケーション/加留部貴行
■“三方よし”の職場づくり/関口昌幸
■誰もが「自分らしく生きる」ことができる街へ/阿部のり子
■地方分権改革と自治体実務──政策法務型思考のススメ/分権型政策法務研究会

●新連載スタート
□〈公務員女子のリレーエッセイ〉あしたテンキにな~れ!
 「職場ミーティング」のススメ/柳田 香
□We are ASAGOiNG ! 地域公務員ライフ
 ここ(地域・役場)にいて良いんだ!/馬袋真紀
□生きづらさの中で
 特別な人だけがなる病気ではない──アルコール依存症からの回復①/玉木達也

●巻頭グラビア

西尾 勝氏(東京大学名誉教授)

□シリーズ・自治の貌(特別編)(特集との連動企画)
 西尾 勝・東京大学名誉教授
 国と地方の協議の場を活用し、「未来向けの分権改革」を

機関委任事務を全廃し、国と地方の関係を「上下主従」から「対等協力」に位置付けた地方分権一括法の施行から4月で20年。第1次分権改革で中心的な役割を担ってきた西尾勝氏(東京大学名誉教授)に同法の意義と成果、今後の分権改革の方向性などを聞いた。

●連載

□童門冬二の日本列島・諸国賢人列伝 細川幽斎(一) 仕事の文化化

●取材リポート

□新版図の事情──“縮む社会”の現場を歩く/葉上太郎
 あの年、震災から始まった【「福島醤油」日本一の情景(1)】
 原発事故、続く模索

福島県が日本一なのは清酒だけではない。醤油も昨年、全国品評会で一位となり、県は「醸造王国」としてのPRを進めている。だが、なぜ品質を高められたのか。清酒業界には「金取り会」と呼ばれる酒蔵の集まりがあり、忌憚のない意見を言い合って切磋琢磨を重ねた。醤油業界も原発事故をきっかけに、同じような「評価会」を結成し、互いに高め合った。仲間の存在が鍵だった。

□現場発!自治体の「政策開発」
 スタートアップとの協働で行政・地域課題の解決に挑む
 ──Urban Innovation KOBE+JAPAN(神戸市)

神戸市は、行政や地域の課題をスタートアップ(成長型起業家)と協働で解決するプロジェクト「Urban Innovation KOBE(アーバンイノベーション神戸)」を推進している。神戸市が抱える課題を提示し、その解決に挑むスタートアップを公募して市職員との協働で解決手法を開発し、実証実験を経て事業化を図る全国初の試みだ。その成果が注目され、他自治体へ広げる「Urban Innovation JAPAN」へと進化させている。

□議会改革リポート【変わるか!地方議会】
 市議会議長会が設置した「広報・広聴」研究会が政策提言──滋賀県市議会議長会

滋賀県市議会議長会は昨年1月に「広報・広聴活動についての研究会」を設置。研究会は5回の会合を重ね、今年2月3日に政策提言を盛り込んだ報告書をまとめた。市議会議長会が議会の枠を超えて研究会を設置するのも政策提言を行うのも画期的なこと。研究会に参加した議員からは新たな「気づき」を強調する声が相次いでいる。

●Governance Focus

□「氾濫させて、まちを守る」という先進性
 ──宮崎県延岡市北川町、霞堤とともに生きる/葉上太郎
□条例の域外適用──ヘイトスピーチ抑止条例を契機に(上) その背景と必要性
 /松下啓一

●Governance Topics

□広域避難当事者の声を受け止めて3・11を乗り越えていく
 ──ヒラエス・フォーラム「避難の経験をちからへ」
□実務経験のある研究者と現役職員が自治体実務を核とする学会を設立
 /地方行政実務学会

●連載

□ザ・キーノート/清水真人
□自治・分権改革を追う/青山彰久
□新・地方自治のミ・ラ・イ/金井利之
□自治体のダウンスケーリング戦略/大杉 覚
□市民の常識VS役所のジョウシキ/今井 照
□“危機”の中から──日本の社会保障と地域の福祉/野澤和弘
□自治体の防災マネジメント/鍵屋 一
□Bizモデルの地域づくり/小出宗昭
□市民と行政を結ぶ情報公開・プライバシー保護/奥津茂樹
□公務職場の人・間・模・様/金子雅臣
□議会局「軍師」論のススメ/清水克士
□「自治体議会学」のススメ/江藤俊昭
□リーダーズ・ライブラリ
[著者に訊く!/『地域活性マーケティング』岩永洋平]

●カラーグラビア

□技・匠/大西暢夫
 後世に残す次の首里城を私たちは作っていく
 ──赤瓦漆喰施工職人・田端忠さん(沖縄県)
□わがまちの魅どころ・魅せどころ/山形県米沢市
 「なせば成る」の精神を受け継ぐ自然の恵み豊かな都市
□山・海・暮・人/芥川 仁
 石一つ草一本が、一人の人間の基礎を創っている──三重県多気郡多気町牧
□土木写真部が行く~暮らしを支える土木構造物
 新港サークルウォーク
□クローズ・アップ
 「おしゃれな漁師もありでしょ」
 ──宮崎県延岡市・島野浦島、若手が新しい漁師像を探る

●[特別企画]

□大人気キャラクターで伝統のまつりを活性化
 ──「第20回佐賀城下ひなまつり」×「45周年マイメロディ」特別コラボ企画を開催

■DATA・BANK2020

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株式会社ぎょうせい

「ガバナンス」は共に地域をつくる共治のこと――これからの地方自治を創る実務情報誌『月刊 ガバナンス』は自治体職員、地方議員、首長、研究者の方などに広く愛読いただいています。自治体最新事例にアクセスできる「DATABANK」をはじめ、日頃の政策づくりや実務に役立つ情報を提供しています。2019年4月には誌面をリニューアルし、自治体新時代のキャリアづくりを強力にサポートする「キャリアサポート面」を創設しました。

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