行政大事典

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【最新行政大事典】用語集―公会計改革とは

NEW地方自治

2020.08.23

【最新行政大事典】用語集―公会計改革

はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第8章 会計・財産」から、「公会計改革」を抜粋して、ご紹介したいと思います。

公会計改革

 地方公共団体が、限られた経営資源を効率的・効果的に活用するとともに、財政状況を住民に対し分かりやすい形で公表し、説明責任を果たしていくことは、従前にも増して重要となってきている。

 わが国では、明治以来、地方公共団体等の官庁会計は、単式簿記・現金主義会計により処理されてきた(公営企業会計、準公営企業会計を除く)。こうした従来の官庁会計は、〔1〕資産・負債情報が統一的基準で管理されていない。そのため地方自治法上、資産は、公有財産、物品及び基金に分類されているが、資産を一覧できる方式にはなっていない。〔2〕固定資産の減価償却や退職金等の引当金などのコスト情報がなく、そのため現時点のみならず将来にわたっての正確な財政状況を把握できない、などの問題点が指摘されてきた。

 そこで、企業会計方式による複式簿記・発生主義会計の導入が検討された。複式簿記・発生主義会計方式の導入により、〔1〕正確に資産・負債情報を把握すること、〔2〕見えにくい費用・収益情報を明示すること、〔3〕将来の住民負担を意識した資金情報等が明確化することなどにより、財政状況のスピーディな把握と全体的な管理が可能になるとしている。このことにより財政状況の一覧性・透明性の確保を実現し、住民に対して分かりやすい形での公表と十分な説明責任を果たす必要がある。

 総務省では、平成12年3月「地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会報告書」の中で、普通会計のバランスシートの作成モデルを公表したほか、翌、平成13年3月には、行政コスト計算書及び各地方公共団体全体のバランスシートの作成モデルを公表した。平成18年5月の「新地方公会計制度研究会」報告書においては、地方公共団体が参考とすべき公会計の基準モデルと、総務省方式の改訂モデルを提案した。7月には「新地方公会計制度実務研究会」を設置し、実務的な観点からモデルの実証的検証及び資産評価方法等の諸課題について検討を進めた。その後平成20年6月には、「地方公会計の整備促進に関するワーキンググループ」が設置され、資産評価や連結財務書類の作成に関して検討が進められ、平成21年1月には「新地方公会計モデルにおける資産評価実務手引」、「新地方公会計モデルにおける連結財務書類作成実務手引」、「地方公共団体における財務書類の活用と公表について」などの各種手引書が公表された。平成22年9月には、財務書類の作成状況についての検証や国際会計基準などの動向を検討するため、「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」を設置した。その後検討を重ね、平成26年4月に懸案となっていた固定資産台帳の整備基準を提示したほか、本格的な複式簿記の導入を前提に、必要な財務書類の作成に関する統一基準を示した。平成27年1月には、当該基準による財務書類の作成法、資産の評価法、固定資産台帳の整備の仕方など、作成に必要なマニュアルを公表した。平成27年1月23日付けの総務大臣通知「統一的な基準による地方公会計の整備促進について」では、かかる財務書類を、平成27年度から29年度までの3年間で、全地方公共団体で作成し、予算編成等に積極的に活用するよう要請している。

統一的な基準による地方公会計の整備促進について

 統一的な基準による地方公会計の整備のねらいは、〔1〕従来の決算統計データの活用方式を脱却し、発生の都度仕訳する発生主義、複式簿記を徹底すること、〔2〕固定資産台帳の整備を前提とすることで、公共施設等のマネジメントにも活用可能とすること、〔3〕現在、総務省方式や東京都方式など複数の方式が存在するため、団体間の比較が難しいが、統一的な基準による計算書類等によって、団体間の比較可能性を確保すること、などである。

 統一的な基準による一般会計等財務書類の作成について、平成29年度までに作成を完了した団体は、平成30年3月31日現在、都道府県43、政令指定都市19、市区町村1,642、合計1,704団体である。全体の95.3%となっている。

 統一的な基準による財務書類等の整備状況が95.3%とほぼ全団体に進展したことにより、今後財務書類等の「見える化」を進めるとともに、適切な作成と開示、経年比較や類似団体比較、財政指標を用いた分析、資産管理や予算編成、行政評価などに活用していくことが重要である。

*『最新行政大事典』2019年10月より。(NPO法人 フォーラム自治研究 三島康雄)

(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

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