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【最新行政大事典】用語集―臨時財政対策債とは

地方自治

2020.08.01

【最新行政大事典】用語集―臨時財政対策債

はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第7章 財政・予算」から、「臨時財政対策債」を抜して、ご紹介したいと思います。

臨時財政対策債

 従来、地方財政計画上、財源の不足に対処するため、交付税特別会計からの借入金で措置し、償還は国と地方が折半して負担する措置が講じられてきた。

 しかし、平成13年度の地方財政対策においてこうした方式の見直しが行われ、地方一般財源の不足に対処するため、地方財政法第5条の特例として臨時財政対策債を発行することとした。これは国と地方の財政負担の一層の明確化を図るため、国負担分については国の一般会計からの繰入により、地方負担分については特例地方債(臨時財政対策債)により措置するとしたものである。当初、平成13年度から15年度までの間に限るとしていたが、以降3年ごとの延長が行われ今日に至っている。

 臨時財政対策債の各団体の発行可能額は、財政力の弱い地方公共団体に配慮し、財源調整機能を強化する観点から、算定方式の見直しが図られた。まず、平成22年度においてすべての団体に対して人口を基礎として算定する方式(人口基礎方式)に加えて、各団体の財源不足額及び財政力を考慮して算定する方式(財源不足額基礎方式)が導入された。平成22年度以降、全団体に配分する人口基礎方式が段階的に廃止され、平成25年度から全額財源不足額基礎方式に完全移行された。

 なお、臨時財政対策債の元利償還金については、その全額を翌年度以降の基準財政需要額に算入することとしている。

 平成30年度における臨時財政対策債計画額は、3兆2,568億円と対前年度に対し7,297億円、18.3%減少し発行を大幅に抑制している。

 しかし、臨時財政対策債は3年ごとの延長が繰り返されることにより、その発行残高は累積しており、平成31年度現在54兆円と見込まれている。このことは、地方公共団体の財政硬直化をもたらす要因であるとともに、将来世代に負担を先送りするものである。従って、臨時対策債はあくまでも臨時の措置であることから速やかに廃止し、地方交付税の法定率の引上げ等により、地方交付税本来の姿を回復すべきである。

*『最新行政大事典』2019年10月より。(NPO法人 フォーラム自治研究 三島康雄)
(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

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