「自治体のハラスメント対策」を特集―「自治体法務研究」2024年秋号

NEW時事ニュース

2024.09.06

目次

  1. 特集内容

「自治体法務研究」2024年秋号の特集は、「自治体におけるハラスメント対策」です。
ハラスメントには、パワハラ、セクハラ、マタハラ、パタハラ、ケアハラ、カスハラなど様々な種類があります。関係法令も労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法など多岐にわたります。
自治体職場においてハラスメントを防止するためには、どのような対策が求められるかについて考えます。

特集の内容を紹介します。

特集内容


① ハラスメント防止に関する法律と知っておきたい基礎知識
一般社団法人公務員研修協会代表理事/高嶋 直人

 自治体職員に適用されるハラスメント防止に関する労働法令は国家公務員よりかなり複雑です。法律上は原則として民間労働者と同じ労働関係法令が適用されるにもかかわらず、それで完結せず、同時に公務員という理由で国家公務員に準じた上乗せルールが適用されるからです。「自治体職員がハラスメント防止のために知っておくべき基本的な法令知識」を分かりやすく解説します。

② パワーハラスメントをめぐる課題と対策
労働ジャーナリスト/金子 雅臣

 公務職場のパワハラ相談の特徴として、相談窓口になかなか相談が寄せられない、ハラスメントが起きていても周囲が無関心であることが挙げられます。その結果、事態が深刻化してしまいます。そこで、早期相談・対応・解決に向けた職場内解決の必要性と重要性を考えます。その上で、通知、調整、調停、調査という解決手法のうち、匿名でも対応できる通知について解説します。

③ 自治体職場におけるセクシュアルハラスメントの法政策
労働政策研究・研修機構副主任研究員/内藤 忍
 
 セクシュアルハラスメントの法規定・指針については、他のハラスメントとは異なる点がいくつか存在します。その点を含めて、特に自治体職場のセクハラの予防・対応の法政策がどのようになっているかについて見ながら、現場及び法政策上の課題について考察します。

④ 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの防止
(株)クオレ・シー・キューブ取締役/稲尾 和泉

 個々人のライフイベントがきっかけとなるマタハラ、パタハラ、ケアハラは、パワハラやセクハラとは発生のメカニズムが多少異なります。妊娠・出産経験者は、労働者の総数からするとマイノリティのため、心無い言動等を受けても我慢するケースが多かったのですが、被害者が声を上げることで法整備につながりました。一方、介護休業等の取得に関するケアハラは、誰もが当事者となる可能性があり、マジョリティの問題です。これらのハラスメントの実例を交えて、必要な対策や心構えを考えます。

⑤ カスタマーハラスメントにどう対応するか
大阪経済大学国際共創学部講師/山谷 清秀

 カスハラ対策で困難なのは、第一に「カスハラとは何か」という定義に関する問題、第二に「誰が対策の主体になるのか」という対応者に関する問題です。自治体のカスハラ対策について、名札表記の変更、条例等の制定の動き、アンケートの実施やマニュアルの作成など、近年の現況を整理しながら、この二つの問題を検討します。

〔自治体の取組事例〕
① 北海道札幌市
札幌市におけるカスタマーハラスメント防止対策

 札幌市は、カスタマーハラスメントの防止に向けて、市民へ啓発の取組を行っています。どういう行為がハラスメントに当たるのかを市民に知ってもらうために、独自のポスターを掲示したり、広聴部門の電話機に通話録音機器を設置して、自動メッセージで録音を告知した上で対応を開始するなどの対策により、暴言や脅迫等の防止に効果を上げています。

② 神奈川県小田原市
プロジェクトチームの提言を踏まえたハラスメント対策

 小田原市は、令和6年1月、学識経験者、弁護士等から成るハラスメント撲滅プロジェクトチームを設置し、「ハラスメントを起こさない・許さない職場の構築」に向けた提言を受けました。同年4月に新設されたコンプライアンス推進課を中心に、提言を踏まえたハラスメント撲滅への取組を実施しています。

③ 兵庫県芦屋市
風通しのよい働きやすい職場を目指して

 芦屋市では、ハラスメント対応部署として、法務コンプライアンス課コンプライアンス係を設置しています。ハラスメント対応の見直しを行ったほか、職員が安心して相談できる外部相談窓口の設置、階級別のハラスメント研修やハラスメント実態把握調査の実施など、様々な取組によりハラスメント対策を推進しています。

④ 静岡県静岡市
「ハラスメント撲滅宣言」を実施し、再発防止へ

 静岡市では、職員・議員がハラスメントの正しい知識を持ち、ハラスメント行為を絶対にしない、させない、見過ごさないという意識を再認識し、安心して働ける健全な環境、職場風土等の醸成を目的に「ハラスメント撲滅宣言」を実施しました。宣言の実効性を高める「ハラスメント調査・対応申出制度」の導入やeラーニング研修等の取組を進めています。

[条例制定の事例]CASE STUDY
大阪府議会
大阪府内の地方議会における府民の政治参画の推進に関する条例


 大阪府議会では、府内の地方議会の議員によるハラスメントの根絶だけでなく、議員や議員になろうとする者に対するハラスメントの根絶も規定する「大阪府内の地方議会における府民の政治参画の推進に関する条例」を制定しました。政治分野における男女共同参画の推進を図り、もって府内の地方議会における府民の政治参画の推進に寄与することを目的としています。

 

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特集:自治体におけるハラスメント対策

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