連載 vol.115「つながる」力 つなげることでプロチームを誘致─公務員は最強のツナゲリスト─【金澤剛史(埼玉県久喜市職員)】

地方自治

2024.10.28

目次

    本記事は、月刊『ガバナンス』2023年10月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
    所属等は執筆(掲載)時点のものです。
    ※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。

     公務員は最強の「ツナゲリスト」(「つなげる」×「スペシャリスト」の造語)。そう私は考えている。

     今年4月、久喜市は3人制バスケットボール3×3のプロチーム誘致に成功した。これは人と人とを「つなげ」たことから生み出されたものだった。

     きっかけは2021年5月。県立久喜高校バスケ部が3×3で全国優勝した。当時広報担当だった私が取材に訪れた時、顧問の早川教諭が発した「バスケだけでなく色々な経験を積む事で、人として大きくなってほしい」という言葉がとても印象的だった。

     その言葉を再び思い出したのは同年10月。取材で子ども食堂を訪ねた際、運営者の「子どもとの勉強や遊びにジェネレーションギャップを感じる」という一言を耳にしたときだった。早速、早川教諭に相談したところ、即座に50名ほどの生徒がボランティアに手を挙げ、今も輪番制で子ども食堂を訪れている。この活動に感銘を受けた運営者より、バスケ部の活動を応援したいと持ち掛けられ、3×3に関心がある市議会議員や企業経営者などをつなぎ、久喜高校を軸に3×3を通じて地域を盛り上げる団体「3×3KUKI実行委員会」が誕生した。そして2022年10月。市内5つの高校によるトーナメント大会「3×3KUKI高校生大会」の開催にこぎつけた。80万円以上の運営費は、活動理念に共感した30以上の企業から協賛いただくことで賄えた。そしてついには、イベントに参加した「埼玉ワイルドベアーズ」が、この4月より久喜市をホームタウンとして活動を開始。つながりが生んだ結果であった。

     このつながりの輪は今も広がり続けている。ミニバスのコーチと新たにつながり、市内小学生大会が実現。9月には第2回となる高校生大会を開催した。

     様々なバックボーンを持つ住民同士をつなげることは、住民の一番近くにいる自治体職員だからこそできる事であり、そこで何かが生み出されることは自治体職員としての喜びであり、醍醐味である。ツナゲリストとして、これからも様々な人をつないでいきたい。

    (埼玉県久喜市職員/金澤剛史)

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