連載 vol.103「つながる」力 「6時の公共」がつむぐ学びのコミュニティ、その先にあるもの【仁平(にひら)貴子(千葉県職員・NPO法人6時の公共 代表理事)】
地方自治
2024.06.26
目次
本記事は、月刊『ガバナンス』2022年10月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
4年と9か月。千葉の公務員が中心となり2017年12月に立ち上げたNPO法人「6時の公共」も、誕生からこれだけの年月が経過した。「アフターシックス」の時間は文字通り限られているが、長く続けることで得た蓄積は芽を出しつつある。
私たちがこの場で「つながる」目的はただ一つ。市民、学生、行政職員、地方議会議員など、立場を超えた人々が同じ目線でより良い「公共づくり」に向けた「知恵を共有」するためだ。
コアとなる事業、平日夜開催の「みんなの学習会」は通算17回を数え、後日配信する動画視聴者も含め、延べ600人以上が参加するコミュニティとなった。法人としての信頼度も増し、様々な機会において、活動紹介のみならず、公共や地方自治、協働などに関する講義の依頼もいただくようになった。また、2019年から開発に着手し、2020年11月にリリースしたボードゲーム型教材を用いて、市民や生徒向けの研修や授業の機会も増えつつある。
学習活動のコミュニティからどんな成果が生まれるのか。たとえば、登壇講師との縁を公務につなげて事業協力を得たケース、参加者同士がつながり市民プロジェクトへと発展したケースなど、個別ケースの誕生を間接的に後押しするということがある。しかし、何よりも大事なのは、長い目で見て、公共をより良く動かしていくため、立場を超えて「共通のビジョン」を描くこと。それに向けて各立場で動いたり、また手を取り合ったりするなど、行動のイメージをつかみ、社会の中で「いつしか」一緒に制度や仕組みを作っていこうとする好循環が生まれていくことである。
「6時の公共」のミッションは「自分たちのまちは自分たちでつくる」。一人ではくじけそうでも、各立場や分野で志をもった人たちが定期的に集まる場があるのは大きな励みになる。学びのコミュニティを今後も温かく育てていくこと。その先には、真に民主的で力強い地方自治につながる力が積みあがっていくはずだ。
(千葉県職員・NPO法人6時の公共 代表理事/仁平(にひら)貴子)