霞が関情報
霞が関情報「地方財務」2022年9月号(ぎょうせい)
時事ニュース
2022.10.19
※2022年8月時点の内容です。
霞が関情報
(「地方財務」2022年9月号)
無人化駅でガイドライン(国土交通省)
国土交通省は「駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関するガイドライン」を策定した。障害者団体や鉄道事業者、同省がメンバーの意見交換会の議論を踏まえた内容。無人駅が増加傾向にあることを受け、鉄道事業者が無人化を検討する段階で、あらかじめ参考にできるような例を整理し、障害者の安全性や利便性を確保するための望ましい事項を示した。
ガイドラインは、鉄道事業者の一方的な判断だけで利用者の利便が損なわれないようにする必要があると指摘。やむを得ず駅係員の配置を見直す場合、ガイドラインの内容を最大限尊重するよう促した。
具体的には
▷障害者への適切な案内・情報提供
▷駅の利用に関する事前連絡
▷列車運転士といった乗務員による乗降介助の実施
──の3点を障害当事者からの大きな要望として提示。それぞれについて、具体的な対応例を挙げた。
また、無人化での望ましい姿として、利用しやすい環境づくりや地域との連携が重要だと強調。駅業務の一部を地域や企業に委託する事例なども掲載した。
2020年に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)が一部改正された際、無人駅の利用に関するガイドライン化が付帯決議に盛り込まれた。これを受け、意見交換会で議論を進めてきた。
環境への影響をGDPに反映(内閣府)
内閣府の経済社会総合研究所は、経済活動の環境への影響をGDP(国内総生産)に反映させた値の暫定的な試算結果をまとめた。それによると、1995年から2020年までに、温室効果ガスや大気汚染物質を削減するために経済成長率を犠牲にした分(汚染削減調整項)をプラス評価すると、平均の経済成長率は1.04%となり、この期間の実質GDPを上回る。
試算は、政府が6月に閣議決定した「骨太の方針」に「グリーンGDP(仮称)」の研究・整備を進めることが盛り込まれたのを受けた対応。
1995〜2020年の実質GDP成長率の平均は0.57%。試算では、汚染削減調整項の0.47ポイント分押し上げられたことになる。メタン削減による寄与が最も大きいという。
デジタル人材を機動的に採用(人事院)
人事院は、高度デジタル人材を特定任期付き職員として、各府省限りで機動的に採用できるようにした。事務総長通知を7月26日付で改正した。各府省にデジタル人材を活用したいというニーズが多く、今後も採用数が増えていくことが予測されるのを受けた。
具体的には
▷経済産業省が策定した「ITスキル標準」でレベル4以上の認定を受けている
▷情報システムの構築・運用のプロジェクトの責任者として3年以上従事した経験がある
──といった一定の要件を満たしていれば、人事院による事前承認の手続きがなくても各府省で採用できることにした。
同時に、専門性を有する民間人材を本庁の課長級・室長級に一般任期付き職員として採用できるようにした。各府省が選考委員会で管理職の職務遂行に必要とされる能力を確認することが要件だ。
いずれも人事院が各府省の採用に関して事後チェックをすることで、適正な運用を確保するとしている。
五輪運営に海外から評価(文部科学省)
文部科学省は、2021年度の文部科学白書を公表した。特集で
▷東京五輪・パラリンピックの軌跡とレガシーの継承・発展
▷新型コロナウイルス感染症禍での同省取り組み
──の2つをテーマとして取り上げた。このうち五輪・パラについては、徹底した感染症対策を進め、アスリートが競技に専念できる安全・安心な大会運営をしたと説明。大きな混乱やクラスターを発生させずに開くことができたため、海外から高い評価を受けたとしている。
五輪・パラではこのほか、「復興五輪」という理念にも言及した。東日本大震災の被災地が復興を成し遂げつつある姿を世界に発信したと説明。今後も、被災地の魅力の情報発信などに取り組み、さらに後押しするという政府の方針を掲げた。
コロナ禍での取り組みでは、教育、科学技術、スポーツ、文化芸術のそれぞれの対応を挙げた。教育関係では、児童生徒が一定期間登校できない場合、学習に遅れが生じないようICT(情報通信技術)端末を家に持ち帰り、学びを止めないようにすることが重要だと指摘。安心して学校生活を送れるよう、同省も引き続き必要な助言や支援をするとした。