連載 vol.5「つながる」力 外とつながり、人と人とをつなげる。そこで起こる化学反応が、まちを活性化していく 【酒井直人(東京・中野区職員)】
地方自治
2021.06.14
本記事は、月刊『ガバナンス』2014年8月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
外とつながり、人と人とをつなげる。そこで起こる化学反応が、まちを活性化していく
役所に入って十数年、あまり組織外とのつながりはなかった。特に、市民とのつながりは、法規やシステム関係の部署が長かったこともありほぼなかったといってもいい。
4年前に区役所の風土を変える仲間を増やしていこうと職員勉強会NASを立ち上げたところから、思わぬことが起こった。当初は、中野区職員のみを集めて細々と行っていたが、徐々に他の自治体や民間企業の社員、NPOで活動する人も参加するようになり、毎回70人以上が集まる賑やかな会になった。参加者は皆個性的で、それぞれ社会に対する想いを持っている。語り合うたくさんの仲間とつながった。
一方で、2年前に中野区に初の民間主導による観光協会が設立された。私は、そこにボランティアとして加わり、マップ制作、イベント開催などに参画した。公務員はほぼいない。様々なバックグラウンドを持った人達と一緒にチームを組んで進めていくことの難しさと楽しさを一気に味わえた。ここに至って中野区の中小企業、商店街の方々とつながり、〝まちづくりに熱心な〟区民とのつながりがすごい勢いで増えていった。
最近は、人と人とをつなげる場面も増えてきた。昨年、中野に新しいキャンパスを構えた明治大学では、「中野の素敵な人」を毎回呼んで講義してもらう授業のコーディネーターを任された。その授業の一環として、まち歩きのマップを学生と観光協会が一緒に作ることになり、現在取材が進んでいる。
まずは「一歩外に出る」ことが必要なのだと思う。行政の職員は内に籠っていては全く〝まち〟が見えない。まちづくりの担い手である市民と交流し、常に自らの考えを振り返らなければならない。外とつながり、また人と人とをつなげる。そこで起こる化学反応が、まちを活性化していく。
今日は、これからフェイスブック「中野ファン」のオフ会。市民の交流の場所になればと1年前に立ち上げたが、メンバーは1000人を超えた。自然にオフ会が立ち上がり、今回は3回目。また新たなつながりが生まれそうである。
(東京・中野区職員/酒井直人)