読者の皆さんに聴く!地方財務、私の活用法(4)

地方自治

2021.06.11

財政担当「外」職員にとっての『地方財務』活用法
愛知県愛知郡東郷町参事 水野 智隆

『地方財務』2021年2月号

 現在、愛知県から派遣され、名古屋市の東隣に位置する人口4万4000人の自治体・東郷町で参事を務めている。参事の業務内容は、若手~幹部職員の人材育成、町長レクや議会答弁作成における各部への助言などであり、町政全般にわたっている。町の財政運営や予算編成についても町長等から意見を求められる立場にあるが、県では主に企画畑を歩んできたため財政の実務経験がない。その意味で、私の立ち位置は、財政を直接担当している職員よりも財政担当「外」職員に近いと言える。そこで、本書の読者層としては少数派であることを承知しつつ、あえて、私を含めた財政担当「外」職員にとっての『地方財務』活用法について申し述べたい。

職員に求められる変化への対応

 コロナ禍や自治体DXへの対応など、昨今の大きな行政環境の変化の中で、事業担当課の職員には、以前にも増して変化に対応した事業の効果的な「改変」や「創造」が求められるようになってきた。しかし、先行きが見通せない状況の中で、国においても大幅な政策の見直しが進みつつあることを考え合わせると、そうした「改変」や「創造」を行う際には、国や県と程よく歩調を合わせ、用意された支援制度を最大限に利用していくことが合理的であろう。町長レクでも、「前提となる国や県による施策の隙間を埋めていく上で、この事業で見込まれる効果や受益者の範囲は妥当か」といった議論が増えた。事業担当課の役割に即して言うならば、企画立案に当たり、地元関係者の意向や近隣市町の情報に通じていればそれなりに格好がついたこれまでの経験則をひとまず頭の隅に追いやり、制度設計に当たっている国等の動きをしっかりと念頭に置きつつ、地域への影響を正確に推し測る必要性が高まっていると言えるだろう。

全体を把握する大切さ

 ところで、私には、家を出る前に新聞やテレビで天気予報を確認する習慣がある。そして、天気予報を確認する際には、局地的な天気や気温についての情報と併せて、全国の天気図における気圧配置や前線の位置などの解説を参考にするのがルーティンである。それは、天気を左右する全国的な要因を把握しておくことで、その後の地域における天気の変化を大まかにつかむことができるからである。天気予報に天気図が付き物であるところからすると、私のように天気図も含めた解説を参考にして服装や行動スケジュールの選択に役立てている人は多いのではないかと思う。

 わざわざこんな話を持ち出したのは、事業担当課の職員にとって、地方財政対策や国の補正予算の情報を適時につかんでおくことが、この天気図を参照するようなものだと思うからである。天気図の情報が気象予報士などの専門家だけに意味のある内容ではないように、地方財政全体の動向に関する情報も財政担当者だけに意味がある内容ではない。それを自分には関係ない話だと最初から決めつけてしまっては、みすみす有益な情報を見逃すことになってしまう。

 確かに、地方財政対策等の内容を自力で読み解くことは難しい。しかし、気象予報士による天気図の解説が難しくないのと同じように、『地方財務』に掲載される解説も決して難しくはない。時間が無ければ「特別企画」を読むだけでも十二分な価値がある。財政の実務経験がないのに町の財政運営や予算編成に臆面もなく助言させていただいている私が言うのだから間違いない。東郷町職員を始めとする多くの財政担当「外」職員の皆さんに、『地方財務』の活用を強くお勧めしたい。

 

水野 智隆
愛知県愛知郡東郷町参事:財政担当「外」職員にとっての『地方財務』活用法

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