行政大事典

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【最新行政大事典】用語集―直接税と間接税とは

地方自治

2020.07.25

【最新行政大事典】用語集―直接税と間接税

はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第6章 国税・地方税」から、「直接税と間接税」を抜粋して、ご紹介したいと思います。

直接税と間接税

 直接税と間接税との区分については、多くの学説があるが、一般的には、課税権者又は立法者において租税の転嫁が予定されているかどうかを基準としている。すなわち、課税権者又は立法者が転嫁を予定している租税を間接税といい、転嫁を予定していない租税を直接税という。しかし、実際には、租税が転嫁されているかどうかは、租税そのものの性質によるものではなく、租税が課される場合の経済的な条件によって変化するため、課税権者又は立法者が転嫁を予定しているかどうかという主観的意図によって分類することに問題があるうえ、実定法の租税のうちには、その区分の困難なものもいくつかある。また、直接税という概念の中には、負担の帰着の態様のかなり異なるものもあるが、税体系を論議するに当たっては、直接税と間接税との区分は、その分析の有用な用具としてかなり用いられている。

 先進諸国の租税体系をみると、直接税を構成しているのは、所得税を中心として、法人税、相続税その他からなっている。また、直接税のうち特に、所得税は、納税者の所得の種類や扶養家族その他の個人的事情を考慮して負担の公平が図れること、景気安定策の手段として利用できる等の長所があるとされているが、反面、納税者が税負担を直接に感じるために、納税者の抵抗が強いという短所を持っている。

 ちなみに、先進諸国における「直接税」と「間接税等」との割合、いわゆる直間比率をみてみると、2015年1月現在、わが国が66対34であるのに対し、アメリカでは78対22、イギリスが56対44、フランス55対45、ドイツ53対47となっている。わが国やアメリカが直接税の比率が高いのに対し、付加価値税の税率の高いヨーロッパ諸国の直接税の比率が相対的に低いものとなっている。

 わが国の直接税は、2018年4月現在、国税については、所得税、法人税、相続税、贈与税がある。

 また、地方税については、道府県税では、道府県民税、事業税、自動車税、鉱区税、狩猟税、水利地益税があり、市町村税では、市町村民税、固定資産税、軽自動車税、鉱産税、入湯税、事業所税、都市計画税、水利地益税、共同施設税、宅地開発税、国民健康保険税がある。

 間接税については、統計的に直接税と間接税の計数が問題となるときは、「直接税」と「間接税等」の分類による場合が多い。すなわち、印紙税のような流通税については、直接税、間接税と大きく区分するときは後者に含めるが、この税は、納税者が予期できない税であるので、「その他」という分類を設けるべきであろう。しかし、現在では、このような税を含めて「間接税等」として「直接税」に対応させている。

 この区分に従って国税についてみると、間接税等としては、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、地方揮発油税、石油ガス税、航空機燃料税、石油石炭税、印紙税、自動車重量税、登録免許税、関税、とん税、特別とん税、電源開発促進税がある。

 地方税については、統計上「間接税等」に区分されるものに、道府県税では、地方消費税、不動産取得税、道府県たばこ税、ゴルフ場利用税、自動車取得税、軽油引取税が、市町村税では、市町村たばこ税がある。

 なお、このほか、法定外普通税及び法定外目的税が、「直接税」と「間接税等」とに区分される。

*『最新行政大事典』2019年7月より。(NPO法人 フォーラム自治研究 花輪宗命)
(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

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