最新法律ウオッチング

月刊「地方財務」

【2026年4月施行】 所得税の基礎控除の引上げ等 ── 所得税法等の一部を改正する法律|最新法律ウオッチング

NEW自治体法務

2026.07.07

≪ 前の記事 連載一覧へ
時計のアイコン

この記事は4分くらいで読めます。

★「最新法律ウオッチング」は「月刊 地方財務」で連載中です。本誌はこちらからチェック!

月刊地方財務 2026年5月号

月刊 地方財務 2026年5月号
特別企画:財政課へようこそ!
     ―まずは知っておきたい財政の超基本
編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:1,870 円(税込み)
詳細はこちら ≫

最新法律ウオッチング 第141回 所得税の基礎控除の引上げ等

※2026年4月時点の内容です。

所得税法等の一部を改正する法律

 2026年2月に召集された特別国会において、所得税の基礎控除の引上げ等を行う所得税法等の一部改正法が成立した。

 所得税については、基礎控除の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題があるとされるところ、近年の物価上昇を受け、2025年に成立した所得税法等の一部改正法では、所得税の基礎控除の額を最高48万円から最高58万円に引き上げ、特例として、給与年収200万円以下の者について37万円を上乗せするとともに、給与所得控除の最低保障額を55万円から65万円に引き上げた。これにより、所得税の課税最低限が給与年収103万円であった(いわゆる「103万円の壁」)のが、給与年収160万円となった。

 2026年においても、物価高への対応の観点から物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みの創設等が行われることとなり、政府は、改正法案を国会に提出し、成立した。

所得税法等の一部改正

●所得税の基礎控除の引上げ等

 所得税の基礎控除の本則部分(所得税法に規定)については、見直し前の控除額に、税制改正時における直近2年間の消費者物価指数(総合)の上昇率を乗ずることで調整することとし、額を最高58万円から最高62万円に引き上げることとした。給与所得控除の最低保障額についても同様の措置を講じ、65万円から69万円に引き上げることとした。

 また、政党間合意等を踏まえ、就業調整に対応するとともに、中低所得者に配慮しつつ、所得税の課税最低限を給与年収178万円まで特例的に先取りして引き上げることとし、所得税の基礎控除の特例(租税特別措置法に規定)として、2年間は、給与年収665万円以下の者について42万円を上乗せするとともに、給与所得控除の最低保障額についても特例を設け(租税特別措置法に規定)、5万円を上乗せすることとした。

●設備投資の促進等

 強い経済の実現に向けた対応として、大胆な設備投資の促進に向けた税制措置を創設し、法人課税に関し、高い生産性の確保に特に資する設備に対して即時償却や税額控除を適用するとともに、予見し難い国際経済事情の急変に対応するための計画認定を受けた場合、3年間の繰越税額控除ができることとした。また、研究開発税制を強化するとともに、賃上げ促進税制を見直し、大企業向け措置を2026年3月31日をもって廃止し、中堅企業向け措置の適用要件の見直し等を行った。

 個人所得課税に関しては、住宅ローン控除を拡充(一定の既存住宅に係る借入限度額の引上げ等)し、NISAのつみたて投資枠の口座開設可能年齢を0~17歳に拡充した(年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円)。税負担の公平性を確保する観点から、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直しを行い、基準所得金額からの控除額を3.3億円から1.65億円に引き下げ、適用税率を22.5%から30%に引き上げることとした。

●国際観光旅客税の税率の引上げ

 国際観光旅客税の税率を、2026年7月1日から、本邦からの出国1回につき1000円から3000円に引き上げることとした。

●防衛特別所得税の創設

 防衛力強化に係る財源確保のため、所得税額に対する税率1%の新たな付加税として、防衛特別所得税を創設した(課税期間は2027年1月から)。

 その一方で、足下で家計負担が増加しないよう復興特別所得税の税率を所得税額に対する2.1%から1.1%に引き下げ、課税期間を2037年度までから10年延長した。

●施行期日

 この法律は、一部を除き、2026年4月1日から施行された。

国会論議

 国会では、所得税の基礎控除について、給与年収665万円以下の者について上乗せする特例を設ける結果、年収655万円前後で手取りの逆転現象が生じるとの指摘があり、政府からは、所得控除という税制の仕組み上、一部に減税額のばらつきが生ずるものの、物価高で厳しい状況にある中低所得者に配慮する必要性等を踏まえ、2年間の時限措置として実施することとしたとの説明がされた。

 また、住民税の基礎控除が見直されないことについて指摘があり、政府からは、与党税制改正大綱において、地域社会の会費的な性格や地方税財源への影響等を総合的に勘案し、自治体の意見を踏まえつつ、必要な対応を検討するとされ、政府としてもこれを踏まえて検討するとの説明がされた。

 さらに、防衛特別所得税の必要性について指摘があり、政府からは、現行の防衛力整備計画では税制措置により3兆円程度の確保を見込んでおり、防衛特別所得税の創設は必要との説明がされた。

 

★「最新法律ウオッチング」は「月刊 地方財務」で連載中です。本誌はこちらからチェック!

月刊地方財務 2026年5月号

月刊 地方財務 2026年5月号
特別企画:財政課へようこそ!
     ―まずは知っておきたい財政の超基本
編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:1,870 円(税込み)
詳細はこちら ≫

 

≪ 前の記事 連載一覧へ

アンケート

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

月刊「地方財務」

月刊「地方財務」

閉じる