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【地方公務員アワード2025】すごい!成果をあげた公務員を表彰/イベントレポート

NEW地方自治

2025.12.16

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【ガバナンス・トピックス】
すごい!成果をあげた公務員を表彰
──地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2025

「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2025」(株式会社ホルグ(加藤年紀代表取締役)主催)の表彰式が10月18日に都内で行われた。9回目となる今年は、各地の地方公務員から推薦された12人がアワードを受賞。昨年から新設された「ネクストホープ賞」には2人が選ばれた。会場には推薦者、同僚、家族に所属自治体の首長などが駆けつけ、大いに盛り上がった。

成果をあげた公務員を公務員が推薦

2017年からスタートしたこのアワードの目的は「地味、派手問わず成果をあげた公務員の活躍とすごさを、役所外にも届け、個々の職員が力を発揮しやすい環境をつくること」。今年で9回目を迎え、年々規模を拡大しています。

 開催に先立ち、2019年のアワード受賞者でもある波多野翼衆議院議員(元福井県越前市職員)が挨拶。「住民のために動いてきた地方公務員が、当たり前に評価される、そんな社会をつくっていくことが、日本や皆様のモチベーションになると思う」と祝辞を述べた。

授賞式の様子1
今年は12人が受賞。アワード受賞者数も累計100人を超えた。

技術職や放射線技師なども受賞

 他薦方式で全国各地の地方公務員からすごい!と思われた地方公務員12人が選ばれ、表彰された。受賞者の顔ぶれは以下のとおり(所属、肩書は表彰時のもの)。

①横井直人さん(福井県鯖江市都市計画課課長補佐)

 企画・運営したクラフトマーケット、SDGsフェスなどを来場者数千人規模の人気イベントに。クラウドファンディングや企業協賛を活用し、持続可能な形で地域に根付かせた。女子高生がまちづくり活動に取り組む「鯖江市役所JK課」の創設、市のブランド戦略のほか、こども食堂ネットワークの創設、eスポーツ活用の不登校支援など、市民の居場所と活躍の場を実現する数々のプロジェクトを立ち上げた。

②上田昌子さん(岐阜県飛騨市企画部総合政策課広報プロモーション係主査)

 関係人口の先駆けともいえる「飛騨市ファンクラブ」「ヒダスケ!」を創設。この取り組みはグッドデザイン賞、まちづくりアワード国土交通大臣賞など数々の賞を受賞。さらに「おっちゃんレンタル」「物産品ガチャ」などユニークなネーミングの会員限定ふるさと納税返礼品を企画し、納税額を年間約3.5億円から18億円超に大幅アップさせた。

③及川慎太郎さん(北海道北見市総務部職員課人材育成担当課長)

 窓口BPR(業務改革)で「書かないワンストップ窓口」を構築。そのモデル的な仕組みは、今や全国の自治体に広がっている。また、総務省やデジタル庁のアドバイザーとして全国の自治体を支援。システムの著作権使用料が市の歳入となっている点も評価された。

④村田大地さん(奈良県王寺町議会事務局係長)

 硬くて読まれない「議会だより」を改善し「バズらせる」ことに成功。住民読者アンケートで読了率は9割にアップ、加えて市の公式LINEやSNSなどを駆使したクロスメディア戦略で議会年間視聴数を4倍に。これらの取り組みは議会広報全国コンクール2年連続優良賞、マニフェスト大賞議会改革部門優秀賞などを受賞。全国の広報担当者のノウハウ共有WEBグループ「広報LAB」も立ち上げた。

⑤鈴木満明さん(愛知県豊田市市民部債権管理課主査)

 データの属性分析による滞納整理、コンビニATMでの口座振替サービスなど、全国初の取り組みを次々実現。「乗換案内アプリ」へのバス1日乗車券導入は100以上の自治体・企業に広がり、全国の公共交通の利便性向上に貢献。各種事務の集約・削減・自動化を図り10年間で133件の業務改善、約7億円の経費削減、6400時間余の時間短縮という成果を上げた。

⑥沼泰弘さん(岡山県津山市産業経済部次長兼みらい産業課課長)

 地域産業の付加価値創造と雇用創出を目的とした「つやま産業支援センター」を立ち上げ、支援企業約330社、支援費用約8700万円に対し支援先企業が売上約13.5億(費用対効果15倍以上)という驚異的な成果を達成。また、日本最大級の金属クラスター「津山ステンレス・メタルクラスター」を創出しワンストップ体制を構築。

⑦朝比奈克至さん(静岡県磐田市立総合病院放射線診断技術科 副主任 診療放射線技師)

 外国人患者向け伝達機能アプリ「フレナビ」を開発し実用化。英語、ポルトガル語、中国語のほか、べトナム語、タイ語、韓国語ほか9言語に対応。さらにAIを用いて患者の名前から最適な言語を推定する機能も追加し、他病院での利用も拡大。また介護タクシー予約アプリを構築し、スタッフの予約対応時間を約70%削減、医療現場の業務効率化に貢献。

⑧天野博之さん(愛知県豊田市小原支所副支所長)

 合併で失われそうになった歴史的価値のある町並みと建物を、国の重要伝統的建造物群保存地区認定、市指定文化財指定という成果につなげた。観光資源の桜からオリジナル吟醸酒を誕生させるなど、地域の文化遺産を保存・活用し、未来へ継承する取り組みを実践。メディアへの出演、まちづくり関連セミナーや大学での講師、学会や書籍への寄稿も多数。

⑨油谷百合子さん(茨城県県南農林事務所つくば地域農業改良普及センター地域普及第一課長)

 「絶対無理」と言われたコンビニ国産小麦使用プロジェクトを成功させた。製造販売ネットワークの拡充、有限責任事業組合の設立支援を行い、2020年から「茨城県産ゆめかおり」を使用したパンのコンビニ販売を実現。大きな利益を生み出し、生産者の努力を価格に反映する仕組みを構築。20年度農業普及活動高度化全国研究大会で農林水産大臣賞を受賞。

⑩和田真人さん(奈良県生駒市都市整備部都市づくり推進課拠点形成室室長)

 全国に先駆け副業を推進していた生駒市に移住。「レンタル何でもする公務員」として地域住民と関わる中で耕作放棄地の多さに気づき、ホップを住民とともに栽培しながら、地元産クラフトビール「IKOMA BEER」を開発・ブランド化。耕作放棄地の解消とまちの活性化、地産地消を同時解決するモデルを構築した。

⑪木下義昭さん(熊本県玉名市建設部土木課課長補佐兼橋梁メンテナンス係長)

 職員自ら行う「橋梁補修DIY」を考案し、画期的な予防保全型インフラメンテナンス「玉名市モデル」を構築。橋の修繕完了率100%、維持管理費20億円削減を達成し、この功績によりインフラメンテナンス賞国土交通省優秀賞ほか数々の賞を受賞。「(一社)行政エンジニア支援機構(そらゑ)」を設立し、全国の行政エンジニアの人材育成を行う。

⑫齋藤久光さん(千葉県四街道市教育委員会教育部社会教育課図書館館長)

 図書館長に着任後、「プレーパーク」「朝飯図書館」、「おばけ屋敷」など子どもにも喜ばれ、常識を覆すようなプログラムを次々立ち上げ、図書館を住民に開かれた“居場所”に。また前部署で企画した障がい者アートのチャリティTシャツは継続事業になり、図書館でも障がい者アート作家のグッズ制作、移動書棚の制作など、彼らの活躍の場をさまざまな形で広げた。

授賞式の様子2
受賞者には審査員から盾が授与された。

スピーチの様子
受賞者らは、受賞の想いと関係者への感謝を述べた。

次世代を担う若手職員を選出

 昨年から設けられたネクストホープ賞には2人が選ばれた。

①能登谷幸輝さん(東京都中野区まちづくり推進部まちづくり事業課大和町まちづくり担当主任)

 全国で屈指の木造密集地域であり、高齢者比率も高い中野区大和町で、UR都市機構の不燃化促進用地(道路拡幅で生じた土地)に着目し、粘り強い交渉で土地使用賃貸契約書を締結。都税事務所との調整で固定資産税の減免措置を適用し、高齢者が多く近隣にスーパーがないエリアに移動スーパーを無償で誘致することに成功。広場にはベンチを設置し、高齢者の買い物と交流の空間を創出。

②神澤公大さん(兵庫県丹波市まちづくり部人権啓発センター主事)

 学校給食費の滞納回収率大幅アップ、住宅貸付金滞納額を5年で約半分に削減。さらに、外国人住民のために「多言語三者通訳システム」を導入、庁内すべての窓口で使える環境に整えた。また、「やさしい日本語認定講師」の資格を取得し、丹波市初の「多文化共生推進基本方針」(全国でも2例目)を策定、その全文を外国人住民に配慮した「やさしい日本語」に書き換えた。VTuberを活用した若年層向け動画、自己啓発マンガも作成し、普及促進にも力を入れている。

授賞式の様子3
所属自治体の首長が駆けつけた受賞者も
(写真は、ネクストホープ賞の神澤公大さんと林時彦・兵庫県丹波市長)。

 受賞者表彰の後は、受賞者のキャッチコピーを考えるワークショップを実施。受賞者の“すごさ”をさらに深掘りすることと、参加者交流を兼ねて今回初めて試みられた。受賞者それぞれにつけられたキャッチコピーは来年発刊予定の書籍に掲載される可能性もあるという。

ワークショップの様子
受賞者のキャッチコピーを考えるワークショップも開催された。

 授賞式には、推薦者や同僚、家族も駆けつけ受賞の喜びを分かち合った。

 今回で9回目を数えた地方公務員アワードの受賞者数も累計で108人に。主催している㈱ホルグの加藤年紀代表取締役は、「来年は10回目を迎えることになる。年々、本アワードの価値は、受賞者自身の素晴らしい活躍によって高められている。今日ここは世界一すごい公務員が集まっている場所だ。一緒にこのアワードを育てていければ」と述べ、授賞式を締めくくった。

〈審査員〉
海老澤功さん(東京都西東京市・2023年受賞)
橋本一磨さん(豊田市・2024年受賞)
小野寺崇さん(宮城県登米市・2022年受賞)
市橋哲順さん(新潟県・2023年受賞)
中村広花さん(福井県高浜町・2023年受賞)
安高昌輝さん(埼玉県草加市・2024年受賞)

※受賞者の詳細や推薦文などの詳細はこちらに記載されている。
地方公務員を応援するメディア Heroes of Local Government
https://www.holg.jp/award/2025-02/

(本誌/浦谷 收)

 

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