
公務員が読みたい今週の3冊
公務員が読みたい今週の1冊【海を旅する】
ぎょうせいの本
2025.12.15
この記事は2分くらいで読めます。
出典書籍:『月刊ガバナンス』2025年11月号
今週、何読む?
読書の習慣をつけたいと思いながら、まだ始められていない…。
日々読書を嗜んでいるが、そろそろネタ切れ…「次は何を読もうか」検討中。
そんな公務員の方はいませんか?
「公務員なら読んでおきたい」業務に役立つ必携図書や、「公務員の皆様が楽しく読める」おすすめ図書をガバナンス編集部がピックアップ。
「公務員が読みたい今週の3冊」では毎週2~3冊をご紹介。
特別編「公務員が読みたい今週の1冊」ではたっぷりの著者インタビューとともに、おすすめの1冊をじっくりとご紹介します。
「今週読みたい図書」の選定にぜひお役立てください。
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海の中からみえてくる地域の魅力

海を旅する
寺本英仁・著
ブックマン社/2,200円+税
著者プロフィール
寺本英仁(てらもと・えいじ)
1971年島根県生まれ。東京農業大学卒業後、石見町役場(現邑南町)に入庁。「A級グルメ」の仕掛け人として、ネットショップ、イタリアンレストラン、食の学校、耕すシェフの研修制度を手掛ける。NHK「プロフェショナル仕事の流儀」で紹介される。著書に『ビレッジプライド~「0円起業」の町をつくった公務員の物語』、藻谷浩介氏との対談本『東京脱出論』など。22年3月末で役場を退職し、㈱Local Governance代表取締役に就任。海と食を旅する地方創生プロデューサーとして活動中。
海を旅する
── 著者インタビュー
すべての命の源である海の中には、多様な生態系が息づいている。そんな海に囲まれた島国・日本では、各地域で目にできる“海中の風景”も個性豊かだ。本書は、地方創生プロデューサーである寺本英仁さんが、沖縄から北海道(さらにはトンガの海)までを旅し、撮りためた水中写真を一冊にまとめた写真集である。
寺本さんが水中写真に目覚めた原点は、幼いころに特撮番組などで目にした“怪獣”だという。
「怪獣には、海の生物を想起させるようなデザインのものが多い。大人になって海に入り、クジラやマンタを目にしたとき、まるで子どものころに憧れた怪獣と出会ったような、深い感動があった」
そうして大学生時代から水中写真の撮影を始めた寺本さんは、その後、島根県石見町(現邑南町)役場に入庁。役場の中で携わった地方創生の視点を、撮影にも生かしているのだという。
「本書でもやはり“地方創生”と、それから“生命の神秘”をテーマにしている。たとえば表紙のイルカは、東京都御蔵島で撮影した、まだ生まれたての赤ちゃんだ。御蔵島はかつて、その知名度の低さと交通の便の悪さから、伊豆諸島のほかの島に比べて来訪者数が極端に少なかった。しかし、島民にとっては身近な存在だったイルカを観光資源としてとらえ直し、ドルフィンスイムやウォッチングを観光客向けに行うことで、来訪者や移住者が増え、島が元気を取り戻した歴史がある」
寺本さんは、そんなストーリーを持ついくつかの地域に着目。3年かけて3回ずつ各地域をめぐり、撮影を行った。近年の異常気象によって期待する生態シーンに立ち会えないことも多かったが、
「やっぱり世の中、100%満足することはなかなかない。自分の思いどおりになることばかりではない。そんな考え方を撮影の中で改めて教えてもらえたのは、仕事をするうえでも非常に役立っている」
と笑顔で話す。
人の手でコントロールできない自然や生き物を相手に、その海特有の魅力を写し出す寺本さん。旅の中では、日本の自然環境の豊かさや、地域ごと育まれる文化の多様性を改めて実感したという。
「日本は縦に長い。だから同じ季節でも地域ごとに気候条件などが大きく異なり、その土地ならではの海を目にすることができる。そしてそれは、陸の上でも同じことだ。
自身が住む地域の文化、歴史を学び、尊敬し、オリジナリティを磨きあげていくことで、独自の観光資源が生まれる。そしてそれが、地域の活性化につながる。本書がそのヒントになれば嬉しい」
と、熱を込めて語った。
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特集1:地域はつづくよどこまでも
──持続性ある農山村の未来を描く
特集2:哲学の話をしよう
編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:1,320 円(税込み)
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