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山口 利恵

第13回 カフェ発 ランサムウェア再び 対策遅延で被害が甚大(前編)

NEWICT

2019.05.17

ユーザへの説明はいち早く

「そうなんです。顧客情報については、関係会社にバックアップがあることが後でわかりました。業務については多大な遅延はありましたが、どうにか進めることができたんです。」

「つまり、支払う必要のないお金だったと。」

「はい。落ち着いて考えていれば、不要な支払でした。」

 道場が肩を落としながら言った。

「お金は勉強代ということだね。どうせ、復号してもらえなかったんだろうし。」

「もっと冷静に他の事例を見てから判断をするべきでした。」

「それはそれとして、漏洩の可能性を調べたらどうかね。」

「情報が抜き取られているか確認がとれない状況で。今日まで、我々のデータを元にした不正がされていないようなので大丈夫だとは思うのですが。」

 道場がどもりながら言った。言い終わると、初めてコーヒーに手をつけた。

「ほほぅ。二週間か。こればっかりはなんとも言えないね。ユーザには伝えたのかね。」

「それがまだなんです。」

「おやおや。」

 竹見が顔をしかめた。

「もちろん、ユーザへの説明は必須だと考えています。その前に今後の対策とセットで対外的な説明をした方がよいと考えておりまして。」

「確かに対策の説明は必要だが、ネガティブな事実は早めに伝えるべきだ。」

 竹見は強い口調で言った。

「そのほうが、ユーザがきちんと理解するだろうし、不正の発見には役に立つんじゃないかね。たくさんの人が監視をするような状況になるよ。」

「わかってはいますが、あまり変な状況で公表しますと、我々の評判が。」

「遅ければ遅いほど評価は下がるよ。」

 竹見はキッパリ言った。

「今回のような件や情報漏洩の可能性について、対外的に説明をしなければいけないよ。もちろん対策は必要だ。今検討中、という返答をするしかない。公開して、すぐにユーザ自身の自衛を促す。対策については、一緒に考えよう。」

 ☆☆続く☆☆

*ランサムウェア
平成28年12月号 第九話「家電も被害にあう? ランサムウェアとIoT」参照

 

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山口 利恵

山口 利恵

東京大学大学院情報理工学系研究科ソーシャルICT研究センター特任准教授

2003年津田塾大学理学研究科数学専攻修士課程修了。2006年東京大学大学院情報理工学系研究科博士後期課程修了 博士(情報理工学)、独立行政法人 産業技術総合研究所 研究員。内閣官房情報セキリュティセンター員兼務を経て2013年から現職。主な研究テーマである「ライフスタイル認証・解析」に関する各種講演やセミナーの登壇者として、また、「Society5.0を見据えた個人認証基盤のあり方懇談会」構成員を務めるなど、多方面で活躍中。

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