
【特集:DX化で進める適正な固定資産税評価・課税業務】 固定資産税賦課業務における相続人調査を劇的に省力化! 〜戸籍読取と相続関係説明図の自動作成「AI相続ミツローくん」〜 (月刊 税 2026年8月号)
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2026.08.05
目次
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月刊 税 2026年8月号
別冊付録:令和8年度版 要説固定資産税
編著者名:ぎょうせい/編
販売価格:3,410 円(税込み)
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特集:DX化で進める適正な固定資産税評価・課税業務
固定資産税賦課業務における相続人調査を劇的に省力化!
〜戸籍読取と相続関係説明図の自動作成「AI相続ミツローくん」〜
株式会社サムポローニア
多くの自治体において、固定資産税の賦課業務や用地買収業務に伴う「相続人調査」は、膨大な時間と労力を要する大きな課題となっています。戸籍謄本の読み解きや相続関係説明図の手作業による作成は、職員の専門知識や経験に依存しがちです。株式会社サムポローニアが開発した「AI相続ミツローくん」は、PDF化した戸籍謄本をAI‐OCR技術で解析し、法的根拠に基づいた相続関係説明図を自動生成するシステムです。これにより、従来の工程を大幅に省力化し、業務の効率化と適正化を同時に実現します。
実証実験の成果と導入効果
「AI相続ミツローくん」は現在、複数の自治体で導入検討が進められています。2025年9月に福島県郡山市と締結した連携協定に基づく共同実証プロジェクトでは、2026年1月末段階で、これまで約60分かかっていた相関図作成の業務時間が「約10分」にまで短縮される劇的な成果が報告されました。2026年1月には石川県輪島市ともLGWANを利用した実証事業の実施が決定し、複数部署において有効性検証が進められています。
特許技術の独自ロジックと自動判定機能
「AI相続ミツローくん」が高い信頼性を誇る背景には、次の優れた特徴と独自技術があります。
・AI‐OCRによる自動作成‥PDF戸籍謄本を解析して相関図を自動生成し、転記ミスを防ぐ。
・複数の特許取得済み技術‥戸籍解析から相続分計算に至る一連の処理に特許技術を適用。不足戸籍の可視化や複雑な相続パターンにも的確に対応する。
・法定相続人・持分の自動判定‥民法の規定に沿い最高順位の法定相続人を特定し法定持分も即座に算出。
相続業務をシステムで効率化!
主な機能
① 相関図の自動作成
データ化した戸籍のOCR 解析により相関図を自動作成
② 相続人と相続分を自動的に判断
特許取得済「相続人特定プログラムおよび相続人特定方法」
③ 根拠条文による確認
相続関係説明図内の数次、代襲相続などの相続分の根拠となる条文の表示
④ 法定相続情報証明書制度に対応
法務省記載例に準じた一覧図を自動作成。数次、代襲相続にも対応
⑤ 財産目録、遺産分割協議書の出力
相続財産を登録し、財産目録、遺産分割協議書を作成可能
今後のアップデート予定
今後は、より安全かつスムーズに自治体ネットワーク内でご利用いただけるようLGWAN‐ASPでのサービス提供や、「縦書き戸籍(タイプ打ち)」の画像認識機能の追加などを予定しており、さらなる進化を目指しています。
【事例紹介①】AI‐OCR技術による相続人調査支援システムで属人的だった相続人調査業務の課題を解消
福島県郡山市
面積757.20㎢、人口約31万5,000人。福島県の中央に位置し、東北第2の経済規模を誇る中核市。猪苗代湖や布引風の高原など、豊かな自然に恵まれている。中心の郡山駅は東北新幹線で東京から約80分、在来線4路線が乗り入れる。さらに2つの高速道路が交差する交通の要衝であり、古くから「陸の港」と称されてきた。その利便性の高さから非常に住みやすい街として知られ、各種の「福島県内で住みやすい自治体ランキング」や「永住したい福島県の街ランキング」などにおいて、軒並み第1位に選ばれている。
年間2000件に上る相続人調査が課題に
福島県郡山市税務部資産税課は、株式会社サムポローニアが開発・提供する相続人調査支援システム
「AI相続ミツローくん」を活用し、全国自治体初となるAI‐OCR等の技術を用いたシステムによる相続人調査業務の実証事業を令和7年9月1日〜8年3月31日に実施した。その成果を踏まえ、令和8年度から同システムを導入して運用している。固定資産税賦課業務における相続人調査の省力化を図るのが目的だ。
資産税課は、管理係、土地係、家屋係、償却資産係で構成され、約43人の職員で、固定資産税の賦課と土地・家屋・償却資産の評価に関する業務や、税関係の各種証明・所得証明などの発行業務を行っている。
その固定資産税賦課業務において、土地係1班(通称‥宛名係)では、係長含めた4人の職員で相続人調査を行っている。固定資産税課税台帳に登録された市民が死亡すると、相続登記が完了するまでは現所有者(法定相続人)に固定資産税を課税する。そのため、市民課から提供される火葬情報を基に喪主を確認し、喪主が配偶者や子であれば戸籍の確認は行わずに喪主宛に被相続人の固定資産に関する通知を送付する。
「だが、喪主が兄弟や民生委員などの場合は、第一順位の相続人となる配偶者や子ども、父母はいないのかを確認する必要があります。そのため、戸籍を基に相続人を探す調査を行い、相関図(相続関係説明図)を作成して第一順位の相続人に通知を送っています」と資産税課係長の安彦直人さん。その調査件数は、年間約2000件に上っていると話す。
相続人調査には戸籍の解読や相続人特定のための民法の知識を要し、また高齢化に伴って件数が年々増加しており、作業負担は重いものとなっていた。
「相続人のデータはエクセルで作成して管理していましたが、1件当たりの作業時間は、シンプルなもので30分程度、複雑になると100分以上かかることもあり、平均で60分程度です。特に初めての職員は作業に慣れるまで戸籍解読に時間を要し、相関図作成に相続の知識が必要なため、ベテラン職員に相談しながら進めていました。また、職員によってデータの保存場所や戸籍を取っておくフォルダのつくり方がまちまちで、後からチェックするときに保存箇所を探すのに時間がかかる。さらには、相関図のつくり方も違っているなど、調査自体が属人的になっていたことが課題でした」と資産税課主事の滝沢侑大さんは振り返る。

福島県郡山市資産税課の安彦直人係長
戸籍読み取りと相続人自動判定の技術が決め手
その相続人調査における負担軽減と業務効率化を図るため、宛名係ではシステムなどを活用した管理方法を模索し、家系図作成のフリーソフトを活用してみたが大きな効果は得られなかった。そのような中、令和7年6月開催の「自治体DX展」でサムポローニアが相関図作成のAI解析システムを出展していたという記事を前任の宛名担当職員が見つけ、同社に連絡したのが、「AI相続ミツローくん」導入のきっかけとなった。6月中旬に同システムのデモを見た上で、庁内のシステム全体を総括しているDX戦略課とシステムや機器の構成、セキュリティなどについて協議を重ねながら検討を進め、8月29日にサムポローニアと連携協定を締結。9月1日から令和8年3月31日まで、従来手法との比較検証による効率性の実証と今後の利活用について検討するための実証事業を行った。
「デモ画面を見て、相続人データの蓄積や相関図を自動作成する点では、他自治体のシステムと同じでしたが、OCRで戸籍情報を読み取り、独自ロジックで解析し相関図を自動生成する機能に感銘を受けました」と滝沢さんは話す。
戸籍謄本画像のAI‐OCRでの読み取り技術と、法的根拠に基づいた相関図の自動生成に加え、法定相続人の自動判定と持分割合の自動計算までをワンストップで行う複数の特許技術を持っていることが、「AI相続ミツローくん」導入の決め手となった。
「導入に向けては実証事業の中間報告を行い、費用対効果の高い有益なシステムであることを財政担当課に訴えて令和8年度予算を獲得しました」と安彦さん。令和8年4月1日にサムポローニアと賃貸借契約を締結し、運用を開始したと話す。

福島県郡山市資産税課の滝沢侑大主事
相続人調査の作業時間を80%以上削減
導入後、複数の職員で相続人調査の作業時間を検証した。その結果、従来のエクセルによる調査では平均60分(最長100分、最短30分)、フリーソフトでは平均35分(最長50分、最短15分)だったのに対し、「AI相続ミツローくん」では平均10分(最長15分、最短2分)で、期待以上の作業時間削減効果が得られた。
一方で、OCRで正しく読み取れず、手入力による修正が必要な場合があることや、縦書き戸籍への対応が課題となっている。それに関して滝沢さんは、「サムポローニアと定期的な打ち合わせで情報交換しています。その中では、人間でも解読が難しい昔の手書きによる縦書き戸籍を含め、OCRの読み取り精度向上を図っていくとの話を聞いていますので、今後に期待しています」と話す。
相続人調査のデータ保管場所や作成方法が属人的だった課題は、新システムによって戸籍データが独立した機器の中に保存されるようになり、どの職員でも問い合わせに対応可能となったことで解消。異動などで初めて担当となった職員でも作業しやすくなるだろうと滝沢さんは期待を込めて話す。
実証事業で機器等を無償提供してもらった関係で導入費は発生しておらず、ランニングコストは賃貸借契約料の年間約150万円。それに対し、相続人調査の作業時間削減によって時間外勤務の人件費約230万円が不要となったことから費用対効果はかなり高い。
利用する職員からは、「1件60分要していた作業時間が83%減の10分となり、事務効率が上がった」と好評を博している。市長・副市長・部局長等が出席する会議で実証事業結果を報告した際には、副市長から事務効率の観点から全庁での横展開検討についてコメントがあったという。
庁内で「相続人調査における相関図作成研修会」を開催し、他課の職員に相関図作成のデモ画面を見てもらった滝沢さんは、「税の賦課や収納にとどまらず、相続人調査が必要になる空き家対策や用地取得、福祉関係、さらには災害復興などで活用できるのではないかと考えています」と話す。
全国に先駆けて新システムを運用した郡山市には現在多くの自治体から問い合わせが寄せられている。「相続人調査の課題は全国共通だと思います。システムの運用で気になることがあれば、お気軽に郡山市資産税課までお問い合わせてください」と安彦さんは語っている。

左から安彦直人係長、滝沢侑大主事
【事例紹介②】創造的復興を図るためにLGWAN上での相続支援システム活用の実証事業を開始
石川県輪島市
面積429.13㎢、人口約1万9,100人。能登半島の北西部に位置し、日本海に面した奥能登の中心都市。重要無形文化財である伝統工芸「輪島塗」の産地として全国的に知られる。日本海の豊かな自然に恵まれ、世界農業遺産を象徴する国指定名勝「白米千枚田」や、日本三大朝市のひとつである「輪島朝市」など、多くの観光名所を有する。古くから海上交通の要衝や漁場として栄えた歴史を持ち、近年はこれらの伝統文化を次代へつなぐ取り組みを推進。令和6年の度重なる災害を乗り越え、街の再生と復興への歩みを力強く進めている。

手前が2021年(令和3年)竣工の市庁舎。
復興へ向けて相続確認業務の迅速化が急務に
令和6年1月1日に発生した能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市は、LGWAN(総合行政ネットワーク)を利用して株式会社サムポローニアの相続支援システム「AI相続ミツローくん」で業務効率化を図る実証事業を令和8年1月から開始した。インターネットと分離された行政専用のネットワーク上でAI‐OCR技術等による相続支援サービスを安全に活用することで、相続人調査業務を効率化し、地震被害からの早期復興を図るのがねらいだ。
高齢社会の急進展に伴い、自治体の相続関連業務の件数が増加している。特に、不動産登記上の所有者が死亡した場合の固定資産税賦課業務や用地取得業務などでは現所有者(法定相続人)の調査・特定が必要となるが、相続人調査には戸籍の解読と相続人を特定するための民法の知識が必要なため、業務が担当職員に属人化しているケースが少なくない。しかも手作業で行っていることから職員の事務負担は大きく、その業務効率化が急務の課題となっている。
そのような中、地震によって大きな被害を受けた輪島市では、地域の復興に向けて土地の所有者や相続関係の確認が大きな課題となり、創造的復興を進める上で相続確認業務の迅速化が求められていた。
「市の業務全体においては、戸籍をはじめ、古くからの書類は紙ベースで手書きのものが多く、それに基づいた業務でかなりの時間を要しています。能登半島地震で大きな被害を受けた輪島市では、被災した住宅などの公費解体を進め、民間の土地を取得して災害公営住宅や道路を整備するため、土地の権利関係を確認しなければなりません。その業務を急ピッチで進める上では、限られた職員体制でいかに効率的に取り組むかが喫緊の課題となっていました」と企画振興部復興推進課デジタル化推進室主幹兼デジタル化推進係長の山吹允さん。そこで、LGWAN‐ASPの認可サービスとして登録されており、戸籍謄本を基に相続関係図を自動生成し、法定相続人の特定や相続割合の計算までをワンストップで行える「AI相続ミツローくん」を活用する実証事業を行うことになったと振り返る。
LGWANで安全に利用できるのが利点
実証事業は、トップダウンの形で復興推進課に話があって取り組むことになったという。復興推進課は企画課を前身とし、組織改編に伴って令和6年4月に発足した。市政の重要施策の企画立案と総合調整、統計調査をはじめ、復興の推進、交通政策の総合的な企画・調整・推進、情報政策、システム管理、デジタル化・DXなどの幅広い業務を担っている。
「当時の総務部長、現在の副市長が、サムポローニアが独自開発した相続支援システムの記事を見て関心を持ち、コンタクトを取るから使ってみてはどうかという話がありました。令和7年の夏から秋ぐらいで、復興事業に向けて土地の所有者など権利関係を確認しなければならない業務が集中して、現場が苦労していることが上にも伝わったのです。デジタル化やDX推進の意欲が強く、情報感度も高かった副市長の強い勧めで、導入を検討することになりました。サムポローニアの担当者とは、資料を見ながらウェブで何回か打ち合わせを行いました」と山吹さんは話す。
実証事業は、LGWANの閉域かつ高セキュリティな環境下で、①戸籍情報のAI‐OCR解析、②相続関係説明図の自動生成、③法定相続人特定業務の支援ーを行い、相続関係確認に要する時間の短縮や担当者間での情報共有の円滑化、復興事業に必要な用地取得業務の迅速化の効果を検証することとした。実証事業の実施を後押ししたのは、個別のネットワーク接続やセキュリティ設計を行うことなく共通基盤上で利用可能で、標準化された環境でサービスを利用できることだったという。
「サーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどを自らの施設内に設置して保有・運用するオンプレミスでは、輪島市の地理的な要因からサポートに来てもらうのに時間がかかります。そのため、クラウドで利用できるサービスで、しかも安全、かつ、情報の取り扱いや業務連携を円滑に行える必要がありました。その条件をクリアしていましたが、サムポローニアとしてもLGWANを使うのは初めてとのことで、開発と並走しながら検討していきました」と山吹さん。庁内の合意形成では、実証事業による市の財政負担がなかったことから、特段の支障はなかったと話す。

石川県輪島市復興推進課デジタル化推進室の山吹允主幹兼デジタル化推進係長
防災の観点からの活用に期待を寄せる
実証事業は、用地取得を担当するまちづくり推進課用地係で行っている。「用地交渉の担当は1人なので、業務効率化は必須。相続支援システムはシンプルな相続関係説明図は短時間で生成されるので便利で、一方、複雑なものや古い手書きの戸籍への対応は難しい面もあるが、使える範囲が広がればさらに効果が高まると担当職員は話しています。まだ走り始めたばかりですが、使ってみて困ったことがあれば対応してもらうなど、サムポローニアにはしっかりサポートしてもらっており、税務課固定資産税係に広げる話もしています」と山吹さん。
また、税務課以外でも相続人調査が必要な業務はあるので、庁内全体で使っていけるようになればいいのではないかと話す。
「防災の観点からも活用できます。輪島市では公費解体時に土地・家屋の所有者の確認が問題になりましたが、相続支援システムを導入しておくことで迅速に対応できると感じました。防災は平時の延長にあるべきなので、その観点からも導入する意義は大きいと思います。もっとも、土地・家屋の所有者の確認は税や登記の情報を見て進めるので、税務課ベースで活用することが基本になると思います」
さらに相続支援システムは、自治体の規模に関わらず利用でき、業務効率化に役立つだろうと話す。
「税の賦課や固定資産の所有者の確認などで相続関連業務は自治体共通にあり、事務負担も大きいので、業務を支援するシステムはどの自治体も望んでいるのではないでしょうか。基幹業務システムが標準化されましたが、それ以外のシステムも標準化され、相続支援システムが通常の業務の流れの中で当たり前に使えるようになるというのが理想的な姿だと思います」
輪島市には現在、復興を応援する職員が全国自治体から約100人派遣されている。それは全職員の
25%を占めているが、各自治体のシステムやデジタルツールが異なっているため業務を円滑に進められないことも少なくないという。その問題を解消して全国での災害応援を強化するため、システムの標準化・共通化を考えてもいいのではないかと山吹さんは語っている。
問合せ先
株式会社サムポローニア
Tel:03-6262-1905
E-mail:info@sumpaulo

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