クレーム対応術

関根健夫

期限を区切って対応する|クレーム対応術5【カスハラ対策】

キャリア

2025.03.21

【コラム】「今度は自分かも」という危機感を持つ

 クレームへの対応は、多くの場合、基本的に個人で対応することになる。カウンター越しにたまたま迎えたお客さまがクレームを言ってきた、たまたま電話を取ったらお客さまが怒っていたなどのケースが多い。

 そこで、何らかのクレームで困った状況が起きたら、それが終わってから上司に報告し、できれば他の職員にも何があったのかを周知する。同じ内容のクレームは、他のお客さまからもたらされる可能性もある。

 他の職員は「今度は、自分かもしれない」といった、良い意味での危機感を持つことが大切だ。こういったことは、個人が努力して得ることというよりも、組織で習慣化するとよい。これが、クレームに強い組織づくりにつながる。

 組織は、組織図によってのみ成り立つものではない。かたちの上での組織ができても、それが機能しなければ意味がない。まずは、個人レベルでも構わない。始めは愚痴でもよいので、いつでも情報交換することを実践する。皆が行うことで職場のムードがつくられる。

 ただしそれで終わってしまえば、単に恨みやお客さまへの悪口になり、好ましい状況とはいえない。ポイント3 でも述べたとおり、話し合いを定例化し、何かあったら皆で話し合うことを当然の雰囲気にする。

 クレームを受けた職員は孤独だ。自分だけが損をしている気分にもなる。皆が本気で聞いてくれて、どうしたらよいのかを話し合 ってくれる。そういった習慣が孤独を防ぎ、組織としての活力を生むのだ。

 

月刊『ガバナンス』で好評を博した連載「クレーム対応駆け込み寺」を加筆修正、再構成し単行本化
クレーム対応のさまざまな悩みを解決!

お悩み解決!公務員のためのクレーム対応駆け込み寺

お悩み解決!
公務員のためのクレーム対応駆け込み寺
編著者名:関根健夫/著
販売価格:2,420 円(税込み)
試し読みはこちら ≫

【こちらもおすすめ】
カスハラをはじめとする不当要求行為等について、実際の事例から対応を学ぶ!

自治体職員のための 不当要求行為対応ブック-事例からわかるトラブル回避策-

自治体職員のための
不当要求行為対応ブック
-事例からわかるトラブル回避策-
編著者名:宇都木法律事務所(代表弁護士 宇都木 寧)
販売価格:3,080 円(税込み)
試し読みはこちら ≫

 

≪ 前の記事 連載一覧へ 次の記事 ≫

アンケート

この記事をシェアする

  • Facebook
  • LINE

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

関連記事

すぐに役立つコンテンツ満載!

地方自治、行政、教育など、
分野ごとに厳選情報を配信。

無料のメルマガ会員募集中

関根健夫

関根健夫

人材教育コンサルタント

1955年生まれ。武蔵工業大学(現、東京都市大学)卒業後、民間企業を経て、88年、アイベック・ビジネス教育研究所を設立。現在、同社代表取締役。コミュニケーションをビジネスの基本能力ととらえ、クレーム対応、営業力強化などをテーマに、官公庁、自治体、企業等の研修・講演、コンサルティングで活躍中。著書に、『こんなときどうする 公務員のためのクレーム対応マニュアル』『事例でわかる公務員のためのクレーム対応マニュアル 実践編』(ぎょうせい刊)。

閉じる