議会局「軍師」論のススメ

清水 克士

なぜ議会では長期実行計画が一般的ではないのか?|議会局「軍師」論のススメ 第118回

NEW地方自治

2026.08.20

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★「議会局『軍師』論のススメ」は「月刊 ガバナンス」の連載です。本誌はこちらからチェック!

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本記事は、『月刊ガバナンス』2026年1月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

 昨年11月に大津市議会の議会改革の経緯と成果についての講演を依頼された(注1)

注1 「輝け議会!対話による地方議会活性化フォーラムin伊万里」、「同フォーラムin大野城」(ローカル・マニフェスト推進ネットワーク九州主催)

 前段では立法趣旨に基づく議会改革の必要性(注2)を訴えたが、コメンテーターの前田隆夫・西日本新聞論説委員会副委員長からは、改革手法の各論で紹介した「大津市議会ミッションロードマップ」が「大津市議会の一番の発明」だと評された。

注2 概要は、清水克士『「議会改革の本質」とは何か?』(自治日報2025年11月17日号)参照

 今号では、ミッションロードマップについて、現場で話したことに補足して論じたい。

■全国初の議会通任期実行計画

 「大津市議会ミッションロードマップ」は、議員任期4年間に行う政策立案と議会改革の内容と工程を定めた実行計画として、2015年に全国で初めて策定したものである。

 ミッションロードマップの本質は、議会活動の「見える化」を図ることにより、議会としての市民への「説明責任」を果たすところにある。それは議会基本条例に定める抽象的な理念の「具現化」であり、具体的な議会活動を、あらかじめ市民に伝えることである。具体的には、単年度ではなく議員任期に整合させた計画期間に、議会がいつ、何を予定しているのかを、任期当初に工程表化して、一般市民にわかりやすく伝えようとするものである。

 ミッションロードマップの進捗管理は、毎年度末に自己評価を行うとともに、任期最終年度には任期中の議会活動全般も含めての外部評価を、連携している大学の教員から受けて総括している。同時に外部評価を「次期議会へのメッセージ」として、次期ミッションロードマップ策定議論の前提としても活用するなど、議員通任期での「政策サイクル」と「議会評価システム」を融合させた長期計画でもある。

■議会の実行計画の必要性

 議会と首長は二元的代表制のもと独立対等関係とされながらも、多くの住民は首長の名前は知っていても、議長の名前は知られていないなど、議会の存在感は残念ながら、首長の足元にも及ばないというのが現実ではないか。

 それは自治体意思を確定するのは議会であるにもかかわらず、住民にとっては住民福祉を増進してくれるのは執行機関であり、議会は受動的に関わる機関に過ぎないぐらいの評価が一般的だからであろう。主体的に住民福祉増進に貢献しない機関の存在感など、高まらないのも当然なのかもしれない。

 二元的代表制は機関競争主義ともいわれるとおり、議事機関と執行機関がそれぞれの立場から住民福祉の増進を競い合うことを予定している。

 だが、多くの自治体議会では政策立案機能の重要性の認識と機能発揮能力に欠けているのが実態であろう。そのような現状を打破するためにも、抽象的な理念を示すだけでなく、議会からの具体的な政策提案を住民に約束する実行計画が求められるのである。

■議会の実行計画の課題

 だが、執行機関では多くの場合、首長任期を超える期間の総合計画によって、長期の政策があらかじめ示されている。自治体の政策は公選職の任期に関わらず、計画立案や執行が求められるものも多いことから当然のことともいえる。

 議会も二元的代表制の一翼を担う立場からは、議会基本条例の普遍的理念を具現化する、任期を超えた長期の実行計画を住民に示すことが、これからの課題ではないだろうか。

 

第119回 自治体議会の存在感は高まったのか? は2026年9月10日(木)公開予定です。

 

著者プロフィール

早稲田大学デモクラシー創造研究所招聘研究員
議会事務局研究会 共同代表
元大津市議会局長
清水 克士 しみず・かつし


1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長、局長などを歴任し、2023年3月に定年退職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。

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清水 克士

大津市議会局長・早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員

しみず・かつし 1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長などを経て2020年4月から現職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。

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