議会局「軍師」論のススメ

清水 克士

続・なぜ「議会局」であるべきなのか?|議会局「軍師」論のススメ 第111回

NEW地方自治

2026.01.22

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本記事は、『月刊ガバナンス』2025年6月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

 我が国の自治体議会の補佐機関が脆弱な体制に置かれているのは、戦後の中央集権体制と無縁ではないと先月号で述べた。

 建前では二元的代表制のもとで議会と首長は対等関係とされつつも、実質的には国が地方を統制するために、自治体議会を形骸化して首長優位となるよう、制度運用されてきたからである。そのため、諸外国の基礎自治体議会では、政策立案のため議員数の数倍の補助職員を配置する例も珍しくないが、我が国の自治体議会の議会事務局は質、量ともに脆弱な体制に置かれている。

 その結果として、議会事務局のシゴトは、定型的な議事と庶務だけと認識されてきたが、二元的代表制の一翼を担う議会の補佐機関が、本当に現状のままで良いのだろうか?

■政策形成を補佐する必要性

 大森彌・東京大学名誉教授は、議会・議員とその補佐機関との関係について、「補助機関としての職員は、指示がなければ、上司の任務遂行に係る行動提案をしてはならないというわけではない。首長は、しばしば、補助機関としての職員に対して指示待ちでなく、率先して政策提案をするよう求めている。『補助機関』としての機能の中には、上司に当たる中核機関の意思決定のヒントになることを積極的に助言・提案することが含まれている」(注1)とし、議会事務局職員にも、執行部職員と同様の行動規範を求めている。それは、公選職と任命職との関係性を考えれば、民主的正統性を備えた市民の代表を補佐する立場は、地方公務員法上、執行部職員と同じである以上、当然の帰結とも言える。

注1 「大森彌の進め!自治体議会」(大森彌・議員NAVI 2015.8.25)

 ところが、多くの論説では、「黒衣」との形容で、議会事務局職員は裏方に徹するべきとされている。明確な法的根拠などないにもかかわらず、議会事務局職員だけを主体性を持ち合わせない黒衣と表現するところが偏見だと感じるのである。

 また、第28次地方制度調査会の「議会のあり方」に関する審議に対応してとりまとめられた都道府県議会制度研究会中間報告(2005年3月18日・大森彌座長)においては、「議会の政策提案機能や監視機能の強化が要請される今日、これに応えるためには、第一次的な補佐機関である事務局の政策、法務にかかる調査機能の補助体制の整備など、質と量の両面にわたる整備が必要」と事務局の重要性と政策形成補佐の必要性が強調されており、決して黒衣に止まる現状が肯定されるべきものではないと言えるだろう。

■名は体を表す

 したがって、局職員も議員と協働して市民福祉の増進を図る「チーム議会」の一員としての自覚を持ち、議会事務局は議会改革や政策形成に主体的に関与できる組織となることが、もちろん第一義である。

 だが同時に、「議会事務局」は定型業務をこなすだけで良いとの誤解を解き、政策形成を議員とともに担う組織に相応しい呼称とすることも必要ではないだろうか。それは「名は体を表す」からである。

 その意味からは、本来は地方自治法138条の規定も「庶務」を「事務」に改正(注2)したことに止まるのではなく、「事務局」を「議会局」、「事務局長」を「局長」に改正することが望まれる。しかし、法改正を待つまでもなく、呼称をどのようにするかは議会の裁量である。名実ともに全ての「議会事務局」が「議会局」に進化することが、今こそ求められているのである。

注2 地方自治法138条7項・2006年改正

 

第112回 「議会局」としてなすべきことは何か? は2026年2月19日(木)公開予定です。

 

著者プロフィール

早稲田大学デモクラシー創造研究所招聘研究員
議会事務局研究会 共同代表
元大津市議会局長
清水 克士 しみず・かつし


1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長、局長などを歴任し、2023年3月に定年退職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。


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清水 克士

大津市議会局長・早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員

しみず・かつし 1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長などを経て2020年4月から現職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。

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