自治体の防災マネジメント

鍵屋 一

TEAM防災ジャパン│自治体の防災マネジメント 第111回

NEW地方自治

2026.01.21

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※写真はイメージであり、実際の土地とは関係ありません。
本記事は、月刊『ガバナンス』2025年6月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

TEAM防災ジャパン

 自治体職員のみなさん、「TEAM防災ジャパン」を知っているだろうか。そもそもは、2006年4月の「災害被害を軽減する国民運動の推進に関する基本方針」からはじまった。この方針では、国民運動を通じて個人や地域が日常的に防災(減災)のための行動を行うことが求められるとして、次の項目が示された。

1 防災(減災)活動へのより広い層の参加(マスの拡大) 2 正しい知識を魅力的な形でわかりやすく提供(良いコンテンツを開発) 3 企業や家庭等における安全への投資の促進(投資のインセンティブ) 4 より幅広い連携の促進(様々な組織が参加するネットワーク) 5 国民一人一人、各界各層における具体的行動の継続的な実践(息の長い活動)

 こうやって見ると、20年前の基本方針であるが、今も通用する。防災においては「何をすべきか」はわかっていて、「どうやって実現するか」が課題なのだと改めて感じる。

 TEAM防災ジャパンは、前述の基本方針の実現に向けて、2014年から内閣府がホームページ(図1)の運用を開始した。私も当初からアドバイザーとして関わっている。

図1 TEAM防災ジャパンホームページ
TEAM防災ジャパンHP

ぼうさいこくたい

 現在、国民運動の推進イベントとしては、内閣府、開催都道府県、開催市が共催する「ぼうさいこくたい」が中核となっている。産官学、NPO・市民団体などが日頃から行っている防災活動を全国的な規模で発表し、交流する日本最大級の防災イベントだ。昨年、熊本で開催された「ぼうさいこくたい」の出展団体数は404団体、現地来場者数は約1万7000人。毎年過去の記録を大きく更新している。今年は9月6日、7日に新潟で開催され、防災に関する様々な講演、パネルディスカッション、ブース展示、屋外展示などを実施する(図2)。出展者募集(4月25日締切)段階では、去年を上回る団体数の応募があった。

図2 ぼうさいこくたい2025 in 新潟ホームページ
ぼうさいこくたい2025HP

 TEAM防災ジャパンは企画段階から参画し、自らもセッションを設け交流活動を行っている。年々規模が拡大し、会場では同窓会のように会える人が増え、うれしい限りだ。

リレー寄稿

 ここからは、TEAM防災ジャパン公式サイトのコンテンツを紹介する。

 まず「リレー寄稿」。防災の現場で活躍する数百人もの担い手が、次の共通質問に答える形で想いを語っている。本サイトの目玉コーナーだ。

・防災に取り組みはじめたきっかけは? ・ご自身の活動の中で、一番のエピソード(うまくいったことや、いかなかったことも)という事例をひとつあげてください。 ・防災活動は「つながり」が課題ですが、ご自身で感じる現状の課題についておしえてください。 ・TEAM防災ジャパンサイトについて、期待されることについてメッセージをお願いいたします。

 身近な地域、職種で活動している方の話がきっとあるはず。自治体職員であれば、防災の仕事で相談したいときの参考になるかもしれない。読んでいるだけで活動が思い浮かんで楽しくなる。不定期に新しい方が登場するので、時々、チェックいただきたい。

 また、ここには次の特集テーマで多くの方が投稿している。「ぼうさいこくたい2017」「阪神・淡路大震災25年」「東日本大震災10年」「関東大震災100年」「能登半島地震」。これを見ると、自治体職員、防災の実務家、研究者などがどのような観点から防災に取り組んでいるかがわかって、実に興味深い。私たちはどうしても、自らの経験や研究のバイアスで事象をとらえがちである。多くの視点から、多面的、重層的に考えるきっかけをいただいている。

防災資料室

 TEAM防災ジャパンの「防災資料室」は、防災関係者にとって最も実用的なコンテンツのひとつである。災害対応、福祉支援、避難所運営、教育・啓発、BCP策定など、幅広いテーマに沿って分類された資料が体系的に整理されている。

 これにより、たとえば「福祉施設における避難計画の作成」「受援計画の実践例」「高齢者や障害者への個別避難計画作成支援」のような具体的な業務に対して、他自治体の先行事例や、専門機関が作成した手引き等を迅速に参照することが可能となる。

 また、比較的新しいコンテンツに「災害遺構ページ」がある。全国の地域にある様々な災害遺構等を見つけ、それをきっかけに地域で発生した災害を知ることにより、防災の知恵を気軽に学ぶことを目的としている。楽しい活動とともに防災力を高める事例も紹介している。

防災教育チャレンジプラン

 「防災教育チャレンジプラン」は、防災教育に取り組む全国の学校、団体、地域、個人への支援を通じて防災教育を推進する取り組みだ。これからの災害に立ち向かうであろう子どもたちを中心とした、家庭や地域の防災に関わる能力の向上を図ることにより、社会全体の防災力を向上させることを目的としている。

 すでに20年以上の実績を積み重ね、その取り組み事例がすべて保存されている。その中には、2011年3月の東日本大震災を乗り越えた釜石東中学校の「釜石の奇跡」もある。当時の中学生と先生らが大震災前にどのような防災教育を行って、また訓練を行っていたかがわかり、防災教育の重要性が非常によく伝わるコンテンツである。

 防災教育の取り組みを顕彰、表彰するものは他にもいくつかあるが、チャレンジプランは事前にプランを募集、審査し、1年をかけて取り組みを支援する点に特徴がある。

 毎年、地域や学校等における防災教育のプランを募集し、選出されたプランの実践団体に対して「防災教育チャレンジプランアドバイザー」によるアドバイスや活動応援、実践団体同士の交流の場の提供、プラン実践にかかる経費の一部補助といった、ヒト・コト・資金の支援を行っている。

最新情報の集約

 毎週何日かの頻度で、新着情報が提供されている。災害対応に関する国の政策動向や調査研究結果など、業務の裏づけとなるエビデンス情報も随時更新されている。たとえば消防庁による「業務継続計画(BCP)・受援計画の策定状況」調査、国交省による「水害リスクを見える化したハザードマップ整備の指針」などは、計画策定の説得材料としても活用できる。

メルマガ登録の案内

 TEAM防災ジャパンは、豊富な情報により、画一的でなくローカルな地域自律型の防災への変化を求める時代のプラットフォームである。今後は、双方向の学びと連携を可能にする仕組みをさらに強化していくのが重要と考えている。

 なお、TEAM防災ジャパンは、最新の政策動向、優良事例、イベント情報をタイムリーに届けるメールマガジン(*)を発行している。登録は無料であり、週1回程度のメールで確実に最新情報を把握できる利便性は高い。まだ未登録の方には、ぜひこの機会に登録をすすめたい。

*TEAM防災ジャパンメールマガジン登録はこちら▼
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著者プロフィール

跡見学園女子大学教授
鍵屋 一 かぎや・はじめ


1956年秋田県男鹿市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、東京・板橋区役所入区。法政大学大学院政治学専攻修士課程修了、京都大学博士(情報学)。防災課長、板橋福祉事務所長、福祉部長、危機管理担当部長、議会事務局長などを歴任し、2015年4月から現職。災害時要援護者の避難支援に関する検討会委員、(一社)福祉防災コミュニティ協会代表理事、(一社)防災教育普及協会理事なども務める。著書に『図解よくわかる自治体の地域防災・危機管理のしくみ』(学陽書房、19年6月改訂)など。

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跡見学園女子大学教授

(かぎや・はじめ) 1956年秋田県男鹿市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、東京・板橋区役所入区。法政大学大学院政治学専攻修士課程修了、京都大学博士(情報学)。防災課長、板橋福祉事務所長、福祉部長、危機管理担当部長、議会事務局長などを歴任し、2015年4月から現職。避難所役割検討委員会(座長)、(一社)福祉防災コミュニティ協会代表理事、(一社)防災教育普及協会理事 なども務める。 著書に『図解よくわかる自治体の地域防災・危機管理のしくみ』 (学陽書房、19年6月改訂)など。

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