法律の動向――法律のひろば2024年6月号「法律速報」

地方自治

2024.06.06

『法律の動向』では、法律実務家向けの隔月刊誌「法律のひろば」や、自治体職員向けの月刊誌「地方財務」の掲載記事から、最新の成立法律や法改正に関する情報を厳選してお届けします! ※ 本記事は、「法律のひろば2024年6月号」の「法律のひろば」に掲載のものです。

令和六年能登半島地震災害の被災者に係る所得税法及び災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の臨時特例に関する法律

令和6年2月21日公布・公布日施行

令和6年法律第1号

・雑損控除の特例
・被災事業用資産等の損失の必要経費算入の特例
・災害減免法の特例

① 令和六年能登半島地震災害により住宅、家財等について生じた損失については、その損失額を令和5年分の総所得金額等から雑損控除として控除することができる。
② 令和六年能登半島地震災害により事業用資産等について生じた損失については、その損失額を令和5年分の事業所得の金額等の計算上、必要経費に算入することができる。
③ 令和六年能登半島地震災害により住宅又は家財について甚大な被害を受けた者については、雑損控除との選択により、その被害を令和5年において受けたものとして、令和5年分の所得税について災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の所得税の軽減免除の適用を受けることができる。

 

地方税法の一部を改正する法律

令和6年2月21日公布・公布日施行

令和6年法律第2号

・雑損控除の特例

 令和六年能登半島地震災害の被災者の負担の軽減を図るため、令和六年能登半島地震災害によりその者の有する資産について受けた損失の金額については、所得割の納税義務者の選択により、令和5年において生じた損失の金額として、令和6年度以後の年度分の個人の道府県民税及び市町村民税の雑損控除額の控除及び雑損失の金額の控除の特例を適用することができる。

 

地方税法等の一部を改正する法律

令和6年3月30日公布・①及び④から⑥までは令和6年4月1日施行、②は令和7年4月1日施行、③は令和8年4月1日施行

令和6年法律第4号

・個人住民税の改正 ・法人事業税の改正 ・固定資産税及び都市計画税の改正 ・森林環境譲与税に係る譲与基準の見直し   等

① 令和6年度分の個人住民税について、定額減税を実施する。
② 外形標準課税の対象法人について、現行基準(資本金1億円超)を維持した上で、当分の間、前事業年度に外形標準課税の対象であった法人であって、当該事業年度に資本金1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超えるものは、外形標準課税の対象とする。
③ 資本金と資本剰余金の合計額が50億円を超える法人等の100%子法人等のうち、資本金1億円以下で、資本金と資本剰余金の合計額が2億円を超えるものは、外形標準課税の対象とする。
④ 法人税における賃上げへの対応に合わせ、継続雇用者の給与総額の対前年度増加率に係る適用要件等を見直した上で、雇用者全体の給与総額の増加額を付加価値額から控除する措置を講ずる(3年間の時限措置)。
⑤ 令和6年度の評価替えに当たり、現行の土地に係る負担調整措置等を継続する。
⑥ 森林環境譲与税に係る譲与基準について、「私有林人工林面積」の譲与割合を5.5割、「人口」の譲与割合を2.5割とする。

 

所得税法等の一部を改正する法律

令和6年3月30日公布・特段の定めがある場合を除き令和6年4月1日施行

令和6年法律第8号

・所得税の定額減税 ・賃上げ促進税制の強化 ・戦略分野国内生産促進税制の創設 ・イノベーションボックス税制の創設 ・プラットフォーム課税の導入   等

① 居住者の令和6年分の所得税額から居住者並びに配偶者及び扶養親族一人につき3万円を控除する。ただし、合計所得金額が1,805万円超の高額所得者は対象外とする。
② 賃上げ促進税制の強化として、以下の措置を講ずる。 ⅰ 従来の大企業向けの措置について、税額控除率の上乗せ措置等を見直す。 ⅱ 中堅企業(従来の大企業のうち従業員数が2,000人以下の法人)向けの新たな措置を創設する。 ⅲ 中小企業向けの措置について、5年間の繰越控除制度を創設する。 ⅳ 教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置についての適用要件を緩和する。 ⅴ 子育てとの両立支援や女性活躍支援に積極的な企業への税額控除率の上乗せ措置を創設する。
③ 電気自動車、半導体等を対象に、生産・販売量に応じた10年間の税額控除を行う制度を創設する。
④ 国内で自ら研究開発した特許権等から生ずる一定の所得について、30%の所得控除を行う制度を創設する。
⑤ 国外事業者がデジタルプラットフォームを介して国内向けに行うデジタルサービスについて、国外事業者の取引高50億円超のプラットフォーム事業者に消費税の納税義務を課す制度を導入する。
⑥ 適用期限の到来する租税特別措置の延長、既存の租税特別措置の整理合理化等、所要の措置を講ずる。

 

令和六年度出産・子育て応援給付金に係る差押禁止等に関する法律

令和6年3月30日公布・公布日施行

令和6年法律第10号

・令和六年度出産・子育て応援給付金の受給権等の差押禁止等 ・令和六年度出産・子育て応援給付金として支給を受けた金品への非課税   等

① 「令和六年度出産・子育て応援給付金」とは、妊娠から出産及び子育てまでの一貫した相談支援の実効性を確保する必要性に鑑み、令和6年度の予算における妊娠出産子育て支援交付金を財源として市町村(特別区を含む。)から支給される給付金(金銭以外の財産により行われる給付を含む。)で、妊娠から出産及び子育てまでの支援の観点から支給されるものをいう。
② 令和六年度出産・子育て応援給付金の支給を受けることとなった者の当該支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
③ 令和六年度出産・子育て応援給付金として支給を受けた金銭その他の財産は、差し押さえることができない。
④ 租税その他の公課は、令和六年度出産・子育て応援給付金として支給を受けた金品を標準として課することができない。

 

旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律の一部を改正する法律

令和6年4月5日公布・公布日施行

令和6年法律第12号

・一時金の支給の請求期限の延長

 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律に基づく一時金の支給の請求の期限を5年延長し、同法の施行の日(平成31年4月24日)から起算して10年を経過する日までとする。

 

令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金に係る差押禁止等に関する法律

令和6年4月5日公布・公布日施行

令和6年法律第13号

・令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金の受給権等の差押禁止等

① 「令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金」とは、令和6年1月1日に発生した令和六年能登半島地震による災害により住宅に被害を受けた世帯(以下「被災世帯」という。)の住宅の再建の支援等の観点から支給される給付金であって、それらがあいまって被災世帯に必要な支援を確保し、当該災害により被害を受けた地域のコミュニティの再生を図り、当該地域における社会福祉の向上に資するものとして石川県から支給される次に掲げるものをいう。 ⅰ 令和6年3月1日に閣議において決定された令和5年度一般会計予備費の使用に基づく地域福祉推進支援臨時特例交付金その他高齢者若しくは障害者がいる世帯又は住宅の建設、購入若しくは補修のための借入金の借入れを受け若しくは返済を行うことが容易でない世帯に対して給付金を支給することを目的として国が交付する交付金として厚生労働省令で定めるものを主たる財源として支給される給付金 ⅱ ⅰに掲げる給付金の支給を受けていない世帯の住宅の建設、購入又は補修のための借入金の利息の支払に充てるものとして支給される給付金として厚生労働省令で定めるもの
② 令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金の支給を受けることとなった者の当該支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
③ 令和六年能登半島地震災害に係る住宅再建支援等給付金として支給を受けた金銭は、差し押さえることができない。

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