連載 vol.108「つながる」力 つながりは活かすことでその力を発揮する【鈴木由美(仙台市職員)】

地方自治

2024.08.27

目次

    本記事は、月刊『ガバナンス』2023年3月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
    所属等は執筆(掲載)時点のものです。
    ※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。

     2010年5月、仙台市内で開催された「東北まちづくりオフサイトミーティング」(東北OM)の勉強会で発起人である後藤好邦さんと出会い、勉強会を運営するノウハウや仲間とつながることの大切さなど多くのことを学んだ。そして、その4か月後の9月に、仙台市職員による勉強会「Team Sendai」が発足した。

     活動が軌道に乗ってきた頃、東日本大震災が発生。初めて経験する災害対応業務に追われる中、とても励まされたのは東北OMの仲間からのメールだった。そして、地震発生からわずか43日後に津波の状況視察等を行った東北OMの仙台でのミニ勉強会や、その1か月後の「震災復興チャリティイベント」、その後も、福島市、南三陸町、陸前高田市など被災地で開催した東北ОМ勉強会に参加し、さらなるつながりも生まれた。

     発災から9か月後、Team Sendaiは仙台市職員の震災体験を伝承する活動を始めた。試行錯誤を重ね、2017年には聴き取り調査が大学等との共同研究になるなど、活動は徐々に進展した。認知度も上がってきたところに、またも災いが……。新型コロナウイルス感染症だ。オンラインの活用により何とか活動は継続できたが、SNSやメールを中心としたコミュニケーションの難しさに私たちは悩む日々を送った。

     昨年7月頃からようやく出前講座が対面開催できるようになり、大学での講座がきっかけで、学生たちが活動に参加するようになった。また、区役所での講座がきっかけで、市や区役所、大学等との新たな研修プログラムの検討が始まるなど、状況が好転してきた。

     Team Sendaiが発足して12年。よくぞ続いてきたものだ。つながりを作るだけではなく、積極的に活かすことをみなが心掛け、それが功を奏したのだろうか。自分ひとりの力なんてちっぽけだし、たかが知れている。お互いの強みを持ち寄ることにより、できる範囲は確実に広がっていく。今年3月に退職を迎えるが、今まで培ってきたたくさんのつながりを今後どう活かしていくか、わくわくしながら考えている。

    (仙台市職員/鈴木由美)

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