インバスケットとは何か~自治体職員に必要な理由

鳥原 隆志

インバスケットとは何か~自治体職員に必要な理由 2

地方自治

2022.10.11

インバスケット研修とはなにか

さてこのインバスケットを使った研修とはどのようなものなのかをご説明しましょう。
まず対象者の中心は次期管理職や現職の管理職の方々です。
いわゆるマネジメント能力を育成する目的で活用されています。

研修の流れとしては、一日研修で行われることが多く、午前中にインバスケットの説明とインバスケット問題を実施します。
午後からはその回答をもとに、4名から5名ほどのグループになり優先順位の高い案件を選んだり、重要な案件の問題解決をグループで討議して発表します。
発表内容に対して講師からフィードバックを行ったり、チェック表に基づき抜け漏れがなかったかを確認します。
かなりワイワイガヤガヤ進む研修です。

 

 

従来の研修のように、受け身で講師の話を聞くというスタイルではなく、自らアウトプットして周りの方と異なるところを自ら気づくというアウトプット型の研修です。

 

インバスケット研修の効果

研修の狙いとしては大きく4つあります。
一つは仕事の進め方の改善です。
多くの方は今の自分自身の仕事の進め方は間違っていないと考えています。
しかし、インバスケットで同じ状況下に置かれた他のメンバーの進め方と比較して、例えば優先順位のつけ方の癖に気づいたり、仕事のメリハリのつけ方を工夫したりすることができます。
頑張りどころを少し変えるだけで仕事の結果が劇的に変わる方を多く見てきました。

二つ目は問題解決力の向上です。
今は不安定な状況が続く世界です。
従来の解決方法で解決できない問題が続々と生まれてきています。
このような未知の問題に遭遇しても、問題を解決できるように、問題発見の視点や
問題分析力、そして対策立案力や周りを巻き込む力などをインバスケットのケースで発揮するようにします。
多くの方が問題解決をするにあたり、そのプロセスに抜け漏れがあります。
他のメンバーと比較して自分の問題解決力を上げるために不足している部分を気づいていただきます。

足りないパズルのピースを見つけたかのように、今まで解決できなかった問題も解決できるようになります。


三つ目は部下活用や巻き込み力を上げます。
優秀な方ほどついつい自分自身で仕事を完結してしまいがちです。
しかし、リーダーの仕事は与えられた部下や組織をフルに活用して結果を出すことです。
インバスケットのケースでは、自分の意見を相手に明確に伝える方法や、個性のある部下に対してどのような指示の出し方をするべきなのか、伝える力も鍛えます。
これも私の経験上ですが、最近のリーダーの方は正しい判断はしていても伝え方が間違っている方が多くいらっしゃるように思えます。
伝え方の変化球をインバスケット研修で学んでいただきます。

最後に判断力を鍛えます。
最近まで判断は上層部がするべきものであり、現場の管理職は上層部が正確に判断できるように情報提供をするべきものと考えられていました。
しかし、今は違います。
より迅速にそして正確に判断をするのは現場であり、その判断の精度を限りなく上げなくてはなりません。

しかし判断とは能力ですので、トレーニングしないとできるものではありません。
有事の際にはじめて「判断が出来ない」ということに気づくことがよくあることです。
インバスケットでは限られた時間の中不安定な状況下での判断をしなければなりません。
しかも、他の案件との関連性や全体の流れを把握しないと判断できないように作られています。

多くの方が後で振り返ってみて、自身の判断スタイルに改善点があることに気づきます。
私はこのようなインバスケット研修という模擬体験の場で失敗することは有意義なことと思っています。

以前防衛省の幹部向け機関紙の連載を執筆していた関係で、航空自衛隊の教育担当の幹部の方とお話ししました。
航空自衛隊でも有事の際の模擬訓練を重視しており、模擬訓練の場で大事なのは「どこがうまくいかなかったのかを知ること」だとお話になっていました。
模擬訓練の場で失敗することで、本番での失敗を防ぐことが大事なわけです。
本番で失敗が許されないのは私たちの現場でも同じですね。

 


詳しくはこちらから

https://www.inbasket.co.jp/special/municipality/

 

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株式会社インバスケット研究所 代表取締役

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