行政大事典
【最新行政大事典】用語集―経営戦略(公営企業)とは
地方自治
2020.08.30
【最新行政大事典】用語集―経営戦略(公営企業)
はじめに
『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第8章 会計・財産」から、「経営戦略(公営企業)」を抜粋して、ご紹介したいと思います。
経営戦略
サービスの提供に必要な施設等の老朽化に伴う更新投資の増大、人口減少に伴う料金収入の減少等により、公営企業をめぐる経営環境は厳しさを増している状況にあることから、平成26年8月に総務省から、中長期的な経営の基本計画である経営戦略を策定した上で、同計画に基づき、徹底した経営健全化による経営基盤の強化と財政マネジメントの向上に取り組むよう要請された。特に、下水道事業と簡易水道事業においては、損益や資産の的確な把握のために地方公営企業法の適用による公営企業会計の導入が強く求められた。
経営戦略は、各公営企業が将来にわたって安定的に事業を継続していくための中長期的な基本計画となるものであり、経済・財政一体改革の集中改革期間である平成28年度から平成30年度までの間、集中的に策定を推進し、令和2年度までに策定率100%を目指すものとされている。
経営戦略の中心となる「投資・財政計画」は、「投資試算」をはじめとする支出と「財源試算」により示される収入が均衡したものとし、計画期間は基本10年以上とされている。また、組織効率化・人材育成や広域化、PPP/PFl等の効率化・経営健全化の取組についても必要な検討を行い、取組方針を策定することが求められている。
適切な経営戦略の策定には、公営企業が自らの事業の経営成績(損益情報)や財政状態(ストック情報)を基礎とした経営状況を的確に把握することが必要であることから、公営企業会計の適用の促進が求められていたところであるが、平成27年1月に、改めて総務省から公営企業会計の適用拡大が要請された。平成27年度から平成31年度までを公営企業会計適用の集中取組期間とし、中でも下水道事業と簡易水道事業を重点事業と位置付けて、期間内に公営企業会計へ移行することとされている。都道府県及び人口3万人以上の団体については、公共下水道、流域下水道、簡易水道事業の移行が必要とされ、人口3万人未満の団体と集落排水事業、特定地域生活排水事業についてはできる限り移行することとされた。
なお、平成26年度決算から「経営比較分析表」が策定、公表された。経営及び施設の状況(経営の健全性・効率性、老朽化の状況)を表す経営指標を活用し、当該団体の経年比較や他公営企業との比較、複数の指標を組み合わせた分析を行うもので、経営分析や経営戦略の策定を進める上で有益な情報を得られるほか、議会や住民に対する経営状況の説明に活用することが可能となる。
平成26年度決算では水道事業(上水道事業及び簡易水道事業)及び下水道事業のみであったが、経済・財政再生計画改革工程表(平成27年12月24日経済財政諮問会議決定)で、「経営比較分析表」の公表分野の拡大や指標の追加等内容の充実を図り、公営企業の「見える化」を強力に推進することとしている。
(株)ぎょうせいの「経営戦略策定支援」
総務省が通知した「経営戦略の策定・改定の更なる推進について」(平成31年3月29日付通知)に基づいて”経営戦略”を策定・改定する公営企業様を支援いたします。また、支援業務の一環としてシステムを活用し、策定支援及び進捗管理ができるようになります。(下水道事業向け。2021年春リリース予定)
●詳しくは、ぎょうせい・コーポレートサイト「経営戦略策定支援」をご覧ください。
https://gyosei.jp/business/system/management_strategy/
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