行政大事典

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【最新行政大事典】用語集―租税原則とは

NEW地方自治

2020.07.11

【最新行政大事典】用語集―租税原則

はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第6章 国税・地方税」から、「租税原則」を抜粋して、ご紹介したいと思います。

 租税原則ないし租税原理とは、課税はいかにあるべきか、理想的な租税とはどのようなものかなどについて、規定した原則である。それは、個々の租税、また全体としての租税の理想的な仕組みや、理想的な租税政策の依拠する基準を提供するものである。こうした基準に基づいて、諸種の租税政策が構想されると同時に、現行税制に対する批判が展開されてきた。租税原則といわゆる租税配分の原則とは、しばしば同義的に使用されているが、一般的には、税務行政上の原則なども考慮するものとして、前者は後者を包摂すると理解されている。

 この租税原則は、極めて歴史的なもので、その変遷の裏には、それぞれの歴史的背景が反映されている。

代表的なものとしては、

1 アダム・スミスの4大原則

:18世紀の市民革命期の租税思想を代表。

〔1〕公平の原則:税負担は、各人の能力に比例して、公平にするべき。

〔2〕明確の原則:租税は恣意的であってはならない。支払い時期、方法、金額が明確かつ平易にするべき。

〔3〕便宜の原則:納税者が支払うのに、もっとも便宜のよい時期と方法で徴収されるべき。

〔4〕最小徴税費の原則:国庫に帰する純収入額と、国民の納税額との差をなるべく少なくするべき。

2 アドルフ・ワグナーの4大原則・9原則

:19世紀末のドイツ財政学の代表。徴税当局の立場から、社会階級の対立する諸要請の調整を模索。

(1)財政政策上の原則:国家の財政収入を確保しなければならない。

 〔1〕課税の十分性:財政需要を満たすのに、十分な租税収入を確保。
 〔2〕課税の弾力性:財政需要の変化に応じ租税収入も弾力的に操作。

(2)国民経済上の原則:租税が国民経済の発展を阻害しないこと。

 〔1〕正しい税源の選択
 〔2〕正しい税種の選択

(3)公正の原則

 〔1〕課税の普遍性:租税の負担は普遍的に配分されるべき。
 特に特権階級の租税免除は廃止されるべき。
 〔2〕課税の公平:能力説に基づき、負担の公平図る累進税率を提唱。

(4)税務行政上の原則

 〔1〕課税の明確性
 〔2〕課税の便宜性
 〔3〕最小徴税費への努力

3 マスグレイブの7条件

:20世紀のアメリカを代表する租税原則

〔1〕課税の中立性:市場経済への干渉を最小にするような租税を選択。

〔2〕経済の安定と成長:マクロ的財政政策を容易に実行できる租税構造。

〔3〕公平:租税負担の配分は公平であるべき。

〔4〕十分性:租税収入を十分に確保すべき。

〔5〕明確性:公平かつ恣意的でない執行を行うべき。

〔6〕費用最小:他の目的と両立しうる限り、納税者にも、課税当局にとっても、費用をなるべく少なくすること。

〔7〕最終負担者への配慮:転嫁を繰り返した後の、租税の最終負担者への影響を考慮すべき。

が挙げられる。

 現在、一般的には、「租税原則として公平、中立、簡素の原則が基本原則として挙げられているが、成長の原則を加えるという意見もある」といわれている(「抜本的な税制改正に向けた基本的考え方」平成19年11月政府税制調査会)。

 なお、地方税原則としては、公平、中立、簡素の原則に加え、「安定性、普遍性、応益性、負担分任、地方自治の原則」等が挙げられている。即ち、景気の変動を受けにくい安定的な税があること、各自治体ごとに普遍的に、ある程度の税収が望める税があること、公共サービスから受ける程度に応じて税負担をすること、等がいわれている。

*『最新行政大事典』2019年7月より。(NPO法人 フォーラム自治研究 花輪宗命)
(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

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