連載 vol.34「つながる」力 「つながり」を成長のチャンスに 【宮田真奈美(石川県職員)】
地方自治
2022.04.11
本記事は、月刊『ガバナンス』2017年1月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
所属等は執筆(掲載)時点のものです。
※本コラムは主に自治体職員によるネットワークのメンバーがリレー形式で執筆します。
派遣職員として被災自治体へ
私は被災自治体への派遣職員として2014年4月から2年間、宮城県名取市役所に勤務した。被災した子ども達へのメンタルケアや生活再建支援を主に担当したが、本当に被災地の役に立てているのかと悩んだ時期があった。
そんなとき、神戸市から派遣されていた保健師に半ば強引に被災者支援の勉強会へと連れて行かれた。最初は、「この時間があるなら、仕事の資料を読んで勉強したい」と思っていた。しかし、その場で多くの人と話をすることで、悩んでいるのは自分一人ではないと気づくことができた。また、この勉強会を通じて「つながり」を持った人たちの力を借りることで、解決できた問題も多くあった。
この経験を機に、大切にしていることが二つある。一つめは可能な限り直接話すということ。メールや電話など会わなくても連絡を取り合うことはできるが、顔を見ながら会話することで相手の気持ちを理解でき、自分の思いも正確に伝えることができると思っている。二つめは頼まれたことは前向きにチャレンジするということ。相手が自分に頼むということは信頼してくれていることとイコールであると考えているからだ。
出会った時は小さな「つながり」だったとしても、この二つを繰り返すことで、「つながり」が少しずつ強くなり、新しいチャンスへとつながっていく。振り返ると、被災体験の朗読や児童支援についての講話、イベントの司会、防災学習本の原稿作成など、様々なことにチャレンジしてきた。準備に追われることは日常茶飯事で、緊張のあまり失敗したこともある。「本当に自分にできるのか」と悩みすぎて富士山まで登ってしまった。しかし、2年間の様々なチャレンジが、多くの人との「つながり」の場となり、私を成長させた。
2016年4月から石川県に戻り、県の若手職員で組織する自主活動グループ『ラボラトリー・カフカ』に属し、メンバーと一緒に「つながり」の場づくりを行っている。この新たな「つながり」を成長へのチャンスとして、これからも多くの人との出会いを楽しみながら取り組んでいきたい。
(石川県職員/宮田真奈美)