こちら「多賀城市」情報化本部 実証実験を経たRPAの本格的導入など、デジタルファースト環境構築に取り組む

地方自治

2021.09.27

この資料は、地方公共団体情報システム機構発行「月刊J-LIS」2021年8月号に掲載された記事を使用しております。
なお、使用に当たっては、地方公共団体情報システム機構の承諾のもと使用しております。

こちら「多賀城市」情報化本部
実証実験を経たRPAの本格的導入など、デジタルファースト環境構築に取り組む

東日本大震災による甚大な被害から復興を遂げ、「東北随一の文化交流拠点」をかかげたまちづくりを目指す宮城県多賀城市。昨年度ICT利活用方針を策定、副市長をCIOとしたICT推進本部で行政デジタル化に臨む。

(月刊「J-LIS」2021年8月号)

多賀城市の紹介

 多賀城市は宮城県の中央、太平洋岸に位置し、周辺には県庁所在地の仙台市や日本三景の松島などがあります。

 724年、奈良時代に、中央政府の東北経営の拠点として設置された「多賀城」は、陸奥国を治める国府としての役割に加え、東北の政治・軍事・文化の拠点として栄えた場所であり、日本三大史跡の一つである特別史跡多賀城跡など、多くの文化遺産が存在しています。

 2011年3月発災の東日本大震災では、市域の3分の1が浸水する壊滅的な被害を受けましたが、全国、全世界からのご支援に支えられ、2020年度までに、震災復興計画に掲げた復興事業を推進し、復興を成し遂げました。

 2021年度からは、「日々のよろこびふくらむまち 史都 多賀城」を将来都市像に掲げる新たな総合計画がスタートしており、官民連携のもと整備し、来訪者が年間130万人を超える市立図書館などを核として、「東北随一の文化交流拠点」の形成に取り組んでいます。また、2024年に迎える多賀城創建1300年を節目として、市民や企業などとともに、人々の交流や絆を深めるまちづくりを進め、将来都市像の実現に向け歩んでいます。なお、2021年7月1日時点でのマイナンバーカード交付率は36.6%で、県内で4番目です。

ICT利活用方針と積極的推進のためのICT推進室の設置

 少子高齢化に伴う人口減少社会を迎え、職員数の確保が難しくなる中で、企画立案や窓口対応などの業務に注力し、住民サービスを持続させるため、スマート自治体への転換が求められています。また、新型コロナウイルス感染症の影響により顕在化した課題解決に向け、行政のデジタル化が一層加速される見通しです。

 多賀城市は、ICT利活用が今後の行政経営に大きく関わる喫緊の課題と捉え、2019年8月に専門部会を設置し、実証実験などを通して、利活用方針と対策案を検討しました。その結果、スマート自治体への転換を基本理念とし、住民などの利便性向上、地域課題の解決、行政運営の効率化・高度化などを基本とした「多賀城市ICT利活用方針」を2021年1月に策定しました。併せて全庁で情報化を戦略的に推進するため、市長を本部長、副市長を最高情報責任者(CIO)としたICT推進本部を設置したところです。

 また、2021年4月には、企画・経営部門の市長公室にICT推進室を設置し、全庁で当該方針を効果的に推進する体制を強化するとともに、推進本部の事務局も担当しています。

 現在、正規職員5名と会計年度任用職員1名の6名体制で、ICT利活用の推進、庁内ネットワークなどの管理、総合行政情報システムの運用管理、情報セキュリティ管理などを担っています。

ICT利活用に向けた取り組み

 業務効率化の取り組みとして、2019年度からロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の導入に向け、実証実験を含めて検討した結果、効果が検証されたため、2021年度からソフトウェアを利用して、RPAの導入を本格的に進めています。

 また、デジタルファースト環境構築の取り組みとして、各種手続きにおけるWebフォームの導入を本格的に進めています。住民や職員などがフォームに入力し、申請書への手書きを省略することや申請情報をデジタル化することで、RPA導入に向けた環境構築を行っています。

 さらに、国で推進するシステム標準化を踏まえ、文書管理、財務会計などの内部情報系業務のシステム標準化に取り組んでいます。この取り組みは、業務の見直し(BPR)と調達仕様書の作成が重要であるため、関連部署と綿密に連携し、業務プロセスの改善を徹底しながら進めています。なお、住民情報系業務は、国の標準化に合わせて、2022年度から移行作業を進める予定で、同様に全庁的なBPRを推進しながら進める方針です。

今後の目標と課題

 多賀城市では、2021年度から庁舎の耐震対策工事に着手し、今後サーバ室の移転やネットワーク構成の見直し、全庁的な引越し作業を行うことになります。ICT利活用の推進と並行して、業務の効率化とネットワークの安定化に向けて、サーバ室の移転などに関する様々な調整を進めているところです。

 ICT利活用を入口に全庁的なBPRを行うとなると、各課での業務負担が生じると見込まれますが、その先には住民サービスの向上や職員の快適な業務遂行につながるととらえ、明るい未来を多くの職員と共有し、そのために「今、最善を尽くす」という雰囲気を醸成することが、ICT推進室の大きな課題と考えています。

 職員の改善の気持ちを大事にし、「できる」や「負担が減る」をいかに実感できるかを調整すること。これが最大のミッションであり、そのために日々全力疾走中です。

 急速にデジタル化が進展する中、ICTは住民サービスの向上や業務の効率化の基盤となる部分であり、スマート自治体への転換を進めることが、持続的な行政経営の実現に繋がっていくことから、ICT利活用を一層推進できるよう、様々な取り組みを積極的に展開していきたいと考えています。

地域情報及び行政情報(2021年7月1日現在)

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