JIS法改正(産業標準化法)――「日本工業規格」は、「日本産業規格」に
自治体法務
2019.06.25
1.工業標準化法の一部改正
平成30年第196回通常国会において、「不正競争防止法等の一部を改正する法律」(法律第33号)が可決成立し、工業標準化法が一部改正され、“産業標準化法”に変わり、日本工業規格(JIS)が日本産業規格(JIS)に変わります。一部改正の施行は、令和元年7月1日です。
身近なところで用紙の大きさを表すA4は、「日本工業規格A列4番」から「日本産業規格A列4番」となります。
2. 背景・目的
第四次産業革命の下、IoTやAIなどの情報技術の革新が進み、企業の競争力は、データやその活用に移り変わってきています。こうした中、ビッグデータ等と産業とのつながりにより新たな付加価値が創出される産業社会(コネクテッド・インダストリーズ)への対応が、我が国産業の喫緊の課題となっています。
また、近年では、モノだけではなく、マネジメント分野、サービス分野等の規格が制定されるようになったほか、第4次産業革命の中で自動走行、スマートマニュファクチャリングなど業種を越えた国際標準化が進みつつあり、標準化の対象やプロセスにも変化が現れています。
様々な環境変化に対応するため、日本における標準化活動の基盤となっている工業標準化法について、①データ、サービス等への対象拡大、②JISの制定・改正の迅速化、③JISマークによる企業間取引の信頼性確保、④官民の国際標準化活動の促進を図る改正を行います。
3.改正のポイント
①JISの対象拡大・名称変更
標準化の対象にデータ、サービス、経営管理等を追加し、「日本工業規格(JIS)」 を「日本産業規格(JIS)」に、法律名を「産業標準化法」に改めます。
【施行日】2019年7月1日
②JIS制定の民間主導による迅速化
JIS制定手続きについて、専門知識等を有する民間機関を認定し、その機関が作成したJIS案について、審議会の審議を経ずに制定するスキームを追加します。
【施行日】2019年7月1日
③罰則の強化
国内素材メーカーの一連の品質データ不正事案の中で、JISマーク認証取消しが発生したことを踏まえ、JISマークを用いた企業間取引の信頼性確保のため、認証を受けずにJISマークの表示を行った法人等に対する罰金刑の上限を1億円に引き上げます(現行は自然人と同額の上限100万円)。
【施行日】2019年7月1日
④国際標準化の促進
法目的に国際標準化の促進を追加するとともに、産業標準化及び国際標準化に関する、国、国研・大学、事業者等の努力義務規定を設けます。
【施行日】2019年7月1日
4.市町村例規、各種規程、各種書式への影響
①題名変更に関して
規程や書式の中で「工業標準化法」を引用している箇所は、「産業標準化法」に変更します。
②用語の変更に関して
規定や書式の中の用語に対し、「工業標準」を「産業標準」と、「工業標準化」を「産業標準化」と、「日本工業規格 」を「日本産業規格 」と、「日本工業標準調査会」を「日本産業標準調査会」と変更することが考えられます。
③条項の移動に関して
今回の改正で法律の条項が移動しています。改正後の産業標準化法を引用する場合は条項の移動を考慮します。