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【最新行政大事典】用語集―地方税体系とは

地方自治

2020.07.18

【最新行政大事典】用語集―地方税体系

はじめに

 『WEB LINK 最新行政大事典 全4巻セット』(ぎょうせい)は膨大な行政用語の中から、とくにマスコミ等で頻繁に使用されるものや、新たに登場したテーマ、法令などから選りすぐった約3,000の重要語句を収録。現場に精通した執筆陣がこれらの行政用語を簡潔にわかりやすく解説します。ここでは、「第1巻 第6章 国税・地方税」から、「地方税体系」を抜粋して、ご紹介したいと思います。

地方税体系

 地方税は、地方団体がその地域内の税源から直接に賦課徴収するものをいうものであり、課税団体の種類からみて道府県税と市町村税とに分かれ、またその使途からみて普通税と目的税とに区別される。普通税とは、その税収入がなんら使途を制限されることなく、地方団体が自由に使用できるものであり、目的税とは、その税収入が特定の目的のために使用されなければならないものとされている税である。地方税法で税目その他を規定しているものを法定税と呼び、地方団体が総務大臣の同意を得て独自に設けることができるものを法定外普通税あるいは法定外目的税という。

現行(平成25年度)の地方税は以下のとおりである。

<地方税の体系(別表)>

道府県税
 普通税
   道府県民税 
   事業税
   地方消費税
   不動産取得税
   道府県たばこ税法定外普通税
   ゴルフ場利用税
   自動車取得税
   軽油引取税
   自動車税
   鉱区税
   固定資産税(特例分)
   法定外普通税
 目的税
   狩猟税
   水利地益税
   法定外目的税

市町村税
 普通税
   市町村民税
   固定資産税
   軽自動車税法定外普通税
   市町村たばこ税
   鉱産税
   特別土地保有税
   法定外普通税
 目的税
   入湯税事業所税都市計画税
   国民健康保険税
   共同施設税
   宅地開発税
   水利地益税
   法定外目的税

(注)特別土地保有税は土地政策の一環として、昭和48年から施行されたものであり、政策税制の一種である。平成15年度税制改正により課税停止措置がとられている。

 地方税のあり方については、地方財政審議会が平成24年10月22日、「今後の目指すべき地方税制の方向と平成25年度の地方税制改正等への対応についての意見」を発表した。

この中で、「今後目指すべき地方税制の方向」として

(1) 地方税のあるべき姿

(2) 社会保障・税一体改革の着実な推進

(3) 地方税のグリーン化

をあげ、

 (1)の地方税のあるべき姿では「地方税はまず、住民が求める行政サービスを賄うのに十分な量を確保することが求められる。租税は公平でなければならないが、地域住民や地域社会で活動する者が相互に負担しあうという会費的性格をもつ地方税は、応益課税の考え方が求められる。地域主権の観点からは、地方税制の自主性・自立性を高めていく必要がある。景気変動に左右されない安定性や税源が一部地域に偏らない普遍性も備えていなければならない。」という地方税の原則に立って、

〔1〕今後増大する地方の財政需要を賄うための地方税の充実

〔2〕分ち合いとしての地方税制の公平性の確保

〔3〕地域主権の観点からの地方の自主性・自立性の強化

〔4〕偏在性が小さく安定的な地方税体系の構築

を提言している。

 (2)の社会保障・税一体改革の着実な推進では、社会保障給付に必要な安定財源を確保していかなければならないが、税制の抜本改革を進めていく上では、同時に、地域主権改革を推進するための税制の構築が必要である。地方が自由に使える財源を拡充するという観点から国と地方の税源のあり方を見直していくべきである。地方の減収につながる見直しは可能な限り行わないこととすべきである。また地方法人特別税及び地方法人特別譲与税については、地方消費税率の引き上げを目処に見直すこととしている。

 (3)の地方税のグリーン化では地球温暖化はグローバルな課題だが、その対策はまずローカルで考えなければならない。

 森林環境税や産業廃棄物税などの法定外税の導入も広がっているが、同時にCO2の排出抑制にむけて、地方税体系全体を、環境への負荷に応じた課税の割合を高める形に改めていかなければならい。地方税のグリーン化である。これは汚染者負担に原則に沿うものであり、環境の保全を図るために、地方自治体が提供する行政サービスからの受益に応じた税負担を求めるという意味で、応益課税の原則にとも整合的である。
との意見を述べている。

 平成25年11月22日発表の「平成26年度地方税制改正等に関する意見」でも、上述の前年の意見書とほぼ同様の内容となっている。各論として、消費税率の引上げによる地方の財政力格差拡大に伴う偏在性の是正等の観点からの地方法人税課税のあり方、さらに車体課税のあり方等々について対応すべきとされている。

 今後地方税体系について更に議論が重ねられていくものと思われる。

*『最新行政大事典』2018年11月より。(NPO法人 フォーラム自治研究 花輪宗命)
(有償版は本文に加え、法令へのリンク機能があります)

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