
議会局「軍師」論のススメ
自治体議会の存在感は高まったのか?|議会局「軍師」論のススメ 第119回
NEW地方自治
2026.09.10
この記事は3分くらいで読めます。
出典書籍:『月刊ガバナンス』2026年2月号
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本記事は、『月刊ガバナンス』2026年2月号に掲載されたものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、現在の状況とは異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。
昨年末、人手不足で市町村が担いきれない業務を都道府県が担うなど、地方分権改革を方針転換する議論が地方制度調査会(以下「地制調」)で始まるとの報道があった(注1)。地方分権推進法成立後、約30年の時を経て、分権改革は後退が予見されるが、果たして議会改革は進展したのか?
注1 「朝日新聞」2025年12月28日
ここでは国から見た自治体議会の存在感の観点から、あらためて考えてみたい。
■自治体議会の存在感の現実
議会改革の本質的な目的は住民福祉の増進であるが、まずは認知度自体が低い議会の存在感を高めようとすることが、はじめの一歩であろう。しかし、自治体議会の存在感が外部で高まったかというと、残念ながら道半ばではないか。我が国の地方自治制度では、議事機関と執行機関はともに住民の代表であることから、両者は独立、対等の関係にある。だが、現実には執行機関と対等の存在感を示す議会が、どれだけあるだろうか。
国が、自治体における議会をどのように捉えているかについては、自治体議会を所掌する総務省の担当課名がいまだに「行政課」であるところに象徴されているように思える。議会は行政機関ではないにもかかわらず、「行政課」で議会を所掌することは、名は体を表すとの観点から違和感を覚える。議会と首長の関係を相互の抑制と均衡の観点から捉えれば、「機関対立主義」と表現すべきところ、広く「首長主義」と表現されてきた行政中心の感覚とも相通ずるのである。
県においても、過去には市町村との窓口所属を「地方振興課」などと、国の出先機関と誤解させるような命名をしている例も珍しくなかった。最近ではさすがに「市町村振興課」などに改称されているが、国には問題意識はないようで、実務にも議会への意識が反映されている。
それは「行政課」が事務局を務める地制調の答申内容からもうかがえる。地制調の答申は、地方自治法改正のプロセスに事実上組み込まれており、法改正につながる答申にならないと会長の立場がないとの意識が総務官僚には強いようだ。それは、地制調への諮問事項に「あまり法律の改正事項がなさそうだとなると、結局法改正事項が何かないとまずいと考えて、困ったときの監査や議会という、典型的なパターンの答申」と元総務官僚が第31次地制調答申を評しているところからもうかがえる(注2)。
注2 山﨑重孝「平成の地方制度改正をひもとく(第35回)」(『地方自治』第936号99頁から100頁)
残念ながらここでも議会制度は、行政における制度改正事項がないときに議論される優先順位が低い分野の話と認識され、自治体議会の存在感の薄さが浮き彫りになっている。
■真の二元的代表制であるために
議会として第31次地制調答申で注目すべきは、必置であった「議選の監査委員を選択制とすることについては議会側3団体の拒否権発動がなく、答申に盛り込まれることとなった」(注3)ことであるが、それとても公式の議論では学識経験委員の大半が制度廃止の意見を表明していたのであるから、政治的妥協の産物でしかないのだろう。
注3 堀内匠「第31次地方制度調査会答申を読む」(『自治総研』第451号70頁)
しかし自治体議会としては、そのような扱いを受ける存在で甘んじているべきではない。そのためにも、法に照らして疑義のある議会制度を抽出し、法的に何が正しいのかを冷静に議論して、自ら本来あるべき制度への改正を提言していくことが求められるのではないだろうか。
第120回 全ての議会 (事務)局職員が 「軍師」 に! は2026年10月15日(木)公開予定です。
著者プロフィール
早稲田大学デモクラシー創造研究所招聘研究員
議会事務局研究会 共同代表
元大津市議会局長
清水 克士 しみず・かつし
1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長、局長などを歴任し、2023年3月に定年退職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。
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