
政策トレンドをよむ
特定技能人材における新興9か国の送出しポテンシャルと分野別動向|政策トレンドをよむ 第37回
NEW地方自治
2026.05.12
目次
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出典書籍:『月刊 地方財務』2026年4月号
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【政策トレンドをよむ 第37回】
特定技能人材における新興9か国の送出しポテンシャルと分野別動向
EY新日本有限責任監査法人 FAAS事業部
シニアコンサルタント
岡本 祥平
※2026年3月時点の内容です。
日本国内における外国人労働者数は2025年10月末時点には約257万人と過去最多を更新した。日本国内の人手不足が深刻化する中、国内人材の確保が困難な産業分野での受入れを目的に創設された在留資格「特定技能」は、今後も受入拡大が見込まれる。特定技能外国人が居住する自治体の割合も年々上昇しており、受入れの裾野は全国へ広がりつつある。
これまで、特定技能外国人や技能実習生等の受入れは、主にベトナム、インドネシア、フィリピン、中国、タイなどの国々から行われてきた。しかし、世界的な人材獲得競争が厳しさを増す中で、今後も持続可能な形で適切に外国人材を確保していくためには、特定の国に依存するリスクも踏まえ、これまでの受入実績が相対的に少ない国々についても、制度運用や送出しの実態、課題を把握し、送出し国の選択肢を広げていくことが求められる。
そのため、本稿では、今後の受入拡大が見込まれる新興9か国(ミャンマー、カンボジア、モンゴル、ネパール、スリランカ、ラオス、バングラデシュ、インド、ウズベキスタン)を取り上げ、各国の送出しポテンシャルや受入拡大が見込まれる分野、受入拡大に向けた課題等を概略的に整理する。
まず、総人口は多いほど、かつ、1人当たりGDPは低いほど、送出し人数のポテンシャルが高いと仮定し、各国の総人口と1人当たりGDPをプロットすることで、各国の位置づけを整理したものが次の相関図である。
図 送出し国の人口と1人当たりGDPの相関図

出典:Oxford Economics、出入国在留管理庁「国籍・地域別 在留資格別 在留外国人数」より筆者作成
受入分野の傾向は各国ごとに異なる。特定技能1号在留外国人数については、カンボジアを除く8か国において介護分野が上位に来ているほか、外食分野はインドとモンゴル以外の7か国で上位にある。農業については、カンボジアやラオスで多い。建設業については、カンボジアやバングラデシュ、ミャンマー、モンゴルで受入れが進んでいる傾向にある。飲食料品製造業については、カンボジア、ミャンマー、ラオスで受入れが進んでいる傾向にある。自動車整備・運送業については、インド・ネパール等で専門人材の育成・確保ができている状況が確認でき、両国からの今後の受入拡大が期待される。
今後の受入拡大に向けた課題は、新興9か国の1人当たりGDPが上昇する一方、日本の給与水準が相対的に低下する中で、賃金差だけでは日本が就労先として選ばれにくくなる点にある。また、国ごとに主要な受入分野や人材の育成状況、在日外国人の人数には差異がみられる。今後の受入れを拡大するためには、こうした国別の動向・特徴を踏まえて、日本で「働く」魅力と「暮らす」魅力を一体的に高めつつ、それらを効果的に発信していくことが求められる。自治体においては、国の施策や企業の取り組みを前提としつつ、地域の強みを活かした施策を講じる必要がある。
まず、「働く」魅力の向上に向けた取り組みである。自治体には、地域内の企業、教育機関、支援機関等をつなぎ、外国人材が地域でどのようなスキル向上やキャリア形成を図れるのかを地域単位で可視化する役割が求められる。あわせて、そうした仕組みを活用して地域で活躍している外国人材をロールモデルとして発信し、その地域で働き続ける将来像を具体的に示すことが重要である。
次に、「暮らす」魅力の向上に向けた取り組みである。外国人材とその家族に対して、日本語教育、就学、子育て、地域参加など、ライフステージの変化に応じた支援を、地域の実情に即して行っていくことが求められる。さらに、自然環境・文化資源など地域固有の強みを可視化し、多言語で発信することで、その地域で暮らす価値をさまざまな外国人材に対して明確に示すことが重要である。
〔参考文献〕
・総務省(令和2年9月)「地域における多文化共生推進プラン(改訂)」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001395635.pdf
・厚生労働省(令和7年11月)「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html
・内閣官房(令和7年2月)「令和6年度地方公共団体の地方創生に資する外国人材の受入支援・共生支援に係る施策の推進等に関する調査報告書」
https://www.chisou.go.jp/sousei/about/gaikokujinzai/pdf/r6_gaikokujinzai_report.pdf
#6:外国人材の受入れ・共生・活躍促進支援
https://www.ey.com/ja_jp/industries/government-public-sector/immigration-policy
#8:地域の人材確保・育成に向けた戦略策定・実行支援
https://www.ey.com/ja_jp/industries/government-public-sector/secure-and-develop-regional-human-resources
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