保育者のリアルなお悩み、弁護士が解決します!

吉永公平

保育者のリアルなお悩み、弁護士が解決します! 第1回 保育園にも法律トラブルはある

ぎょうせいの本

2022.05.11

連載 保育者のリアルなお悩み、弁護士が解決します!

弁護士・春日井市総務部参事
吉永公平

第1回 保育園にも法律トラブルはある

保育園に法律トラブルはあるの?

 学校の法律トラブルは、「スクールロイヤー」(学校の法律問題を扱う弁護士)等の言葉が広まったように、社会的にも注目されつつあります。一方、保育園はどうでしょうか。筆者は「ナーサリースクールロイヤー」(保育園の法律問題を扱う弁護士)という言葉を耳にしたことはありません。

 しかし、弁護士兼市役所職員としての筆者の経験上、「人がいるところに法律トラブルあり」、「組織あるところに法律トラブルはたくさんあり」と感じています。このことは保育園にも当てはまります。保育園にも実は法律トラブルがたくさん生じているものの、法律トラブルとして捉えられていないことが少なくありません。

 そこで、本連載では、保育園に関する法律トラブルにつき、押さえておきたいポイントを解説していきます。保育士のみならず、公立園の保育課職員や私立園の本部職員等、保育園に関わる全ての方に知っておいていただきたい内容です。

法律が関係する場面

 普段の保育園での職務において、「ここは法律が関係するな」と実感する場面は少ないかもしれません。そこで、「保育園でもこんなところで法律が関係する」という場面を図でお示しします。左側の園児・保護者は「保育園と常に接する人」との場面、右側の近隣・行政機関・第三者は「保育園と常には接しない人」との場面です。

○園児との関係(①日常的な関わり・②事故)
①プロの保育者である保育士のみなさんには、日常的な園児との関わりにおいて、保護者以上に「園児の人権に配慮した保育」が求められます。 ②保育園には園児に対し、保育園での生活において事故を起こさないようにする「安全配慮義務」があります。事故の事後対応も重要です。

○保護者との関係(③トラブル・④対応方法・⑤個人情報)
③送迎や代金の未払い等、事故以外でも保護者とのトラブルの原因はあります。 ④保護者からの要望やクレームを受けた場合への対応方法は、保育園としても身に付けておきたいところです。 ⑤園児や保護者の個人情報の取扱いには、保護者の同意が必要な場合もあります。

○近隣との関係(③トラブル・④対応方法)
③騒音や保育園の敷地内の管理等、近隣の方とトラブルになることもあります。 ④近隣の方からの要望やクレームへの対応方法も、保護者への対応方法との異同を踏まえて理解しておく必要があります。

○行政機関との関係(⑤個人情報)
⑤児童相談所や警察等への情報提供も、園児の福祉のためには必要な場合があります。筆者も要保護児童対策地域協議会に参加しており、園児の個人情報に触れることがあります。

○第三者との関係(⑥危機管理)
⑥第三者が園児に危害を加えないように、保育園は危機管理に気を付けなければなりません。

○保育園の内部関係(⑦職場)
⑦どの職場でも、各種ハラスメント等にはよくよく気を付けましょう。心身ともに健康であってこそ、いい仕事ができ、園児のためにもなるはずです。

 筆者の著書『ズバッと解決!保育者のリアルなお悩み200 園児の呼び方から送迎トラブル、園内事故まで』では、①~⑦に加えて、⑧新型コロナウイルス関係と⑨その他をテーマとして取り上げています。

次回以降は、①~⑨につき、具体的に解説していきます。

[著者プロフィール]

吉永公平(よしなが・こうへい)
名古屋大学法学部卒業、名古屋大学法科大学院修了後、2012 年弁護士登録。法律事務所にて勤務した後、2014 年春日井市入庁。現在、総務部参事。職員からの法律相談や職員研修、庁内報の発行、要保護児童対策地域協議会(実務者会議)への参加等を主な業務としている。兼業として、中京大学総合政策学部(地方自治法)・名古屋学院大学法学部(情報法)・名古屋大学法学部(法曹養成演習Ⅳ実務)非常勤講師や、他の自治体や劇場での研修講師も務める。愛知県弁護士会行政連携センター運営委員会委員。1児の父として約3か月の育児休業を取得。

書籍案内

『ズバッと解決! 保育者のリアルなお悩み200 園児の呼び方から送迎トラブル、園内事故まで』
吉永公平/著
(発行年月: 2022年4月/販売価格: 2,310 円(税込み))

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吉永公平(よしなが・こうへい) 名古屋大学法学部卒業、名古屋大学法科大学院修了後、2012 年弁護士登録。法律事務所にて勤務した後、2014 年春日井市入庁。現在、総務部参事。職員からの法律相談や職員研修、庁内報の発行、要保護児童対策地域協議会(実務者会議)への参加等を主な業務としている。兼業として、中京大学総合政策学部(地方自治法)・名古屋学院大学法学部(情報法)・名古屋大学法学部(法曹養成演習Ⅳ実務)非常勤講師や、他の自治体や劇場での研修講師も務める。愛知県弁護士会行政連携センター運営委員会委員。1児の父として約3か月の育児休業を取得。

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