最新法律ウオッチング

月刊「地方財務」

最新法律ウオッチング―重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(2021年6月23日公布)

自治体法務

2022.02.28

※2021年12月時点の内容です
最新法律ウオッチング 第115回 重要土地等調査法
(『月刊 地方財務』2022年1月号)

 2021年の通常国会において重要土地等調査法が成立した。

 近年、我が国を取り巻く安全保障をめぐる環境が不確実性を増している状況にあり、我が国の安全保障等に寄与する観点から、防衛関係施設等の周辺や国境離島とその周辺の有人離島の区域内にある土地等の利用状況を調査し、この土地等がこれらの機能を阻害する行為の用に供されることを防止する必要があると指摘されている。

 政府は、こうした状況を踏まえ、法案を国会に提出し、成立した。

重要土地等調査法

●基本方針

 防衛関係施設、海上保安庁の施設、生活関連施設(国民生活に関連を有する施設であって、その機能を阻害する行為が行われた場合に国民の生命、身体、財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められるもので政令で定めるもの)を「重要施設」と定義した。

 その上で、政府は、重要施設の施設機能や国境離島等の離島機能を阻害する土地や建物の利用の防止に関する基本方針を定めることとした。

●注視区域

 内閣総理大臣は、重要施設の敷地の周囲おおむね1000メートルの区域内や国境離島等の区域内の区域で、その区域内にある土地等が当該重要施設の施設機能や当該国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供されることを特に防止する必要があるものを、注視区域として指定することができることとした。指定に当たっては、内閣府に設置される土地等利用状況審議会の意見を聴くこととした。

 その上で、内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用の状況についての調査を行うものとした。この調査のために必要がある場合には、関係行政機関の長や関係地方公共団体の長その他の執行機関に対して、関係者に関する氏名、住所等の情報の提供を求めることができ、その結果、調査のためなお必要があると認めるときは、関係者に対し、当該土地等の利用に関し報告や資料の提出を求めることができることとし、その拒否等についての罰則を設けた。

 また、内閣総理大臣は、注視区域内にある土地等の利用者が当該土地等を重要施設の施設機能や国境離島等の離島機能を阻害する行為の用に供し、又は供する明らかなおそれがあると認めるときは、土地等利用状況審議会の意見を聴いて、当該土地等の利用者に対し、当該土地等を当該行為の用に供しないことその他必要な措置をとるべき旨の勧告ができることとした。勧告を受けた者が、正当な理由がなく、勧告に係る措置をとらなかったときは、当該者に対し、当該措置をとるべきことの命令ができることとし、命令違反についての罰則を設けた。

 さらに、国は、注視区域内にある土地等について、その所有者から勧告や命令に係る措置によって土地等の利用に著しい支障を来すこととなることにより当該土地等に関する権利を買い入れるべき旨の申出があった場合には、特別の事情がない限り、これを買い入れるものとした。

●特別注視区域

 内閣総理大臣は、注視区域に係る重要施設や国境離島等について、その機能が特に重要であり、又はその機能を阻害することが容易であって、他の重要施設や国境離島等による代替が困難である場合には、当該注視区域を、特別注視区域として指定することができることとした。指定に当たっては、土地等利用状況審議会の意見を聴くこととした。

 その上で、特別注視区域内にある一定面積以上の土地等について、所有権等の移転等をする契約を締結する場合には、原則として、その当事者があらかじめ内閣総理大臣に届け出なければならないこととし、これをしない場合についての罰則を設けた。

●施行期日

 この法律は、一部を除き、公布の日(2021年6月23日)から1年3か月以内に施行される。

国会論議

 国会では、勧告や命令の対象となる機能阻害行為の概念が曖昧ではないかとの質問があり、政府からは、例えば、重要施設の機能に支障を来す構造物の設置、領海基線の根拠となる低潮線に影響を及ぼすおそれがあるその近傍の土地の形質変更などが該当し得るが、安全保障をめぐる内外情勢や施設の特性等に応じて様々な態様が想定され、特定の行為を普遍的、代表的な機能阻害行為として法律に例示することは適当ではなく、基本方針において、可能な限り具体的に機能阻害行為の例示を示したいとの説明がされた。

 また、防衛関係施設の候補リストを開示すべきとの質問があり、政府からは、自衛隊の各施設の役割とその重要性の評価をうかがい知る手掛かりとなるため、安全保障上、開示は適切でなく、具体的な区域指定については、法施行後に判断したいとの説明がされた。

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