議会局「軍師」論のススメ

清水 克士

議会局「軍師」論のススメ 第40回 「本会議」のどこが「会議」なのか?

NEW自治体法務

2020.12.24

議会局「軍師」論のススメ
第40回 「本会議」のどこが「会議」なのか? 清水 克士
月刊「ガバナンス」2019年7月号

 大津市議会では、議員任期4年間の実行計画「ミッションロードマップ」を策定している。これは議会の政策立案と議会活動評価のサイクルを制度化したものである。

 任期最終年度には、議会活動全般についての外部評価を、連携協定を締結している3大学の大津市民でもある研究者に依頼した。その中で真山達志・同志社大学教授からは、「議会だより」のあり方についての指摘を受けた。

 今号では「議会だより」のあり方と、そこから気づいた「本会議」の本質についても考えてみたい。

■市民に伝えるべきものは何か

 真山教授は、「市民は個々の議員が本会議や委員会でどのような質問をしたかに関心があるわけではない。議員毎の議会活動については、それぞれの議員が政務活動費を使って広報すれば足りることである。

 議会としてどのようなイシューが取り上げられ、何が問題となっているのか、問題がどこまで解決したのか、今後の課題が何かを分かりやすく伝えることが必要であろう。

 議会は会派に分かれている機関であるから、一つの見解を表明することは難しいのは言うまでもない。したがって、現状についての客観的事実と論点整理が中心にならざるをえないが、それであっても、質問と答弁を中心とした『議会だより』よりは意味がある」と市民視点からの指摘をしている。

 そして政務活動費で会派広報紙も発行している議会では、公費の二重支出と言われかねない側面も看過できない。議会費で発行される「議会だより」のほか、政務活動費で発行される会派広報紙においても、多くの場合、一般質問等の質疑応答が中心となっているからだ。

 内部的には支出根拠や発行趣旨が異なり批判には当たらないと言えるのだろうが、市民視点からは同一の質疑応答を重複してまで伝える必然性について、納得感を得るのは難しいであろう。

■「本会議」のあるべき姿とは

 「議会だより」における質疑応答の取り扱いからは、「本会議」についての気づきもあった。

 多くの議会では、一般質問が議会の中心的議事日程となっている。だが、一般質問は議会が行わなければならない法的根拠はなく、各議会の会議規則(大津市議会では会議条例)で定めて行っているに過ぎない。

 それは、法の意思として議会の任務は合議制の議決機関としての活動であり、議員個人の活動はあくまで監視機能を補完するオプションと解されるからではないか。

 「本会議」の用語の意味からも、それは推察される。一般質問は「本会議」で行われるが、議員が質問し執行機関側が答弁するという一方通行的スタイルが、社会通念上の「会議」に相当するものだろうか。反論権不要論の中には、「本会議は議論する場ではない」というものさえあるが、「会議」の意味は「何かを決めるため集まって話し合うこと」(広辞苑)である。

 本来、法が予定する「本会議」とは、議案に対する執行機関との議論や議員間討議であって、一方通行的な「質問」の場ではないのではないだろうか。

 いずれにしても、議会は議論する言論の府であり、個人的な議員活動よりも機関としての議論、「会議」する機会の充実に注力すべきであり、新時代の議会では、「本会議」でこそ「会議」を実現すべきと思う。

*文中、意見にわたる部分は私見である。

 

Profile
大津市議会局長・早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員
清水 克士
しみず・かつし 1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長などを経て2020年4月から現職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。

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しみず・かつし 1963年生まれ。同志社大学法学部卒業後、85年大津市役所入庁。企業局総務課総務係長、産業政策課副参事、議会総務課長、次長などを経て2020年4月から現職。著書に『議会事務局のシゴト』(ぎょうせい)。

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