会議の技術 第2回 会議の目的・目標を共有する

NEWキャリア

2019.07.22

こうすればうまくいく!会議の技術
事前準備からファシリテーションまで

(月刊『ガバナンス』2009年5月号)

第2回 会議の目的・目標を共有する

 田中君は、取り急ぎ仕事を片づけ午後の会議に出席した。会議が始まって、しばらく議長と出席者の間で話し合いが続いた。しかし、田中君は、どうもこの会議の趣旨がよくわかっていない。

 そこで、隣の職員に、「何のために会議に集まったんですか?」と尋ねたところ、「さあ、何のためでしょうね…」と返事が返ってきた。仕方なく、「話し合って、どうするんでしょうか?」と重ねて尋ねても、「さあ、どうなんでしょうね…」と同じような答えが返ってきた。しばらくして、田中君は眠たくなってきてしまった。

 

会議の目的を共有する

社内会議の冒頭シーン

 係長から「今日の午後1時に、全員、集まれ」と会議の招集がかかった。職員が会議室に集まると、係長が「ところで、この道路整備計画だが…」と言って書類をテーブルの上に置いた。そして、ページをめくりながら話し始めた。

 その間、会議の出席者はじっと係長の話を聞いている。何やら道路整備計画について話をしているようだ。着工時期のこと、予算のこと、発注のことなど、しばらく係長の話が続いている。

 しかし、係長が何を言いたいのかわからない。それに、「会議だ」と言われて集まったものの、この場で自分はどうすればいいのだろう。単に聞いていればいいのか、それとも何かひと言でも意見を言った方がいいのか。

 出席者は、「何のために集まったのかわからない」といった様子で怪訝な表情をしている。思い切って、「ところで、係長、この会議の目的は何でしょうか?」と尋ねた。そうすると、逆に、係長がいぶかしげな表情を浮かべ、「えっ、そっ、それはだね。このたび道路整備計画の素案ができてきてね…、あのう、この整備区域について…」と、しどろもどろ状態になった。

 よくよく聞いてみると、係長は道路整備計画について、各担当地区において何か不都合が発生するかどうか、発生する場合はどう対処するかについて、議論をしたかったようだ。出席者全員が会議の目的を理解したときは、すでに会議終了まで余すところ10分になっていた。これでは、まともに議論することもできず、係長の話を聞いたところで会議は終了となってしまった。

 もし、係長が会議の冒頭で、「今日の会議の目的は、道路整備区域で発生する問題について話し合うこと」と述べていれば、この会議はスムーズに進行し、会議が終了する時点では、いくつかの問題点が明らかになっていただろう。何のために会議を行うか、つまり、会議の目的を出席者全員で共有してから、会議を始めることが重要だ。そうでないと、出席者は途中で眠くなってしまうだろう。

目標を決めて話し合う

ゴール設定

 会議の目的が共有できれば、出席者は「整備区域で発生する問題点」について、話し合いをすることができる。ところが、目的を共有するだけだと、話し合っただけで終わり、会議終了後は収拾がつかなくなってしまう。会議の途中で、「あれ、話し合って、どうするんだっけ?」と出席者の頭の上にクエスチョン・マークが点灯する。

 そこで、次に会議の目標を決めよう。会議の目標とは、会議が終了した時点で、出席者が手に入れているものだ。

 たとえば、会議では問題点を議論し、そして、終了までに対処方法を決める。この「対処方法を決める」ことが会議の目標だ。あるいは、問題解決の会議をするなら、「解決方法を決定する」が会議の目標になる。戦略会議を開催するなら、会議の目標を「成果を出すための戦略シナリオを決定する」としなければならない。

 よくある話だが、何となく議論をしているうちに何かが決まるだろうとか、議論していること自体が楽しいとか、喧々囂々の議論をして大いに盛り上がったなどということでは、会議から産み出すものは何もない。つまり生産性の低い会議になる。

 しかし、ただ「対処方法を決める」といった抽象的な目標を設定すると、何でもありの世界に陥ってしまう。そこで、「対処方法を3つ以上決める」とする。そうすれば、目標のタガをはめることができる。

 あるいは、「すぐに実行できる対処方法」とか、「効率的な対処方法」などと、限定的な目標を決めることだ。そうでなければ、いったん決定した対処方法について、さらなる議論が必要になるかもしれない。会議の目標は具体的かつ定量的であった方がよい。

 会議の目標をあらかじめ決めることが大切で、会議が終わってから、「こんなことが決まった」では、それこそ話にならない。それは、ゴールを決めないで走り出すようなものだ。どこまで走っていいかわからないし、走る意欲も湧かない。あらかじめ会議の目標を決めてから話し合いを始めよう。

会議のオープニング

会議司会者のあいさつ

 議長は、会議を開始するとき、つまり、会議をオープンするときに、次の手順を踏んで進めていくとよい。そうすれば、会議が迷走することはない。

 まず、声にエネルギーを込めて挨拶をし、必要であれば自己紹介しよう。そして、出席者に、「本日は、お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます」とウエルカムを表明する。

 これによって、「このクソ忙しいときに…」と不満を持っている出席者の気持ちも、少しは和むというものだ。人に何かをしてもらったときは、感謝の気持ちを伝えるのはコミュニケーションの基本だ。もちろん、インフォーマルな会議では、くだけた表現で、「集まってくれて、ありがとう」と言う。表現が違うだけで、感謝の気持ちを表現することに変わりはない。

 ウエルカムの気持ちを述べたら、会議の背景をコンパクトに伝える。たとえば、「このたび、道路整備計画案が作成されました」などと。

 ここで、あれこれ言い始めてしまうと、出席者は混乱する。たとえば、「そもそも、この地区の道路整備については年越しの懸案であり…、住民からの要望も…、交通事故多発地点で…」などと、ダラダラ話さないこと。コンパクトに背景を説明する。

 背景を説明したら、次に、会議の目的を述べる。たとえば、「今日の会議の目的は、道路整備区域で発生する問題について話し合うこと」などと、これもコンパクトに伝える。

そして、「本日の会議の目標は、問題点を抽出して、その対処方法を3つ以上、決めること」などと力強く述べよう。そうすれば、集まる理由と集まって何をするか、出席者が理解することができる。

 このように会議の目的と目標を共有することから会議をスタートさせる。出席者に、会議の入口(目的)と出口(目標)を示せば、会議が迷走することはない。

著者プロフィール

八幡 紕芦史(やはた ひろし)

経営戦略コンサルタント
アクセス・ビジネス・コンサルティング(株)代表取締役、NPO法人国際プレゼンテーション協会理事長、一般社団法人プレゼンテーション検定協会代表理事。大学卒業とともに社会人教育の為の教育機関を設立。企業・団体における人材育成、大学での教鞭を経て現職。顧問先企業では、変革実現へ、経営者やマネジメント層に支援・指導・助言を行う。働き方改革への課題解決策として慣習の”会議”から脱皮を実現する鋭い提言で貢献。著書に『会議の技術』『ミーティング・マネジメント』ほか多数。

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