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月刊「地方財務」

外国人材の国籍多様化と地域差 ― 多文化共生のニーズ把握と施策の最適化|政策トレンドをよむ 第41回

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2026.09.07

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    月刊地方財務 2026年8月号

    月刊 地方財務 2026年8月号
    特集:予算編成―財政課の工夫と担当課のホンネ
    編著者名:ぎょうせい/編
    販売価格:3,960円(税込み)
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    【政策トレンドをよむ 第41回】
    外国人材の国籍多様化と地域差
    ―多文化共生のニーズ把握と施策の最適化

    EY新日本有限責任監査法人 FAAS事業部
    水上 誠也

    ※2026年7月時点の内容です。

     2025年実施の国勢調査の速報値が発表され、前回調査時からの総人口の減少幅は、過去最大であることが判った(1)。現役世代の割合が急速に低下している状況の中、各地域においては、企業の生産性向上に向けた取組みに加えて、多様な人材が活躍できる環境整備に向けた各種施策が求められている。特に外国人材については、様々な在留資格で新規に入国する外国人材が増加傾向にある中で、外国人材と地域の双方が安心して働き、暮らすための、多文化共生施策の展開が急務となっている。本稿では、多文化共生に向けた効果的な施策が地域ごとに異なる実態を、オープンデータを用いて提示する。その上で、今後期待される多文化共生施策の在り方を検討する。


    (1)総務省「令和7年国勢調査調査の結果」(2026年5月)

     先述のとおり、外国人材の新規入国者数は増加傾向にあるが、入国者の国籍構成は年々変化している。一般的に外国人材の受入れに関わる実務者の間では、「技能労働者において、かつてはベトナムが最大の送出し国であったが、徐々にインドネシアをはじめとするその他の国(以下、新興国という)の存在感が高まっている」といった認識が共有されている。一方で、技能労働者の代表的な在留資格「技能実習」を得て来日する人材は、ほとんどの場合当該国の送出機関の仲介を経ているが、新興国における送出機関ほど、日本側の受入れ機関とのネットワークが限られているため、特定の地域や産業へ人材を送り出す状況になりやすい。そのため、新興国から来日する技能労働者は、特定の地域・産業に偏在している可能性が考えられる。また裏を返せば、ベトナム出身の技能労働者が減少していない地域・産業が存在することも想定される。もし入国者の国籍構成が地域・産業によって変動している場合、相談窓口の多言語化や日本語学習環境の充実といった多文化共生施策を展開するに当たっては、標準化された取組みを横並びに実施するだけでなく、各地域の産業構造を踏まえ、支援対象を明確にした事業の展開が求められることになる。そこで、外国人技能実習機構が公表するオープンデータを用いて、2019年及び2024年における技能実習の計画認定件数を、国籍別、産業別、そして就業エリア別に整理した。その結果が図表である(2)


    (2)外国人技能実習機構「業務統計」(2019年及び2024年)

    図表 2019年及び2024年における技能実習計画認定件数の産業・就業エリアごとの国籍別構成比率
    表とグラフ
    出典:外国人技能実習機構「業務統計」より筆者作成

     2019年において国籍別構成比率が最も大きいのはベトナムとなっているが、2024年における同国の数値と比較すると、全産業では都市圏、地方圏(3)いずれにおいても13.0ポイント減少している。そのため全産業を見ると、人材の出身国と、人材の所属産業・就業エリアとの間に、大きな連関は認められない。それに対し、建設業における数値に着目すると、ベトナムの比率は都市圏では27.6ポイント減少、地方圏では35.7ポイント減少している。建設業は全産業と比較すると、両地域ともにベトナムの減少が著しく、特に地方圏においてその傾向が顕著であることが分かる。また食品製造業ではベトナムの比率が、都市圏で2.6ポイント増加、地方圏では10.2ポイント減少しており、全産業と比較すると両地域ともにベトナムの減少は際立っておらず、むしろ都市圏においては微増となっている。以上のように、技能労働者の主要供給国が、ベトナムから、インドネシアをはじめとする新興国へ移行する傾向が一般的に確認されている中、ある業種においてはその傾向がより顕著になっており、他の業種では逆行する可能性さえ確認された。さらに、新興国の送出しの拡大は、地方圏が都市圏に先行する傾向が分かった。


    (3)「都市圏」は埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・愛知県・大阪府の合計値を、「地方圏」はその他の道府県の合計値を指している。

     外国人材の送出し国が多様化する傾向が、特に地方圏において見られる中、各国出身者に対して多文化共生施策を届けることは、人員や財源といったリソースが限られる地方圏の自治体ほど容易ではない。そのため自治体においては、多文化共生に係るニーズを把握・整理し、ニーズの高い取組みに重点を置くといった「選択と集中」が求められることになる。今後の自治体にはデータと現場の声を往復しながら、限られた人員・財源を真に必要な施策へ振り向けることが期待されている。ニーズに応じた支援体制を構築していくことが、地域に根差した多文化共生の実現につながるだろう。

     

    私たちは、持続可能な社会の実現に向け、調査分析から政策提言、実行支援まで一貫して支援しています。
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    EY新日本有限責任監査法人 FAAS事業部 ガバメント・パブリックセクター
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